CREATORS 2023年2月2日付記事
「バス免許保有者の81%が50代以上、『鉄道の廃止』で地域交通崩壊の危険」
https://creators.yahoo.co.jp/tetsudonoruzo/0100389582
執筆:鉄道乗蔵さん(鉄道ライター)
JR北海道の経営危機問題に始まり、JR西日本やJR東日本も赤字路線の収支を公開したことで
全国に危機感が広がっているローカル線の存続問題。
これまで、鉄道路線の廃止が選択された場合は、バス路線で代替するケースが一般的であったが、
昨今、バスドライバー不足と高齢化問題が深刻化しており、
安易に鉄道路線を廃止してしまうと地域交通そのものを崩壊させかねない危険がある。
警察庁では、毎年、運転免許の年齢別、種類別の保有者数など
運転免許にかかわる数値データを1年分まとめた「運転免許統計」を毎年、発行している。
2021年度の運転免許統計によると、
路線バスを運転できる大型2種免許の保有者の81%が50代以上に上り、
これから働き盛りを迎える30代以下の保有者はわずか5.1%しかいない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/68/83/d471fa2647ed50f402340d40b58526cb.jpg)
2021年度「運転免許統計」より、執筆者作成
鉄道路線を廃止してバスに転換しようとしても、
バスを運転できるドライバーが存在しなくなることから、
強引に鉄道路線を廃止してしまうと、地域の公共交通そのものを崩壊させかねない事態となる。
2030年度末に予定されている北海道新幹線の札幌延伸開業に伴い
JR北海道から経営が分離される函館本線の「長万部~小樽間140.2km」については、
輸送密度が2,000人を超えている「余市~小樽間」も含めて全線での廃止の方針が決定されている。
しかし、受け皿となる北海道中央バスは、
2017年よりバスドライバー不足を理由として小樽市内路線の減便に踏み切り、
近隣路線の減便や廃止を進めている。
さらにこの2022年から2023年の年末年始にかけては、
小樽市内路線や「余市~小樽線」の終日運休や大幅な減便を実施した。
それほどまでにバスドライバー不足の問題は深刻化しており、
特に「余市~小樽間」の鉄道と同等の輸送力を
本当にバスでカバーできるのかを危惧する声が上がっている。
2022年7月、
国土交通省は、全国で問題が表面化したJRのローカル線問題について
「地域の将来と利用者の視点に立ったローカル鉄道の在り方に関する提言」を取りまとめた。
この提言では、「輸送密度が1000人未満の路線は見直し」という点ばかりが大きく報道されたが、
実は地方交通の再構築の方向性として他に重要な点が盛り込まれている。
鉄道として再生する場合には、
地域戦略と利用者の視点に立った “鉄道の徹底的な活用と競争力の回復" に向け、
鉄道輸送の高度化に取り組んでいくこと。
BRTやバスに転換する場合には、運行コストを削減しつつ、増便、ルート変更、バス停の新設により
鉄道と同等又はそれ以上の利便性を実現していくことが示され、
地方交通の再構築の方向性については、いずれも現状の鉄道よりも利便性向上を図ることが前提とされた。
バスドライバーの人手不足と高齢化が進行する中で、地方交通の再構築を考えた場合、
「今ある鉄道を活かすこと」を考えることが
最も現実的な選択肢になるのではないだろうか。
----------------------------
ここ30年間のJR北海道の政策は
・夜行列車の全廃
・安全対策がおろそかになった (脱線事故、特急列車の炎上)
⇒中島尚俊・第4代社長、坂本眞一・相談役兼元社長の自殺
・「整備新幹線一択」への妄信、それに伴う犠牲
(札幌駅前商業施設“PASEO”の閉店など→北海道経済への悪影響)
・バス転換対象路線への強引な引導、4路線(札沼線・夕張支線・日高線・留萌本線)の廃止
・従業員の大量退職
・除雪対策の大幅な後退
札幌圏にだけ政策集中の弊害が、ここまで出ている。
北海道新幹線がJR北海道を壊した、と言ってもいいのではないでしょうか。
できる事をなんにもやらない。
新幹線しかアタマにない。
やらないから客も流れない。
客が来ないから稼げない。
稼げないから、切り棄てる発想しか生まれない。
そのツケは全部利用者が被る。
国土交通省も北海道庁も、
いい加減に「整備新幹線一択」の妄信を悔い改めて
(「北海道新幹線」のJR東日本への譲渡売却も含めて)
今ある道内の鉄道ネットワークの維持強化という「原点」に立ち返るべきだ。
