デ某の「ひょっこりポンポン山」

腎がんのメモリー、海外旅行記、吾輩も猫である、人生の棚卸しなど。

吾輩も猫である 49 ( 眼科病棟記 その2 )

2014-04-22 22:39:15 | 吾輩も猫である
    
                     まだガスストーブを離れがたい吾輩

 車椅子にて いざ出発!

 手術は正午過ぎから2時間。まず白内障の手術で10分余、後は黄斑上膜の手術。術前に抗生剤服用、抗炎症の点眼、さらに手術1時間前にセルシン(安定剤)、ボルタレン(鎮痛剤)。当然のことながら昼食は欠食。食べろと言われても主人はよう食べまい。

 この朝、昨年のバルト三国の旅で親しくなったTさんから「眼病封じ」で名高い壺阪寺のお守りがとどいた。細君が「入れて置くからね」と抽斗にしまったのだが、普段まるで信心深くない主人が密かにお守りをパジャマに隠し持った由。オポチュニストめ!

   

 定刻よりやや早く車椅子のお迎え。平気!を装おうがノミの、否!ミトコンドリアの心臓の主人、つくり笑いが引き攣る。眼に麻酔注射!がよほど厭なのだ。が、もはや四の五のと言ってる場合に非ず。細君の激励をウワの空!で聞きつつ、車椅子にて、いざ!

 麻酔の注射、忘れてませんか? 

 エレベータで9Fから2Fの手術室へ。主人、3年前に別の病院で腎がんの手術を受けた時のことを思い出していた。「あの時は手術室まで歩き、ベッドでは30秒もしない間に意識がなくなった。今日は良くも悪くも最後まで意識ハッキリ!やからなぁ」と。

 心電図・血圧計・点滴用チューブを装着。麻酔液を点眼後、眼のところだけ開いたシーツをかけられる。と、何やらジャブジャブ。消毒液で眼を洗浄している音だった。執刀医の先生、厳かに「手術を始めます。最初に白内障、次に黄斑上膜の手術をします」。

 ちょ、ちょっとタンマ。麻酔の注射、してへんやん。主人「ま、麻酔の注射は?」。「もうしたよ」。 し、したん? さっきピリッとした、アレ? そうか、麻酔液で麻痺してたんや。予め言うてくれてたら、こない心配しぃひんかったや内科医、否、眼科医!

   
                      細君が丹精込めた庭の「十二単衣」

 ウトウトしたみたい 

 始まった。なんやがちゃがちゃ音がする。「〇〇出して!」「早く!」なんて。肩に力が入り緊張してるのが自分でわかる。「血圧は?」。「180と120です」。「降圧剤入れて!」。そんなに緊張してるんか!って具合に、自分の手術に立ち会う感覚だった。

 「眼内レンズ!」。「よし!」。「〇〇さん(主人のこと)、白内障終わりです」。ど、どうも。「黄斑上膜に移ります」。よ、よろしく。暫くして、妙に静かになり粛々と進んでいる感じ。と、大声で「動くなぁ!なんで動くんや」「危ないやないかぁ」。

 助手かナースが叱られている。が、「〇〇さん、動かんといてや。体調、悪い?」。も、もしかして、オレ? 主人「ちょ、ちょっとウトウトっとしたみたい」。「眠ったらあかんよ。ちょうどいま膜を剥ぐところやったんや。動いたら、眼ぇ、終わりやで」。
                                
   
                       主人も結構お気に入りの「ヴィオラ」

 ともに闘った2時間

 びびりんちょなのか図太いのか。つい先刻叱られたばかりやのに、暫くしてまたイビキをかいていた。この時は自分で自分のイビキに気づき、「すみません、また眠りかけてました」と。「眠りかけちゃう。イビキかいてた。頼むからしゃ~んと起きててや」。

 以後は必死こいて起きていた。それにしても膜を剥ぐ最中に動いたら、どうなったことやら。イビキかいて失明!ではシャレにならん。前夜の睡眠不足か、それとも血圧上昇にみられる極度の緊張? わからんでもないが、執刀した先生こそビビったにちがいない。

 6時間を要した腎がんに較べれば短い手術でも患者には長い2時間。医師はじめスタッフにも長い2時間ではある。終わって車椅子に乗った主人を執刀した先生が出口まで押してくれた。或る意味、医師と患者、ともに心を一つに闘った2時間だったのである。

