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音楽大好き男の徒然なる日記

追悼・高橋幸宏さん(1) マッドマン編

2023-02-03 | 音楽
東京新聞 2023年1月16日付「筆洗」
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/225491?rct=hissen

1980年代をどう表現するか。

経済は絶好調。
メード・イン・ジャパンの製品は世界中で売れに売れる。
エズラ・ボーゲル氏が『ジャパン・アズ・ナンバーワン』で
世界は日本を見習えと書いたのは1979年。
日本人が戦後、最も自信にあふれていた季節だろう

YMOの「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー」の発表が同じ年だった。
テクノポップと呼ばれる電子楽器による新しい音楽。
欧米での評価も高く、当時の日本人はSONYやTOYOTAと同じようにYMOに日本の自信を感じていた気がする。

日本のロックドラマーの先駆者でYMOなどで活躍した高橋幸宏さんが亡くなった。
70歳。

アルバム同名曲や「シチズンズ・オブ・サイエンス」での
タイトで正確なドラムや独特なボーカルを思い出す。

日本人の自信と書いたが、YMOが奏でていた音楽はそれとは正反対だったのだろう。
経済繁栄の中、非個性的で画一的な技術の時代へ向かうことへの皮肉と警鐘。
機械による音楽や高橋さんのアイデアでメンバーが着た赤い人民服もその表れかもしれない。

サディスティック・ミカ・バンドでの盟友、加藤和彦さんが高橋さんを
「空が青いと歌っただけで悲しさを表現できる」とかつて評した。


無機質にも聞こえた音楽だが、高橋さんは人類の悲しみを歌声とドラムに込めていたか。
走りすぎてしまったドラムがつらい。

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東京新聞 2023年1月16日付記事
「高橋幸宏さん死去 YMOドラマー「ライディーン」」
  https://www.tokyo-np.co.jp/article/225503


「イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)」のドラマーを務め、
代表作「ライディーン」を作曲するなどし、世界にテクノブームを巻き起こした
ミュージシャンの高橋幸宏(たかはし・ゆきひろ)さんが1月11日、
脳腫瘍により併発した誤嚥(ごえん)性肺炎のため死去した。
70歳。
東京都出身。
葬儀は近親者で行った。
喪主は妻喜代美(きよみ)さん。
後日、お別れの会を行う予定。


1972年、加藤和彦さん率いる「サディスティック・ミカ・バンド」に参加。
欧州でも人気を得た。
1978年に細野晴臣さん、坂本龍一さんと共にYMOを結成した。

ヒット曲「君に、胸キュン。」などでボーカルも担当した。
YMOの3人が着た中国の人民服風の赤い衣装を自らデザインし、
七九年のアルバム「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー」のジャケット写真にも掲載。
当時流行したもみ上げをそり落とす髪形「テクノカット」と共にビジュアル面でも人気を支えた。

ソロとしても積極的に活動。
1981年には鈴木慶一さんとのユニット「ザ・ビートニクス」を結成。
近年は原田知世さん、高野寛さんらと「pupa」、
小山田圭吾さんらと「METAFIVE」を組むなど多くのバンドで活躍した。

大林宣彦監督作「四月の魚」(1986年公開)で主役を務めるなど映画にも出演した。

喜代美さんによると、2020年夏に判明した脳腫瘍の手術は成功。
その後、高橋さんは復帰に向けて治療と入退院を繰り返しながらリハビリに向き合ってきた。

昨年11月以降は自宅で療養していたが、年末から容体が悪化したという。

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悲しみはまだ癒えてないと思いますが、
当ブログでも幸宏さんの功績を振り返ってみたいと思います。

なるべく“お馴染みの”ものを最後にして後味良いものにしたいため、
まず第1弾としましては、“YMO周辺の衝撃狂気”編から取り上げようと思いました。


とある記事で「YMO(イエローマジック・オーケストラ)は革命だ」というのを見ましたが、
確かにいろいろな価値をひっくり返す結果にもなりました。
それだけに、いろいろな意味で衝撃を与えるものでしたし、
事実、当時の自分はジャズ・フュージョンやニューミュージックや正統派ロックが好きだったので
アルバム『BGM』以降のYMOにはどちらかと言えば“嫌悪”さえ感じておりました。

まず1曲目は、“YMO結成宣言”とも言える幸宏さんのソロ曲で、
センスあった1枚目の『サラヴァ(Saravah)!』とは大幅なイメージチェンジを計った
2枚目『音楽殺人』(1978)のタイトル曲「Murdered by the Music」から行きましょう。

