佐藤しのぶさんの訃報をブログUPしたところアクセスが急増し戸惑いました。佐藤さんの紡ぐ音楽の素晴らしさとともに喪失感も...。そして昨6日、佐藤さんの 私にとっては最後の生!のステージとなったホール(大学講堂)にて関西フィルの演奏会がありました。
ホールのロビーには来月24日にここで予定されていた「佐藤しのぶコンサート」のポスターが掲示されていました。訃報と併せてコンサート中止の旨が記され、その前で多くの方が足を止められ彼女が亡くなられたことを改めて心に刻むところとなりました。
一点の曇りなき ハレルヤ!
メンデルスゾーン ”結婚行進曲” を結婚式以外で聴くのは初めてです。この幸せな響きに心がなじめませんでしたが、つづくヘンデル ”ハレルヤ・コーラス” に心うたれました。
関フィルと三十数人の少年少女合唱団の醸しだすピュアーな世界...指揮者の藤岡幸夫さんがプレ・トークで『けして悪い意味で言うのではありませんが、巧い合唱団ではない合唱団の一点の曇りなき心あらわれる演奏をおとどけします』にふさわしい合唱でした。
なんども!なんども!繰返される「ハレルヤ」のフレーズ。いつの間にか心にハレルヤが宿り 藤岡さんの言葉どおり「一点の曇りなき心あらわれる」世界に誘われました。
源田俊一郎「ふるさとの四季」
今や国民歌となった「ふるさと(故郷)」。その一番に始まり「朧月夜」「村祭」「冬景色」など四季それぞれ数曲歌われ、終章に再び「ふるさと」の二番、そして三番。
如何にいます父母/つつがなしや友がき/雨に風につけても/思いいずるふるさと...こころざしを果たして/いつの日にか帰らん/山は青きふるさと/水は清きふるさと
観客の入り!は寂しすぎましたが(5割…かな)、合唱もオーケストラも渾身の演奏でした。そしてこれに応えた観客の鳴りやまぬ熱い拍手が印象的でした。
スメタナ 交響詩「わが祖国」より “モルダウ”
「わが祖国」はシベリウスの交響詩「フィンランディア」と並ぶチェコの国民音楽。「モルダウ」は連作6曲中の第2曲、源流を思わせる繊細な響きはやがて大地を縫う大河へ。スメタナは作曲中に聴力を失いますが、愛国の念が魂を奮い立たせ書き上げた由。
関フィルの演奏は客の入りにもかかわらず気魄に満ちあふれ 一つひとつの音が聴くものの心をぐいぐい惹きつけました。繰り返される最初の主題が次第に強く高らかに鳴り響き、やがて静かな流れとなった後、全楽器の一瞬!のフォルテで締め括られました。
私が聴いたこれまでの関フィルの演奏の中で、この「モルダウ」こそ間違いなく一番!でした。指揮者も奏者も観客もそれぞれが心から響きあったひとときでした。
3年前の関フィルの"モルダウ"ですが、今回の演奏のほうが遥かに!良かったです。
めくるめく高揚感...ブラームス「交響曲第一番」
妻はブラームスが大好き!ゆえ「第一楽章冒頭!鳴り響く序奏に総てがこめられているので聴き逃しなく!」と。なるほど指揮者のプレトークでも、書き上げるまでに20年を要した「交響曲第一番」に懸けるブラームスの様々な思い、背景が語られました。
冷静な!ブラームスにしては「感情移入の激しい曲」とは、指揮者のプレトークの言葉。曲中に、ブラームスが密かに愛したシューマンの未亡人(ブラームスの13歳年上)に贈った楽曲が含まれている由。なるほど!芸術家らしい愛の表現ではあります。
私にはなかなか親切な前置きでした(笑)。交響曲とは何か!自らに問い様々な曲想を練ったブラームスが辿りついた爆発!が第一楽章冒頭。「題名のない音楽会」でベートーベン「第九」の歓喜の合唱についてかつて小澤征爾さんが語ったことを思いました。
『この歌には発声も音程もどうだっていい! 狂気のように歓喜を歌い上げてほしい!』
帰途、「或る楽器が余りに耳障りだった」と語られているのを聞きました。しかしその人にして「今日の演奏会はとても良かった」と。第四楽章、めくるめく劇的な高揚が身体の芯に響き、私には「モルダウ」に次ぐ関フィル二番目?の印象的な演奏でした。
アンコール曲は「ロンドンデリーの歌」(「ダニーボーイ」としても歌われます)
佐藤しのぶさんがコンサートでよく歌われた一曲です。偶然に選ばれたアンコール曲でしょうか...聴きながらはらはらと涙がこぼれました。
【過去ログ目次一覧】
吾輩も猫である~40 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/58089c94db4126a1a491cd041749d5d4
吾輩も猫である~80 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/dce7073c79b759aa9bc0707e4cf68e12
吾輩も猫である81~140 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/f9672339825ecefa5d005066d046646f
吾輩も猫である141~ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/b7b2d192a4131e73906057aa293895ef
人生の棚卸し http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/ddab58eb8da23a114e2001749326f1f1
人生の棚卸し(2) https://blog.goo.ne.jp/00003193/e/22b3ffae8d0b390afee667c0e9ed92ed
かんわきゅうだい(57~) http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/20297d22fcd28bacdddc1cf81778d34b
かんわきゅうだい(~56) http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a0b140d3616d89f2b5ea42346a7d80f0
閑話休題 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/c859a3480d132510c809d930cb326dfb
腎がんのメモリー http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/bee90bf51656b2d38e95ee9c0a8dd9d2
旅行記 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/23d5db550b4853853d7e1a59dbea4b8e
新聞・TV・映画etc. http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a7126ea61f3deb897e01ced6b3955ace
ごあいさつ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/7de1dfba556d627571b3a76d739e5d8c
ホールのロビーには来月24日にここで予定されていた「佐藤しのぶコンサート」のポスターが掲示されていました。訃報と併せてコンサート中止の旨が記され、その前で多くの方が足を止められ彼女が亡くなられたことを改めて心に刻むところとなりました。
一点の曇りなき ハレルヤ!