「バス免許保有者の81%が50代以上、『鉄道の廃止』で地域交通崩壊の危険」
https://creators.yahoo.co.jp/tetsudonoruzo/0100389582
執筆:鉄道乗蔵さん(鉄道ライター)
JR北海道の経営危機問題に始まり、JR西日本やJR東日本も赤字路線の収支を公開したことで
全国に危機感が広がっているローカル線の存続問題。
これまで、鉄道路線の廃止が選択された場合は、バス路線で代替するケースが一般的であったが、
昨今、バスドライバー不足と高齢化問題が深刻化しており、
安易に鉄道路線を廃止してしまうと地域交通そのものを崩壊させかねない危険がある。
警察庁では、毎年、運転免許の年齢別、種類別の保有者数など
運転免許にかかわる数値データを1年分まとめた「運転免許統計」を毎年、発行している。
2021年度の運転免許統計によると、
路線バスを運転できる大型2種免許の保有者の81%が50代以上に上り、
これから働き盛りを迎える30代以下の保有者はわずか5.1%しかいない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/68/83/d471fa2647ed50f402340d40b58526cb.jpg)
2021年度「運転免許統計」より、執筆者作成
鉄道路線を廃止してバスに転換しようとしても、
バスを運転できるドライバーが存在しなくなることから、
強引に鉄道路線を廃止してしまうと、地域の公共交通そのものを崩壊させかねない事態となる。
2030年度末に予定されている北海道新幹線の札幌延伸開業に伴い
JR北海道から経営が分離される函館本線の「長万部~小樽間140.2km」については、
輸送密度が2,000人を超えている「余市~小樽間」も含めて全線での廃止の方針が決定されている。
しかし、受け皿となる北海道中央バスは、
2017年よりバスドライバー不足を理由として小樽市内路線の減便に踏み切り、
近隣路線の減便や廃止を進めている。
さらにこの2022年から2023年の年末年始にかけては、
小樽市内路線や「余市~小樽線」の終日運休や大幅な減便を実施した。
それほどまでにバスドライバー不足の問題は深刻化しており、
特に「余市~小樽間」の鉄道と同等の輸送力を
本当にバスでカバーできるのかを危惧する声が上がっている。
2022年7月、
国土交通省は、全国で問題が表面化したJRのローカル線問題について
「地域の将来と利用者の視点に立ったローカル鉄道の在り方に関する提言」を取りまとめた。
この提言では、「輸送密度が1000人未満の路線は見直し」という点ばかりが大きく報道されたが、
実は地方交通の再構築の方向性として他に重要な点が盛り込まれている。
鉄道として再生する場合には、
地域戦略と利用者の視点に立った “鉄道の徹底的な活用と競争力の回復" に向け、
鉄道輸送の高度化に取り組んでいくこと。
BRTやバスに転換する場合には、運行コストを削減しつつ、増便、ルート変更、バス停の新設により
鉄道と同等又はそれ以上の利便性を実現していくことが示され、
地方交通の再構築の方向性については、いずれも現状の鉄道よりも利便性向上を図ることが前提とされた。
バスドライバーの人手不足と高齢化が進行する中で、地方交通の再構築を考えた場合、
「今ある鉄道を活かすこと」を考えることが
最も現実的な選択肢になるのではないだろうか。
----------------------------
ここ30年間のJR北海道の政策は
・夜行列車の全廃
・安全対策がおろそかになった (脱線事故、特急列車の炎上)
⇒中島尚俊・第4代社長、坂本眞一・相談役兼元社長の自殺
・「整備新幹線一択」への妄信、それに伴う犠牲
(札幌駅前商業施設“PASEO”の閉店など→北海道経済への悪影響)
・バス転換対象路線への強引な引導、4路線(札沼線・夕張支線・日高線・留萌本線)の廃止
・従業員の大量退職
・除雪対策の大幅な後退
札幌圏にだけ政策集中の弊害が、ここまで出ている。
北海道新幹線がJR北海道を壊した、と言ってもいいのではないでしょうか。
できる事をなんにもやらない。
新幹線しかアタマにない。
やらないから客も流れない。
客が来ないから稼げない。
稼げないから、切り棄てる発想しか生まれない。
そのツケは全部利用者が被る。
国土交通省も北海道庁も、
いい加減に「整備新幹線一択」の妄信を悔い改めて
(「北海道新幹線」のJR東日本への譲渡売却も含めて)
今ある道内の鉄道ネットワークの維持強化という「原点」に立ち返るべきだ。