UENOUTAのお絵描きとかブログ

 お絵描きや小説、YouTubeとかの報告とかしていきます。

ある日、超能力が目覚めた件 439P

2024-05-01 23:55:35 | 日記
 再び野々野小頭は足軽の部屋を覗く。あの何かわからない変な者……野々野小頭はあれが幽霊かなにか……ではないかと思ってた。なにせ……だ。なにせそういう風な物に見えたからだ。
 実態はなさそうだった。透明で更にはなんか浮いてるように見えた。そうなると真っ先に思い浮かぶのは『幽霊』である。もしかしたら兄である野々野足軽は幽霊に取り憑かれてしまってるのかもしれない。
 
 前までの野々野小頭なら「そんなばかな」――と鼻で笑っただろう。だってこの現実でそんな不確定な存在がいる……なんてのはまったく持って信じてなんてなかった。
 怖がりはするが、居るはず無い……それが野々野小頭の見解だったのだ。そういうなんとも不確定な物は占いだけでいい……という感じ。けど今や野々野小頭はそうは思えなくなっていた。
 
「この世界には実は沢山の色んな者が居るんじゃないか……」
 
 そう思い始めてるのだ。そしてそれは実は野々野小頭だけではない。色んな人がそんな事を思い始めてる。なにせちょっと前にはドラゴンの姿を見た――という投稿で溢れてたりしてる。そして『力』を証明した草陰草案……『不思議』が世界に沢山あると考えると人たちは結構いる。
 
 特別な一部……ではなく、ただ観測できてない何かの存在……それがあるんではないか? と結構な人は思ってた。
 
(いない……)
 
 野々野小頭は再び野々野足軽の部屋をみてそう思った。さっきいた存在……それがいなくなってる。ホッとしたような……そんな気持ちがある。恐る恐るだけど、野々野小頭は足軽の部屋へと足を踏み入れる。勝手知ったる兄の部屋である。
 
 実は時々足軽がいないときに勝手に入ったりして、パソコンを使わせてもらったりしてる。今の時代、もう漫画とかも電子になって、兄妹がもってる物を勝手に借りたりってやつがなくなってる。けど野々野足軽はパソコンを持ってるが、小頭は持ってなかったから、それだけは時々いじってた。親的には「スマホがあればいいでしょ」ということなんだろう。
 
 実際スマホさえあれば困ることはない。それは確かだと野々野小頭だって思ってる。けどパソコンでしかできないことだってあるわけで……
 
(取り憑かれてたりしてる?)
 
 野々野小頭は寝てる足軽に手を伸ばす。けどそこで足軽は「ううーん」とゴロンと寝返りをうった。それにびっくりした野々野小頭。けどそれでただ寝てるだけ……と思えた。変な影響は受けてない。部屋もざっと見た感じ、いつもの兄の部屋だ。
 
(見間違い……だったのかも)
 
 そんな風に思えてくる野々野小頭。寝てるのを起こすのも悪いとおもって、野々野小頭は足軽の部屋を後にした。
 
 ガチャ……という音。それは扉が閉まった音だ。背中を扉に向けてる野々野足軽はさらに力を使って、野々野小頭が部屋へと戻ったのを確認して、目を開けて息を吐いた。
 
『気をつけろよ。焦ったぞ』
『すみません。つい、油断してましたね』
 
 そんな風にいう野々野足軽の傍らには透明な人形のアースがいる。

ある日、超能力が目覚めた件 438P

2024-05-01 00:01:47 | 日記
 野々野小頭は気を付けて扉を開けた。そこは自分の部屋ではない。向かいの兄、野々野足軽の部屋である。ちょっと前に野々野足軽は帰ってきたのは気づいてた。だから野々野足軽に協力してもらおうと小頭は考えた。けどゆっくりと開けたのは、それに自信がなかったからだ。
 兄である足軽は小頭にそこそこ甘いから協力してくれる……とは思ってるわけだけど……でも危険があるとなったらそのそこそこ甘いのが野々野小頭の想定の方向とは違うように発揮される可能性はある。つまりは……
 
(お母さんと協力されたら面倒なんだよね)
 
 そういう事である。もしかしたらその可能性も実際半分はあるとおもってる。きちんと妹として扱われてるわけで……小さいときとかは、それこそもっとずっと優しかった記憶がある。そして野々野小頭もいつだって足軽の後をついていくような子供だった。あの頃の過保護な兄の姿……それは今でも思い起こせるのだ。だからこそ、もしかしたら……と小頭は思う。時々今でも過保護になるのが兄である。
 
(寝てる?)
 
 わずかに開いた扉。そこから部屋の中を覗く野々野小頭。どうやら足軽は寝てるらしい。ベッドに横になってる足がみえた。その時だ。
 
(うん? なにか動いてる?)
 
 野々野足軽の部屋で何かが動いてるような気がした。足軽がベッドに横になってるのなら、それ以外には人はいない筈である。まさか友達を放っておいて自分だけ寝る……なんてことはしないだろう。寝てるのならだれもいない筈。けど何かが……気になった小頭はもうちょっとだけ扉を開いて中を確かめようとする。
 
(――っ!?)
 
 それは人のような形をしてた。けど何かはわからない。けど確実に兄である野々野足軽の傍にそれはいた。透明な人と言っていいのか、その部分だけがなんかちょっと透明度が違うからそれを野々野小頭も認識できた。そしてその時だ。
 
 ヒュっ――
 
 思わずそんな風に息をのんで廊下の壁に背を預けて逃げた。だって今……
 
(気づかれた?)
 
 そんな気がしたんだ。ドキドキと野々野小頭の胸は鳴ってた。外からはサイレンの音が木霊するように聞こえる。外も大変なのに、家の中でも大変なことが起きてる……その事態に野々野小頭は混乱する。
 
(いったいどうしたら……)
 
 そんな風におもってスマホを見る。知り合いに助けを求めたい。そしてこんな事を相談できる知り合いなんて草陰草案とか猩々坊主とか、そっちの人たちしかいない。けど……彼らは今まさに大変な状況だ。こっちにこれるわけない。
 
(でもこのままじゃ、お兄ちゃんが……)
 
 もしも兄がおかしくなったら……とかもう会えなくなったらとか考えると流石にそれは嫌だと思った野々野小頭。だからもう一度、勇気を出して足軽の部屋を覗いてみることにした。