メンデルスゾーン ”結婚行進曲” を結婚式以外で聴くのは初めてです。この幸せな響きに心がなじめませんでしたが、つづくヘンデル ”ハレルヤ・コーラス” に心うたれました。
関フィルと三十数人の少年少女合唱団の醸しだすピュアーな世界...指揮者の藤岡幸夫さんがプレ・トークで『けして悪い意味で言うのではありませんが、巧い合唱団ではない合唱団の一点の曇りなき心あらわれる演奏をおとどけします』にふさわしい合唱でした。
なんども!なんども!繰返される「ハレルヤ」のフレーズ。いつの間にか心にハレルヤが宿り 藤岡さんの言葉どおり「一点の曇りなき心あらわれる」世界に誘われました。
源田俊一郎「ふるさとの四季」
今や国民歌となった「ふるさと(故郷)」。その一番に始まり「朧月夜」「村祭」「冬景色」など四季それぞれ数曲歌われ、終章に再び「ふるさと」の二番、そして三番。
如何にいます父母/つつがなしや友がき/雨に風につけても/思いいずるふるさと...こころざしを果たして/いつの日にか帰らん/山は青きふるさと/水は清きふるさと
観客の入り!は寂しすぎましたが(5割…かな)、合唱もオーケストラも渾身の演奏でした。そしてこれに応えた観客の鳴りやまぬ熱い拍手が印象的でした。
スメタナ 交響詩「わが祖国」より “モルダウ”
「わが祖国」はシベリウスの交響詩「フィンランディア」と並ぶチェコの国民音楽。「モルダウ」は連作6曲中の第2曲、源流を思わせる繊細な響きはやがて大地を縫う大河へ。スメタナは作曲中に聴力を失いますが、愛国の念が魂を奮い立たせ書き上げた由。
関フィルの演奏は客の入りにもかかわらず気魄に満ちあふれ 一つひとつの音が聴くものの心をぐいぐい惹きつけました。繰り返される最初の主題が次第に強く高らかに鳴り響き、やがて静かな流れとなった後、全楽器の一瞬!のフォルテで締め括られました。
私が聴いたこれまでの関フィルの演奏の中で、この「モルダウ」こそ間違いなく一番!でした。指揮者も奏者も観客もそれぞれが心から響きあったひとときでした。
3年前の関フィルの"モルダウ"ですが、今回の演奏のほうが遥かに!良かったです。
めくるめく高揚感...ブラームス「交響曲第一番」
妻はブラームスが大好き!ゆえ「第一楽章冒頭!鳴り響く序奏に総てがこめられているので聴き逃しなく!」と。なるほど指揮者のプレトークでも、書き上げるまでに20年を要した「交響曲第一番」に懸けるブラームスの様々な思い、背景が語られました。
冷静な!ブラームスにしては「感情移入の激しい曲」とは、指揮者のプレトークの言葉。曲中に、ブラームスが密かに愛したシューマンの未亡人(ブラームスの13歳年上)に贈った楽曲が含まれている由。なるほど!芸術家らしい愛の表現ではあります。
私にはなかなか親切な前置きでした(笑)。交響曲とは何か!自らに問い様々な曲想を練ったブラームスが辿りついた爆発!が第一楽章冒頭。「題名のない音楽会」でベートーベン「第九」の歓喜の合唱についてかつて小澤征爾さんが語ったことを思いました。
『この歌には発声も音程もどうだっていい! 狂気のように歓喜を歌い上げてほしい!』
帰途、「或る楽器が余りに耳障りだった」と語られているのを聞きました。しかしその人にして「今日の演奏会はとても良かった」と。第四楽章、めくるめく劇的な高揚が身体の芯に響き、私には「モルダウ」に次ぐ関フィル二番目?の印象的な演奏でした。
アンコール曲は「ロンドンデリーの歌」(「ダニーボーイ」としても歌われます)
佐藤しのぶさんがコンサートでよく歌われた一曲です。偶然に選ばれたアンコール曲でしょうか...聴きながらはらはらと涙がこぼれました。
【過去ログ目次一覧】
吾輩も猫である~40 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/58089c94db4126a1a491cd041749d5d4
吾輩も猫である~80 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/dce7073c79b759aa9bc0707e4cf68e12
吾輩も猫である81~140 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/f9672339825ecefa5d005066d046646f
吾輩も猫である141~ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/b7b2d192a4131e73906057aa293895ef
人生の棚卸し http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/ddab58eb8da23a114e2001749326f1f1
人生の棚卸し(2) https://blog.goo.ne.jp/00003193/e/22b3ffae8d0b390afee667c0e9ed92ed
