ふるさとの山に向ひて言ふことなし ふるさとの山はありがたきかな(石川啄木)
三か月ぶりに帰省しました。米子道を出ると早咲きの桜並木から残雪の大山の雄姿! いつも何がしか気の重さをかかえる帰省のその一瞬に「帰ってきた」 との思いがじわりとあふれてまいります。とはいえ数日の慌ただしい帰省、感傷に浸る間もありません。
家の台所で水漏れしていました。寒波の際に食洗器への配管が凍結しヒビ割れしたようです。電気工事会社に勤めている従弟にすぐ対処して貰いました。小さい頃、私のくっつき虫だったその従弟ですが『明日、定年退職します』と。いつの間にか?63歳に!
日本海(弓ケ浜)より眺む大山。更に北(左)に行くと浜は埋立地に変わります。
郷里鳥取県のコロナ罹患者は累計200人余、東京の一日分程度です。少ない人口も然りながら徹底した水際対策に拠ります。母の施設に往診に来られる主治医を訪ねると 一般の待合ではなく"発熱患者待合"に通されました。さすが!と苦笑いするほかありません。
グループホームにいる母には相変わらず… 道路から窓に向かって手を振り声をかける面会です。窓から現れた母の口許は『いえにかえりたい』。また来るから!と思い切り笑顔で応えるのが精一杯。この日は風が強く僅か2~3分のディスタンス面会でした。
大山と向き合う出雲半島。埋立地には "夢みなと博" で残された大ホールと展望台。
短い帰省でしたが、夜はまるで暇。な~んもすることがなかったお蔭で書一冊…清武英利著「トッカイ」(講談社 2019.4.22刊)を完読。著者の名に覚えのある方は たぶん巨人ファンですね(笑) 読売の総帥(独裁者)ナベツネ!に反旗を翻し球団代表をクビになった方です。
バブル崩壊後の失われた20年。不良債権で危機に瀕した銀行に「金融システムの安定」と称し国庫資金が投じられました。併せて不良債権回収のための国策会社「住宅金融債権管理機構」が立上げられ銀行やローン会社の出向組が取立ての第一線に立ちました。
取立てられる側の第一人者?は「借金王」と称された末野興産の末野謙一社長。もうひとり 西山正彦という名を憶えていませんか? 京都で寺社の拝観に課す古都税が問題になった際、仏教界の参謀として暗躍した当時四十代半ばの髭面の男も主人公の一人です。
書名「トッカイ」は 債権回収の最前線を担う「特別回収部」をさす通称です。
バブル崩壊で生じた不良債権は6兆円。これら不良債権の取立てを図る国策会社「債権回収機構」社長には "平成の鬼平" 中坊公平(元日弁連会長)が就任。言わば前記の末野謙一、西山正彦ら借金(踏み倒し)王と 中坊社長を頭とする回収機構の死闘の始まりでした。
バブルの裏面史と言うべきか寧ろ正史と言うべきか。一方に日本経済の中核!と言われた銀行組織と銀行員たちの脆弱さ、もう一方に "悪" の権化たる大ペテン師たちのしたたかな生き様。これが連ドラとなってWOWOWで放送中だそうです(私はWOWOW未加入)。
人物は総て実名で登場します。当時まだ米国の不動産王であった頃のトランプ前米大統領も登場します。三年半に及ぶ調査、執筆により培われた財産に拠りましょう。詳細を記す余裕はありませんが、「バブルとは何だったのか?」の一端には触れ得る書です。
ふるさとの山に向ひて .... 詩:石川啄木 曲:新井満
ふるさとの山に向ひて言ふことなし ふるさとの山はありがたきかな
やはらかに柳あをめる北上の 岸辺目に見ゆ泣けと如くに
かにかくに渋民村は恋しかり おもひでの山おもひでの川
【過去ログ目次一覧】
吾輩も猫である~40 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/58089c94db4126a1a491cd041749d5d4
吾輩も猫である~80 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/dce7073c79b759aa9bc0707e4cf68e12
吾輩も猫である81~140 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/f9672339825ecefa5d005066d046646f
吾輩も猫である141~ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/b7b2d192a4131e73906057aa293895ef
人生の棚卸し http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/ddab58eb8da23a114e2001749326f1f1