   
                  初めて咲いた「リナリア(ひめきんぎょそう)」

  にほんブログ村 病気ブログ 腎臓がんへ

 【過去ログ目次一覧】
 吾輩も猫である~40 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/58089c94db4126a1a491cd041749d5d4
 吾輩も猫である~80 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/dce7073c79b759aa9bc0707e4cf68e12
 吾輩も猫である81~ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/f9672339825ecefa5d005066d046646f
 かんわきゅうだい  http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a0b140d3616d89f2b5ea42346a7d80f0
 閑話休題 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/c859a3480d132510c809d930cb326dfb
 腎がんのメモリー http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/bee90bf51656b2d38e95ee9c0a8dd9d2
 旅行記 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/23d5db550b4853853d7e1a59dbea4b8e
 ごあいさつ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/7de1dfba556d627571b3a76d739e5d8c

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
(*^。^*) (michi)
2014-04-23 06:48:04
ごめんなさい。
ニコニコしながら読ませて頂きました。
おっしゃる通り変化球の心の裏は真反対の事があります
ビビりを開き直って「さ~~何でもやってくれ」の心境です。「ブログネタが出来た」は本当なんですよ~~

そんなに大変な手術だとは・・・・
寝ちゃうのは痛み止めとかにそんな成分が入ってるんでしょうね。

まだ不具合ありますね
私もいまだに両目のバランスが変ですがその内慣れて来ると楽観しています。

とにかく良かった・・・・です。
返信する
Unknown (婆ちゃんるね)
2014-04-23 07:33:19
無事に手術が終わってよかったですね。
目の手術って怖そうですね。
目に麻酔!いつも想像しては恐怖感でした。
某医さんの気が付かない間に麻酔、終わっていたとは。
失礼ですが私もクスッと笑いがこぼれるのを禁じえませんでした。
奥様の届けてくださったお守りもしっかりご利益があったようですね。
私も目が弱いので世の中ハッキリ見えていた若いころに戻りたいです。
視力はつねに2・0でした。
返信する
Unknown (なでしこ)
2014-04-23 10:34:49
某医さんおはようございます。
2週間留守をされるとのことでしたのでどうされたのかなと思っておりましたら病院へ出張されておられましたか。
今は白内障の手術は簡単と言うイメージですが中々大変そうですね。
某医さんも小心でしたか。
私も小心者です。
某医さんの手術の解説を読んでいるだけで怖い怖い。
でも時々吹き出しそうになりましたけどね。
何はともあれ無事に手術が終わられおめでとうございます。
暫くは歩くのが難しいと友達が言っていました。
お気を付け下さい。。。

返信する
Unknown (Anne)
2014-04-23 11:49:35
お守りも頂いて、あとは手術を済ませるだけだったと思ったら!
寝不足ってそういうことになっちゃったんですねー(^_^;)
場所が違ったら寝てしまっていた方が動かなくていいかもしれないのに、場所が場所ですからねえ!
寝たら閉じちゃいますもんねえ(笑)
これはブログネタ出来ちゃいますね!
でも、何事もなく終わって良かった!
何かあったらブログどころではないですから(*^。^*)

私も旅先でアクシデントがあると、「ヤバイ(;一_一)」って言う私の背後には「ブログネタだな(^.^)」って思ってる自分がいます!
返信する
威風堂々と (デブと某医)
2014-04-23 18:18:47
michiさん

楽しいコメント、ありがとうございます。

> ニコニコしながら読ませて頂きました。
まぁヒトの不幸は蜜の味!と言いますし・・・

> 「ブログネタが出来た」は本当なんですよ~
michiさん・・・自分の不幸も蜜の味にしはりますかぁ?