かんわきゅうだい(57~) http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/20297d22fcd28bacdddc1cf81778d34b
かんわきゅうだい(~56) http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a0b140d3616d89f2b5ea42346a7d80f0
閑話休題 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/c859a3480d132510c809d930cb326dfb
腎がんのメモリー http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/bee90bf51656b2d38e95ee9c0a8dd9d2
旅行記 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/23d5db550b4853853d7e1a59dbea4b8e
新聞・TV・映画etc. http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a7126ea61f3deb897e01ced6b3955ace
ごあいさつ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/7de1dfba556d627571b3a76d739e5d8c
折角、お知らせ頂いたのに私事で行けず残念でした
素敵な『オータムコンサート』だったのですね。
様子だけ見せて貰って嬉しいです、、
佐藤しのぶさん、まだお若くて これからのご活躍を期待されていたでしょうに・・
淋しくなりましたねm(__)m
して頂いた
「アニー・ローリー」「故郷の空」「ロンドンデリーの歌」を心に刻んで聴かせていただきました。
ふじのりんごさん
早速にコメントくださりありがとうございました
> 折角、お知らせ頂いたのに私事で行けず残念でした。
直前のご案内で申し訳ありませんでした。
チケットがあまり売れていないと仄聞し、貧者の一灯 ならぬ 暇人の一報!と(笑)
> 素敵な『オータムコンサート』だったのですね。様子だけ見せて貰って嬉しいです、、
この日の観客のみなさんの層!は、言わば岩盤のように厚くて熱い方が多いのでしょう。
プレイヤーもその期待に応える気魄ある演奏でした。
どちらかと言えば軽い...演奏に聴きなれていましたから、意外性にみちた?演奏でもありました。
それとも少年少女たちの合唱にアーティスト魂が刺激されたのでしょうか?(笑)
> 佐藤しのぶさん、まだお若くて これからのご活躍を期待されていたでしょうに・・
> 淋しくなりましたねm(__)m
ほんとうに...残念です。
毎年1度は彼女のコンサートに参りましたからね。
ぽっかり...大きな空洞ができてしまいました。
>UPしていただいた「アニー・ローリー」「故郷の空」「ロンドンデリーの歌」、
> 心に刻んで聴かせていただきました
今夜は、昔お世話になった方のお通夜で、先刻帰ってきたところです。
かつての同僚にも何人かお会いし、故人を偲びました。
お経をききながら「ロンドンデリーの歌」が重なる...そんな一夜でした。
素敵なコンサートの感動が伝わってきます。
感動できるって、本当に命の喜びですね。
クラッシックは特に心の深いところに触れるように思います。
不思議です。
コメントありがとうございました
> 素敵なコンサートの感動が伝わってきます。
> 感動できるって、本当に命の喜びですね。
関フィルにはガッカリすることが少なからずありましたが、
この日の演奏はピカイチ!でした。
そして今夜は、NHKホールで同FMの「リサイタル・パッシオ」に参りました。
八木寿子さんのメゾソプラノと諸岡拓見さんのチェロ。
いずれも!ながら 八木さんのメゾソプラノにシビレました。
ソプラノ独唱はしばしば聴く機会がありますが、メゾは少なく...。
「荒城の月」はとりわけ素晴らしく...豊かな声量とのびやかな声質に圧倒されました。
諸岡さんのチェロでは、初めて聴くドボルザーク「森の静けさ」が印象的でした。
前から知っているようなメロディ...に聴こえるのが不思議ですね(笑)
八木さんのメゾは 11/10(日)20:20~NHK-FMで
諸岡さんのチェロ 11/17(日)20:20~同じくNHK-FMで放送されます。
> クラッシックは特に心の深いところに触れるように思います。不思議です。
はい。その不思議!こそがクラシックの魅力だと思います。
ですから何も不思議を感じないクラシックには気を遣わなくていいと思います(笑)
諸岡さんのチェロではありませんが
ドボルザーク「森の静けさ」をヨーヨー・マのチェロでお聴きください(指揮:小澤征爾)
https://www.youtube.com/watch?v=R6z4hA3JzZ4