MURDERED BY THE MUSIC - Yukihiro Takahashi


Lyrics by Chris Mosdell
Composed by 高橋ユキヒロ、鮎川誠



“音楽に殺された”と歌ってるように殺伐とした歌詞とニューウェーブ&テクノ調サウンドに
やはり自分は不快感があった。
救いなのはシーナ&ロケッツの鮎川さんが参加してたので
バリバリのテクノでなかった事だろうか。

この記事をまとめ中に……鮎川誠さんの訃報が入ってきました……
嗚呼、なんて……😥
同じく後日、取り上げたいと思います。


次もなんかノイローゼを思わせる曲です。
ソロ3枚目の『ロマン神経症 (Neuromantic)』(1981)から
Yukihiro Takahashi - New Red Roses(神経質な赤いバラ) - Neuromantic


 作曲:高橋幸宏&大村憲司



細野晴臣、坂本龍一、大村憲司らの日本勢に加え、
ロンドン長期滞在でフィル・マンザネラ、アンディ・マッケイ(以上ロキシー・ミュージック)、
トニー・マンスフィールド(ニュー・ミュージック)らとレコーディングを敢行。
同年のYMO『BGM』から連なる先鋭的テクノ・サウンドに高橋ならではのロマンティックな美意識を投影した本作は、
高橋の数あるソロ作の中でも代表作の1つに数えられる。
  (Amazonなどのレビューより)

「YMOの BGM や TECHNODELIC の中での
 幸宏さんの手掛けた曲の魅せた、うだつのあがらないよな何とも表現できない感覚。
 そう感じさせるメロディ。
 その核はここに垣間見れる気が。
 天才たちの間でのプレッシャーで悩み続けた?天才幸宏さんの才能」
   m keiri さんのコメント。

う~~~ん………
重工業都市でうつ病にかかった男のようなメロディーとサウンドのイメージを自分は持ちました。
正直、聴いていて皆さんはどうお考えでしょうか。
事実YMOの『BGM』と『テクノデリック』の制作期間中は細野氏と坂本氏(教授)の仲が険悪な状態であり、
間を取り持った幸宏さんの心情を思わせるものもあります。

そんな状態が続く1981年、メンバーそれぞれがソロ活動に入り、
幸宏さんはムーンライダーズの鈴木慶一氏と“BEATNIKS ビートニクス”と言うユニットを結成し、
アルバム『EXITENTIALISM 出口主義』をリリースしました。
世界観はやはりテクノ&うつを思わせます。

No Way Out(1981・The Beatniks)


Written by Peter Barakan · 髙橋幸宏 · 鈴木慶一




何かもう少し親近感のあるものはないかと思ったところ、
アルバム『BGM』発表時にフジテレビ「ミュージックフェア」に出演した映像がありましたので、
紹介したいと思います。

なんと教授がドラムを叩いており、貴重な映像です。

CUE(1981) - YMO


Lyrics by Peter Barakan
Composed by 高橋幸宏、細野晴臣



「U・T」も取り上げようかと思ったのですが、
あれはドラムマシン(おそらくTR-808)の打ち込みのようなのでやめました。

「ウインターライブでの楽器機材を丸々持ち込んでのスタジオ撮り。
 何度かテイクを重ねたそうで、数あるCUEの演奏の中でもベストテイク。
 詞が凄く今の世の中に訴えかけるものがあり、まさに先進的な楽曲だと思う。
 こんな神グループは今後絶対現れないと思うし、絶対無二の存在。
 肉体は滅びても、その痕跡と精神は永遠に生き続ける。」
   コウジ さんのコメント。

確かに映像で観ると、やっぱり奇才たちの集まりだったのですねー。


今回の最後にもう一曲を。
中原中也の詩にインスパイアされた歌詞だそうです。
やっぱ日本語のほうがいいなぁ・・・

「悲しい程明るい中で
 君にサヨナラ・・・」
ソロアルバム『What, Me worry (ボク、大丈夫)?』がリリースされたのは1982年で、「YMO散開(解散)」の1年前。
今思うと、“最後くらい明るく終わろう”と言う散開の予告だったのではないでしょうか。

【HD】サヨナラ (2021Remaster)- 高橋幸宏


 作詞・作曲:Takahashi



歌詞:J-Lyric.net
 https://j-lyric.net/artist/a005000/l024bbd.html



随分選曲に迷いましたが、次はもっと親しみやすいものを選びますので、
乞うご期待を。

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2023年2月4日付訪問者数:226名様
お付き合いいただき、ありがとうございました。
 (なんかスゲー数になってきたなぁ)

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