> ビビりを開き直って「さ~~何でもやってくれ」の心境・・・
私の場合は、「死なせてぇ~~っ」かなぁ

> そんなに大変な手術だとは・・・・
2時間、眼の中で切ったり剥いだり縫ったり・・・細かい作業の連続ですからね。
私が執刀医なら「つかれたぁ~! めんどぃ~! 代って~!」ですね。

> まだ不具合ありますね。いまだに両目のバランスが変ですが・・・
白内障だけなら両眼同時にバランスよく!ですね、両眼で40分程ですし・・・
でも「黄斑・・・変性、上膜、円孔」となると容易ではないようです。
私の場合は「眼鏡にサヨナラ」はあきらめました。

> とにかく良かった・・・・です
ありがとうございます。ともに威風堂々とまいりましょう
http://www.youtube.com/watch?v=m20LnRnSNDM
返信する
見えないほうが・・・ (デブと某医)
2014-04-23 18:47:28
BBちゃんねるさん

> 無事に手術が終わってよかったですね。
ありがとうございます。お蔭さまでぎりぎりセーフ!でした。

> 私もクスッと笑いがこぼれるのを禁じえませんでした。
ビクン!がもう少し早いか遅ければブスッ!だったことでしょう
人間の運命なんぞそんな偶然の一瞬に左右されるようです。
そう思うと、身震いするのを禁じえませんでした(笑)

> 目に麻酔!いつも想像しては恐怖感でした。
> 某医さんの気が付かない間に麻酔、終わっていたとは。
先生、前もってそう仰ればいいのにねぇ。
ちょっとビビらせるのが愉しい・・・なんて、マゾっ気でもあるんでしょうか。

> 奥様の届けてくださったお守りもしっかりご利益があったようですね。
贈って下さったTさん、年に十数回海外旅行されるタフな方でいらっしゃいます
彼女のそのタフなオーラも乗り移ったお守りでした。

> 私も目が弱いので世の中ハッキリ見えていた若いころに戻りたいです。
ちょっと見えないほうが(例えばシミとかシワとか)案外!幸せかもしれませんよ

返信する
Unknown (デブと某医)
2014-04-23 21:07:18
なでしこさん

コメント、ありがとうございます。

> 2週間留守をされるとのこと・・・病院へ出張されておられましたか
ニューイングランドでも旅しよう、と思っていたのに、入院グランドでした
お蔭様で経過が良く、2週間の予定が8日で済み差額ベッド代が浮きました。

> 白内障の手術は簡単と言うイメージですが、中々大変そうですね。
白内障自体は簡単ですが、他の症状が重なるとリスクは一挙に高まります

> 某医さんも小心でしたか。 私も小心者です。
> 某医さんの手術の解説を読んでいるだけで怖い怖い。
小心なかまですね、仲良くしましょう
私はTVドラマで手術シーンになると暫くチャンネルをかえます。
それが、2時間びんびんに手術につきあい?ましたからねぇ・・・。
世界史も日本史も微動だにしませんが、自分史ではエポックメーキングでした。

> でも時々吹き出しそうになりましたけどね。
そうですか、吹かれましたか。
まともに思い出しながら書いてたら、自身、変!になりそうでした。

> 何はともあれ無事に手術が終わられおめでとうございます。
ありがとうございます
失明しませんでしたので、なでしこさんの減量効果をこの眼でしっかり・・・(笑)
オードリー・ヘプバーンへの道、かなり道草くってはりますけど頑張って下さ~い。
間違ってもヒップバーンになられませんように
返信する
Unknown (デブと某医)
2014-04-23 21:28:53
Anneさん

いつもコメントありがとうございます。

> 寝不足ってそういうことになっちゃったんですねー(^_^;)
はい。そういうことでございました
看護師さんに「手術中に眠ることって、よくあるんでしょ?」って訊きましたら
「きいたことありませ~ん」って言われました。
関西人なら「きいたこと有馬おんせ~ん」って言ってほしかったなぁ。

> これはブログネタ出来ちゃいますね!
皆さんそう仰いますが、私、自分の手術をネタにする勇気はございません。
でも、ネタにしてるじゃない!って?
そ、それは、ぶ、無事おわったから、よ、余裕のよっちゃんなだけで・・・

> でも、何事もなく終わって良かった!
> 何かあったらブログどころではないですから(*^。^*)
ありがとうございます。
何事もなくはなかったのですが・・・仰るとおりです。
下手したら今頃、かっこいい眼帯はないかとカタログ見ているところでした。

> 旅先でアクシデントがあると、「ヤバイ(;一_一)」って言う私の背後には
> 「ブログネタだな(^.^)」って思ってる自分がいます!
「見上げたもんだ!風呂屋の煙突」って言いますけど、
さすがAnneさん、見上げたブロガースピリットですねぇ。
ますますのご活躍とご健筆をお祈りします
返信する

コメントを投稿