これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

受験弁当

2012年02月23日 19時50分52秒 | エッセイ
 今日は都立高の学力検査、つまり入試が行われた。
 間違いは許されないから、非常に気をつかう一日となるが、私はどうにも集中できない。娘も、別の都立高校を受けに行くからだ。
 いつもより早く家を出なければならないので、5時起きして、娘の弁当を作る。
 お受験メニューは縁起のいいものに限る。やはり、好物のヒレカツでいこう。かぼちゃの煮物も作り、揚げ物をして、グレープフルーツも用意する。昨日スーパーに行ったら、1個99円のフロリダ産グレープフルーツと、1個175円の「いいグレープフルーツ」の二種類があった。私が、「いいグレープフルーツ」のほうを選んだことはいうまでもない。
 さあ、できた!



 あとは、おにぎりを2つプラスして、箸箱をつける。
「お母さん、ポニーテールにして」
 受検生は身だしなみも重要だ。あまり時間がなかったが、チャッチャと結わいて支度を手伝う。合間に、自分の支度もしなければならない。ダッシュで朝食と洗面をすませ、スーツに着替えて駅まで急ぐ。
 朝から戦場だ……。
 どうにか、時間までには職場に着き、ドタバタと打ち合わせ場所に走る。着席したところで、ようやく安心した。
 今日は、大嫌いな数学の監督に当たっていた。お金の計算ならいいけれど、数学はどうも苦手だ。試験会場では問題を見る気もせず、ぼんやり監督者のイスに座っていた。ゆとりができると、娘のことを思い出す。「受検票とコンパス、定規は持ったかしら」「難しくて手がつけられないんじゃないかしら」などと心配になった。
 まあ、いまさら心配しても何もできないが。

 午後は採点の手伝いである。
 私は英語の補助なので、教科主任のところに行くと、変更があったらしい。
「えーと、たしか笹木さんは数学になったはずです」
 ガーン!
 どこまで数学と縁があるのやら。

 採点のあと、娘にメールをした。おそらく、もう帰っているはずだ。
「今日は大変だったね! 何か食べたいものがあれば買っていくよ」
 まもなく返信が来た。
「すごく疲れたよ。ケーキが食べたい。合格発表の日には食べられないかもしれないから」
 どうも、手ごたえがなかったようだ。だが、今日だけは、入試から開放されたことを祝いたい。
 新宿高野「あまおうフレーズ」。



 何といっても、あまおうの存在感が圧倒的だ。上にも中にも大粒のあまおうが幅を利かせ、フルーティーな仕上がりとなっている。生クリームとスポンジは準主役級だが、いちごの酸味とマッチしている。
 フォークでケーキをつつきながら、娘が感想をもらす。
「できることはやったから悔いはないけど、多分落ちたと思う。」
「そっか」
「私立のお金、用意しといて」
「わかった」
「でも、頑張ってよかった。やればできるってわかったし、勉強が好きになったよ」
 それがわかれば十分だ。結果はともかく、努力の見返りは得られたらしい。
「あとね、お弁当のグレープフルーツが、めっちゃ美味しかった」
 そうなのだ。「いいグレープフルーツ」は果肉の糖度が高く、みずみずしくて大変美味であった。決して名前負けしていない。きっと、神経をすり減らす受検生の、心のオアシスになるだろう。
 ぜひ、受験弁当には、「ヒレカツ」と「いいグレープフルーツ」を!



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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (16)
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