最初のうつ病が回復したあと、しばらくは全く頭の使わないアルバイト(築地のくだもの青果市場での荷受仕事をしたり、浅草橋のおもちゃ問屋で配送の補助作業など)をしていましたが、やがて、翻訳のアルバイトを受けるようになりました。
この個人翻訳のアルバイトが切っ掛けになり、技術翻訳、テクニカル・ライティング、コーディネータ、機械翻訳…といった一連の分野での仕事に集中するようになりました。また、これと併行して、文学、演劇、考古学、文化人類学、心理学、精神医学といった方面での読書にもだいぶ時間を割くようになりました。
ガチガチのコンピュータ・エンジニアが徐々に軟らかなドキュメント・エンジニア変貌するとともに、これまでキリスト教関係だけだった読書のジャンルにも夥しい変化が訪れ、幸運にもこの時期に非常に多くの小説を読むことができたのです。
そして、1988年、8月8日、とうとう自分の会社を設立するところまで漕ぎ着けることができたのでした。今考えると、なぜ独立して会社設立でなければならなかったか、その深い理由はわかりませんでしたが、わたしはこれを”運命”である…という風にとらえているのです。
この期間、すなわち、30才から40才までの10年間が自分の文学の基礎を築いた重要な読書期間だったこと、このことを非常な驚きで今回顧しているところなのです。というのは、この時期より早ければ人生の深い意味は十分に汲み取れなかったかと思われるし、この期間より3年でも5年でも後になってしまうと、別の重要な作業ができなかったことがわかるからなのです。その別な作業というのが”人工知能”の研究なのです。
そして、会社設立に伴って、一連の会社活動に力をいれていたころ、第二回目の強烈なうつ病に襲われたのです。1990年1月6日でした。このうつ病のときの詳細については『異常なる感性』という作品の中で詳しく論じる予定ですので、ここでは触れません。
第一回目のうつ病(1980年)から第二回目のうつ病(1990年)までの期間を創作準備フェーズとするなら、第二回目のうつ病から現在(2005年)までの期間が創作の第一フェーズとでも呼べるかもしれません。
いずれにしても、この期間(1990以降)において、『異常なる感性』、『拝啓 小学生の皆さんへ』、『拝啓 頭のおかしいおじさんへ』、『信のたわむれ』、『知のたわむれ』、『覚のたわむれ』、『現代のたわむれ』、『宗教・哲学・科学・芸術』、といった一連の文学作品の系列が生まれると同時に、”人工知能”、”認知科学”、”知識ベース”、”機械翻訳”、”意味処理”、”知識処理”、”認識”、”学習”、”記憶”、”発見モデル”、”生成モデル”、”神経科学”…といった一連の分野での本格的な仕事を展開するようになったのです。
また、この期間において、ミンコフスキー;『生きられる時間 上下』、『精神分裂病』、『精神のコスモロジー』、ビンスワンガー;『精神分裂病 上下』、『人間学的現象学』、『そう病とうつ病』、木村敏;『自己・あいだ・時間』、フッサール;『現象学の理念』、『内的時間の現象学』、ハイデッガー;『ヘラクレイトス』…といった一連の重要な著作群と出会うことになったのです。
上記の他にも膨大な量の”小説”、”論文”、”随筆”、”手紙”、”民話”、”童話”、”神話”、”ファンタジー”などの読書がありますが、この期間におけるわたしのもっとも重要な仕事は、本格小説『異常なる 感性』の基本設計の確立、および、AIにおける『基本設計概念』の完成のふたつがあります。
さて、本題にもどり、わたしと”心理学”および”精神医学”との出会いは、前に述べたように小学生のとき既に始まっており、それからずうっと中学生時代、高校生時代を通して心理学、精神医学に深く関係してまいりました。ただ、幸運にも、医学の道を歩まなくてもいいように”天”の采配が下り、大学時代は”純粋数学”と”聖書”の学びのこのふたつが中心的なものでした。
4年間の留学生活のあと、1972年から1980年に到る最初の社会人生活を通して、コンピュータの基礎、つまり、OS、言語、ハード、ソフト、オンライン、ネットワーク、システム設計といった一連の業務に携わりつつ、聖書の学び、とくに、”キルケゴール”、”カールバルト”、”八木誠一”、”滝沢克巳”、”田川建三”…といった一連の聖書学者たち、および哲学者キルケゴールとの出会いがあったわけです。
一見すると、心理学や精神医学に全く関係ないような諸体験の膨大な累積が実は精神医学、とくに、”人工知能”や”神経科学”と”心理学”や”精神医学”に超高度なレベルで密接に関係していることが漸くここに到って”その全貌”が少しづつ具体的な姿を現しはじめた…ということなのです。
