笠ケ岳直下の片藤沼から燧ケ岳を望む
(きのうの稿から続く)
至仏山からの展望にすっかり気をよくした。それにしても山という山が全部見えた。その山々のほとんどに足を運んでいる。旧友のみんなに再会したようなものだ。そして「やあ、いらっしゃい」と私を歓迎してくれたのだと思い込むことにした。そう思ったほうがいっそう気分がいい。
あの山にもこの山にも思い出がいっぱいある。一つ一つの山に向かって思い出をゆっくり語り合いたいのだが、これから笠ケ岳を目指すのでゆっくりもできない。なんとも惜しい。
■笠ケ岳情報
▽至仏山から下山していくと右手に笠ケ岳のスカイラインがきれいだ。山容が美しい。山姿秀麗と形容してもいい。この写真で見るよりも笹の緑が鮮やかで景色全体がしっとりと落ち着いている。これを見て、目と鼻の先にある昨秋に歩いた武尊山(左後ろ)の剣が峰を思い浮かべた。そっくりじゃないか。
▽どうです。見るからにおだやかな山容でしょう。
笠ケ岳(左)と小笠ケ岳(右)
▽笠ケ岳へはオヤマ沢の分岐を右に入る。
標柱には「笠ケ岳を経て湯の小屋温泉」とある。
ここから笠への道となる
▽笠への道はよく歩かれている。至仏山に比べたらシブイ山であり、きょうは平日だから人は歩いていないだろうと思っていたのだが、途中で12人にも会ってしまった。笹の緑に紅葉が映える。下の写真がそうなのだが残念ながらうまい具合に撮れない
▽振り返ると歩いてきた至仏山。左が至仏山で、右が小至仏山
▽燧ケ岳と至仏山のツーショット
▽昨日も書いたが、笠へ取り付いたところで道は二つに別れている。右の道は明瞭でつい足を踏み入れてしまいがちだが、ここは左へ行く。笠の腹をトラバースするとこの標柱に出合う。ここから頂上まで15分ほどだ。頂上を目指す前に、すぐ下に見える「片藤沼」まで足を延ばすことにした。
▽「片藤沼」へは湯の小屋方面への道を進むこと10分。一帯は高層湿原なのだろうか。静寂に包まれた沼だ。一周する小道はない。正面に燧ケ岳。
▽燧ケ岳(右)と至仏山(左)
▽沼を前景にアップで燧ケ岳
▽片藤沼から見る笠ケ岳。この山は遠くから見るとおだやかな山容だが、近くで見ると岩山だ。大きな岩が目立つ。
▽先ほどの分岐まで戻り笠の頂上へ。ガレ場で急な登りだ。
山頂からの展望は至仏山に劣らずすばらしい。すでに14時5分。周囲の景色も朝のシャープさがしだいに失せ、薄い空気のベールに包まれてきた。
▽山頂ではゆっくりしてはいられない。下山時間を逆算すると先を急がなければならない。山あいを見下ろすと山肌は一面見事な紅葉。これまたうまく撮れていない
▽すっかり葉を落としたダケカンバ。
ダケカンバの風景は絵になる
▽いよいよ尾瀬ケ原ともお別れ。
16時20分。一気に日が暮れていく
このコースはかみさんの骨折回復からの一回目の登山にしてはきつかった。一般の登山者でもややロングコースだ。私が笠ケ岳を歩きたかったものだから無理をした。かみさんはいくぶんつらかっただろうが、おかげで私は満足だった。
上越の山にはこのところ毎年のように行っている。帰りはいつも関越自動車道で渋滞に巻き込まれるのだが、この日はスイスイと自宅まで帰ることができた。平日だとこんなにも車の流れがいいのかと実感させられた。
21日の那須岳では紅葉を、24日の至仏山では展望を、飽きず見惚れた。秋の山を楽しんだかなと満足している。
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追記
■10月21日に歩いた「那須岳」の山行記を私の登山日記「気まぐれ山旅リポート」にアップした。