人生の棚卸し(2) https://blog.goo.ne.jp/00003193/e/22b3ffae8d0b390afee667c0e9ed92ed
かんわきゅうだい(57~) http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/20297d22fcd28bacdddc1cf81778d34b
かんわきゅうだい(~56) http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a0b140d3616d89f2b5ea42346a7d80f0
閑話休題 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/c859a3480d132510c809d930cb326dfb
腎がんのメモリー http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/bee90bf51656b2d38e95ee9c0a8dd9d2
旅行記 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/23d5db550b4853853d7e1a59dbea4b8e
新聞・TV・映画etc. http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a7126ea61f3deb897e01ced6b3955ace
ごあいさつ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/7de1dfba556d627571b3a76d739e5d8c
お里帰りしていらっしゃったのですね。
お母さまとはやはり、窓越しで、ほんの2、3分だけ、切ないですね。
肩や腕、手のひらとか、触りたいですね。
頬ずりとか、したいですね。
体温を感じたいですね。
すでに両親の居ない私には帰る故郷もないのですが、
石川啄木の歌に心を打たれながら
気づきました。
歌詞もじーんときますが、一生懸命歌われる1人ひとりの方の清らかな表情に、
私の故郷は記憶の中にちゃんとあり、そこには
幼馴染も、文房具屋さんも、本屋さんも、存在していて消えることさえないのだということを教えていただきました。
しばらく記憶の旅を楽しめました笑
過去記事も読ませていただいています。
コメント欄が閉じていたのは、お留守だったからですね。
私は平気で遅れて遅れて返信するのが恥ずかしいです笑
でへへ笑
コメントありがとうございました
乙羽さんからこんなにも速攻のコメントいただくと春の嵐が...
な~んて 冗談です(笑) コメントほんと!ありがとうございます。
> お里帰りしていらっしゃったのですね。
一時は毎月帰省していました。
そして そのときはそのときでストレスが溜まり何かと大変でした
でもコロナ禍で 会うこと一つままならなくなると 余りに理不尽に思えてきます。
我ながら いい加減で勝手やなぁ…と思います。
母は本来!我儘なひとです。
ですが... コロナが深刻になるほどに なぜか辛抱強く、周りにも寛容になりました。
その意味ではコロナ禍は 母の新しい一面を教えてくれたように思っています。
> すでに両親の居ない私には帰る故郷もないのですが、啄木の歌に心を打たれながら 気づきました。
> 故郷は記憶の中にちゃんとあり...存在していて消えることさえないのだということを。
> しばらく記憶の旅を楽しめました
記憶の中にある故郷こそリアル以上に実存し実感できるような気がいたしました。
私は お彼岸でしたからお墓参りしました。
父とは勿論! 祖父母やご先祖に手を合わせ
しばし... 一族の一体感に包まれ 胸がきゅんとなりました。
でも お墓を除いて それらすべては 記憶の中に甦り息づいています。
私もまた「記憶の旅」をしていたのでした。
> 過去記事も読ませていただいています。
ありがとうございます
私のブログ記... 旧い記事ほど生き生きしています(笑)
最近の私... ちょっと冴えませセーヌ河です
松任谷由美「春よ 来い」
https://www.youtube.com/watch?v=gol5dFrv4Ao
私はお母様の立場に近いので、お気持ちが身に沁みます。
ただ、デ某さんのお気持ちも、息子を思うと分かるので
ちょっと、言葉が見つかりませんでした。
一日も早くワクチンによってコロナによる断絶が解決して、ゆっくりと
お話が出来る日がまいりますようにと、願っています。
私も長らく、横浜の息子の家族に出会うことができずにいます。
私も何処に行っても「家に帰りたい」人間です。