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関連作品:
■ 『信のたわむれ』
■ 『拝啓 小学生の皆さんへ』
■ 『拝啓 頭のおかしいおじさんへ』
■ 『インターネットで見た光景』
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関連文献:
参考文献:
『ヘラクレイトス』 ハイデッガー全集 55巻
『仏教とキリスト教』 滝沢克巳;法蔵館
『続 仏教とキリスト教》 滝沢克巳;法蔵館
『仏教とキリスト教の接点』 八木誠一;法蔵館
『久松真一著作集』 久松真一;法蔵館
『滝沢克巳著作集』 滝沢克巳;法蔵館
『人生の帰趣』 山崎弁榮;
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『マルコ福音書 上巻』 田川建三;新教出版社
『イエスという男』 田川建三;三一書房
『立ちつくす思想』 田川建三;勁草書房
『歴史的類比の思想』 田川建三;勁草書房
『批判的主体の形成』 田川建三;三一書房
『宗教とは何か』 田川建三;大和書房
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『言葉と物』 M・フーコー;新潮社
『ソシュールの思想』 丸山圭三郎;岩波書店
『ソシュールを読む』 丸山圭三郎;岩波セミナーブックス
『沈黙するソシュール』 前田英樹;
『偶然と必然』 J・モノー;みずず書房
『善悪の彼岸』 ニーチェ;岩波文庫
『道徳の系譜』 ニーチェ;岩波文庫
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参考文献:
『精神分裂病 上下』 ビンスワンガー;みすず書房
『精神分裂病』 ミンコフスキー;みすず書房
『生きられる時間 上下』 ミンコフスキー;みすず書房
『現象学的人間学』 ビンスワンガー;みすず書房
『内的時間の現象学』 フッサール;みすず書房
『自己・あいだ・時間』 木村敏;弘文堂
『ゲーデル・エッシャ・バッハ』 ダグラス・ホフスタッター;白楊社
『フロイド選集 (全17巻)』 フロイト;日本教文社;
特に「自我論」、「文化論」、「芸術論」、「幻想の未来」
この個人翻訳のアルバイトが切っ掛けになり、技術翻訳、テクニカル・ライティング、コーディネータ、機械翻訳…といった一連の分野での仕事に集中するようになりました。また、これと併行して、文学、演劇、考古学、文化人類学、心理学、精神医学といった方面での読書にもだいぶ時間を割くようになりました。
ガチガチのコンピュータ・エンジニアが徐々に軟らかなドキュメント・エンジニア変貌するとともに、これまでキリスト教関係だけだった読書のジャンルにも夥しい変化が訪れ、幸運にもこの時期に非常に多くの小説を読むことができたのです。
そして、1988年、8月8日、とうとう自分の会社を設立するところまで漕ぎ着けることができたのでした。今考えると、なぜ独立して会社設立でなければならなかったか、その深い理由はわかりませんでしたが、わたしはこれを”運命”である…という風にとらえているのです。
この期間、すなわち、30才から40才までの10年間が自分の文学の基礎を築いた重要な読書期間だったこと、このことを非常な驚きで今回顧しているところなのです。というのは、この時期より早ければ人生の深い意味は十分に汲み取れなかったかと思われるし、この期間より3年でも5年でも後になってしまうと、別の重要な作業ができなかったことがわかるからなのです。その別な作業というのが”人工知能”の研究なのです。
そして、会社設立に伴って、一連の会社活動に力をいれていたころ、第二回目の強烈なうつ病に襲われたのです。1990年1月6日でした。このうつ病のときの詳細については『異常なる感性』という作品の中で詳しく論じる予定ですので、ここでは触れません。
第一回目のうつ病(1980年)から第二回目のうつ病(1990年)までの期間を創作準備フェーズとするなら、第二回目のうつ病から現在(2005年)までの期間が創作の第一フェーズとでも呼べるかもしれません。