先日、都内の高級ホテル住まいが、格安で出来るとテレビで
話していました。コメンテーターは「憧れる」と言っていましたが、
私は高級ホテルでの最高のおもてなしは一日か二日で結構です。
ボロ家で自分の手作りのお浸しなど食べて、慣れた道を歩いて、
ご近所の方と笑っているほうが好きです。
でもフッと気付いたのですが、案外お母様が楽しくやっておられる
かも・・とも思いました。
息子の顔を見ると、母親は甘えてみたいものですから・・ふふふ
お疲れが出ませんように。ごゆっくりなさってくださいませ。
コメントを閉じていた時になんとなく感じていました。
お疲れ様です。
水道管等水回りの凍結は大変ですね。
私自身静岡か東京都なので経験がほぼ無いに等しいので対処に困るかもです(;^ω^)
早くお母様とゆっくり会って、触れて、会話が出来るようになりたいですね。
あとどの位かかるのか・・・
コメントありがとうございました
> 私はお母様の立場に近いので、お気持ちが身に沁みます。
> デ某さんのお気持ちも、息子を思うと分かるので
ちょっと、言葉が見つかりませんでした。
此頃は ... 「母と子」の関係を通り越し 別人格の母を見ているような気持ちになります。
父とは年々気持ちが同化しましたが、母との間には軋轢がつきまといました。
それがここにきて 少しずつ溶け同化しつつあるように感じています。
ムベさんのお気持ち、ムベさんのご子息のお気持ちは如何でしょうか...。
> ワクチンによって...ゆっくりとお話が出来る日がまいりますようにと、願っています。
> 私も長らく、横浜の息子の家族に出会うことができずにいます。
家族を友人を...引き離した新型コロナ、
様々な歴史観、歴史認識にまで及ぶ論考が為されています。
神様のお考えは...などと不遜なことは思いませんが、
コロナ禍によって人生をより深く考えることは 悪くないかも...と。
> 私も何処に行っても「家に帰りたい」人間です。
> 高級ホテルでの最高のおもてなしは一日か二日で結構...家で自分の手作りのお浸しなど食べ...
♯Me too! です(笑) その点では私も「母の子やなぁ」と痛感します。
ムベさんのご子息もそうではありませんか!?(笑)
> 案外お母様が楽しくやっておられるかも...と思いました。
> 息子の顔を見ると、母親は甘えてみたいものですから...
最近にわかに そうかも...と思います。
拍子抜けするくらいカドがとれ 穏やかな表情になりました。
「うちにかえりたい」との口許が...「ここもウチのようなものだけど」ともうかがわれます。
> お疲れが出ませんように。ごゆっくりなさってくださいませ。
ありがとうございます
今日は 「日本の歌 百選」という小さなコンサートに参りました。
母を想い 幼かった頃の息子を想う ひとときでありました。
岩崎宏美さんで「私の青空」。
https://www.youtube.com/watch?v=sqJX0Pm_ExA
コメントありがとうございました
> 帰省されていたんですね。コメントを閉じていた時になんとなく感じていました。
帰省するときのほか なんとなく厭世的になると...閉じていますね
この「なんとなく」が なんとなくクセモノですが...
> 水道管等水回りの凍結は大変ですね。
> 私自身...経験がほぼ無いに等しいので 対処に困るかもです
蛇口まわりは兎も角、外の給水管が破裂している場合は修理依頼するほかありません。
今回は食洗器の配管のひび割れ、従弟のお陰でその日のうちに対処して貰え有難かったです。
幼い頃、従弟を連れてよく遊びましたから、その恩義に報いてくれましたかねぇ(笑)
> 早くお母様とゆっくり会って、触れて、会話が出来るようになりたいですね。
> あとどの位かかるのか...
母は 5月に99歳の誕生日を迎えます。
主治医は「特に悪いところは見当たりません」と仰いますから、来年の百歳も間違いなさそうです。
どんなお祝いをするか...悩ましいです(笑)
あとどれぐらいかかるのか...ほんと!神様に教えていただきたいです(笑)
竹内まりやさんの「人生の扉」には ...『信じられない速さで時が過ぎ去る』と。
『信じられない長さで命が刻まれる』としたいところです。
小野リサさんで「人生の扉」を。
https://www.youtube.com/watch?v=T2capqL5xGc
別人格の母を見ているような気持ちになります。
咄嗟にそれはデ某さんの心の変化に
繋がっているのよ・・と思ったり致しました。
お相撲談義がしたくなりました。
今日鶴竜が・・引退。
昨年日本国籍を取っていたと知りました
きっと良い親方になることでしょう!
少し寂しいニュースでした。
啄木の伝える北上のうたは
わたしたち夫婦が過ごし、夫が語った
黒沢尻を想起させ・・きっとデ某さんの大山に
匹敵するのかもと・・
お元気でいて下さいね。息子に「旅詐欺」といわれつつ・・
コメントありがとうございました
早朝から出かける用件があり 今 帰ったところです。
お返事が遅くなり申し訳ございません。
ムベさんへの返信に記した『此頃は 別人格の母を見ているような気持ち…』について
> 咄嗟にそれはデ某さんの心の変化に繋がっているのよ...と思ったり致しました。
はい。私自身、心境の変化を少し自覚しつつあります。
母が変ったことも然りながら 私の心に少しゆとりが生れつつあるように思います。
私自身が年をとり 残る時間を自覚しつつある所為かもしれません。
> お相撲談義がしたくなりました。鶴竜が引退...きっと良い親方になることでしょう!
追い詰められて判断する前に 然るべく出処進退を...と思っていました。
しかし横綱とはいえ鶴竜は未だ三十五歳の若者。
出処進退は 老成した者でさえ容易ならざる判断ですからね。
鶴竜のこれまでの活躍、貢献に 惻隠の情を以て労いたいと存じます。
お相撲談義のついで?に王鵬について。
昨日はなんとか勝って3勝3敗にこぎつけました。
幕下2枚目ですからあと一勝しても十両復帰は難しいかもしれません。
でも兎にも角にも勝ち越し望みをつなぎたい最後の一番! 気合が入ります。
私が気合いを入れても どう仕様もありませんが...(笑)
> 啄木の伝える北上のうたは わたしたち夫婦が過ごし、夫が語った黒沢尻を想起させ...
> きっとデ某さんの大山に匹敵するのかもと...
なぜこんなにも心を衝たれるのだろう? と思う 啄木の歌、牧水の歌。
『やはらかに柳あをめる北上の岸辺目に見ゆ泣けと如くに』を声にだして読みますと
思わず はらはらと...涙がこぼれます。
わが郷里の大山。そしてえぞをさんと遠音さんにとっての北上。
私にとっては これまで人生の四分の一に過ぎない故郷の年月ですが、
半分を悠に超えて 心を占めるものがあります。
> 息子に「旅詐欺」といわれつつ...
巧い表現だと思います(笑)
私の場合は たまに帰省する「たま詐欺」でしょうか。
百歳を超えることは間違いない母ですから、
私も 残りの人生を考えている場合ではないのかもしれませんね。
ではでは したっけねぇ~!
ローズマリー・クルーニー「Someone to Watch Over Me」
https://www.youtube.com/watch?v=2bj_c66kH-Y
うちの母も某施設に入っていますが、施設とは名ばかりの高齢者用マンションです。食事も自分で作っているし。今はいいけど、ゆくゆくどうなるか?
コメントありがとうございました
不景気なのに大企業は なぜか くうみんの ... 否! 空前の利益を上げています。
空前の利益を上げている会社が
なぜか給料は上げず 正社員より非正規を雇い 雇用安定に寄与しています。
不景気なのに株価が上がり 株価は上ってもインフレにまで至らず、
インフレじゃないのに なぜか物の値段が上がっていると感じます。
怒りや不満のメーターにあわせて 慣れとあきらめも高まります。
老人施設の多くは「金次第」ですが、
従業員の良心と誠心誠意!が「入居者の心と躰の崩壊」を防いでいると思います。
ゲーテではありませんが、そこに「もっと光を!」と言いたいところです。
「トッカイ」は不良債権の特別回収!
老人施設にあっては いずれ 不良施設の特急崩壊!が始まらないかと 心配です。
山路を登りながら、漱石はんは考えました。
『智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい』。
街をマスクつけて歩きながらデ某は考えました。
『マジメに働けば損をする。政治家は嘘をつく。信頼は裏切られる。兎角に現政権はおぞましい』と。