いずれにしても、この期間(1990以降)において、『異常なる感性』、『拝啓 小学生の皆さんへ』、『拝啓 頭のおかしいおじさんへ』、『信のたわむれ』、『知のたわむれ』、『覚のたわむれ』、『現代のたわむれ』、『宗教・哲学・科学・芸術』、といった一連の文学作品の系列が生まれると同時に、”人工知能”、”認知科学”、”知識ベース”、”機械翻訳”、”意味処理”、”知識処理”、”認識”、”学習”、”記憶”、”発見モデル”、”生成モデル”、”神経科学”…といった一連の分野での本格的な仕事を展開するようになったのです。
また、この期間において、ミンコフスキー;『生きられる時間 上下』、『精神分裂病』、『精神のコスモロジー』、ビンスワンガー;『精神分裂病 上下』、『人間学的現象学』、『そう病とうつ病』、木村敏;『自己・あいだ・時間』、フッサール;『現象学の理念』、『内的時間の現象学』、ハイデッガー;『ヘラクレイトス』…といった一連の重要な著作群と出会うことになったのです。
上記の他にも膨大な量の”小説”、”論文”、”随筆”、”手紙”、”民話”、”童話”、”神話”、”ファンタジー”などの読書がありますが、この期間におけるわたしのもっとも重要な仕事は、本格小説『異常なる 感性』の基本設計の確立、および、AIにおける『基本設計概念』の完成のふたつがあります。
さて、本題にもどり、わたしと”心理学”および”精神医学”との出会いは、前に述べたように小学生のとき既に始まっており、それからずうっと中学生時代、高校生時代を通して心理学、精神医学に深く関係してまいりました。ただ、幸運にも、医学の道を歩まなくてもいいように”天”の采配が下り、大学時代は”純粋数学”と”聖書”の学びのこのふたつが中心的なものでした。
4年間の留学生活のあと、1972年から1980年に到る最初の社会人生活を通して、コンピュータの基礎、つまり、OS、言語、ハード、ソフト、オンライン、ネットワーク、システム設計といった一連の業務に携わりつつ、聖書の学び、とくに、”キルケゴール”、”カールバルト”、”八木誠一”、”滝沢克巳”、”田川建三”…といった一連の聖書学者たち、および哲学者キルケゴールとの出会いがあったわけです。
一見すると、心理学や精神医学に全く関係ないような諸体験の膨大な累積が実は精神医学、とくに、”人工知能”や”神経科学”と”心理学”や”精神医学”に超高度なレベルで密接に関係していることが漸くここに到って”その全貌”が少しづつ具体的な姿を現しはじめた…ということなのです。
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関連作品:
■ 『信のたわむれ』
■ 『拝啓 小学生の皆さんへ』
■ 『拝啓 頭のおかしいおじさんへ』
■ 『インターネットで見た光景』
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関連文献:
参考文献:
『ヘラクレイトス』 ハイデッガー全集 55巻
『仏教とキリスト教』 滝沢克巳;法蔵館
『続 仏教とキリスト教》 滝沢克巳;法蔵館
『仏教とキリスト教の接点』 八木誠一;法蔵館
『久松真一著作集』 久松真一;法蔵館
『滝沢克巳著作集』 滝沢克巳;法蔵館
『人生の帰趣』 山崎弁榮;
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『マルコ福音書 上巻』 田川建三;新教出版社
『イエスという男』 田川建三;三一書房
『立ちつくす思想』 田川建三;勁草書房
『歴史的類比の思想』 田川建三;勁草書房
『批判的主体の形成』 田川建三;三一書房
『宗教とは何か』 田川建三;大和書房
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『言葉と物』 M・フーコー;新潮社
『ソシュールの思想』 丸山圭三郎;岩波書店
『ソシュールを読む』 丸山圭三郎;岩波セミナーブックス
『沈黙するソシュール』 前田英樹;
『偶然と必然』 J・モノー;みずず書房
『善悪の彼岸』 ニーチェ;岩波文庫
『道徳の系譜』 ニーチェ;岩波文庫
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参考文献:
『精神分裂病 上下』 ビンスワンガー;みすず書房
『精神分裂病』 ミンコフスキー;みすず書房
『生きられる時間 上下』 ミンコフスキー;みすず書房
『現象学的人間学』 ビンスワンガー;みすず書房
『内的時間の現象学』 フッサール;みすず書房
『自己・あいだ・時間』 木村敏;弘文堂
『ゲーデル・エッシャ・バッハ』 ダグラス・ホフスタッター;白楊社
『フロイド選集 (全17巻)』 フロイト;日本教文社;
特に「自我論」、「文化論」、「芸術論」、「幻想の未来」