北海道新聞 2020年1月11日付記事
「JR8区間維持 道が“考え方”案~利用促進策以外拒む 市町村寄りの姿勢を強調」
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/382313?rct=n_jrhokkaido
JR北海道の路線見直し問題を巡り、道は10日、
札幌市内で開いた運輸交通審議会(会長=吉見宏・北大大学院経済学研究院教授)に
「持続的な鉄道網の確立に向けた基本的な考え方」の案を示した。
案には、利用促進以外の地元負担には応じない立場を明記し、市町村から歓迎の声が上がった。
一方で、地元に一定の負担を求めたいJRや国は「路線が維持できなくなる」と困惑。
今後、JR支援の新たな仕組みづくりに影響する可能性もある。
「利用促進以外について地域に負担を求めることは受け入れられない。
国が中心となり支援策を講じるよう求めていく」。
JRが地元負担を前提に存続を目指す8区間について、案にはこう明記された。
鈴木直道知事が12月の道議会答弁で方針を示していた。
国がJRを支援する根拠の法律は2020年度末に期限を迎える。
道は「基本的な考え方」を基に、国と新たな支援の枠組みを協議する方針で、
月内にも成案化し、年度内にまとめる国への提言に反映させる。
審議会は学識経験者や交通事業者らで構成。
道の案に対し、委員の蝦名大也釧路市長は「歓迎すべきだ。支持したい」と賛意を表明し、
徳永哲雄・釧路管内弟子屈町長も「大変立派な考え方」と評価した。
2018年度の8区間の赤字額は計133億円に上る。
JRは8区間維持に向けた国や道、市町村の支援額を年80億円と想定。
国は「地元自治体と同水準の負担」とする方針を示し、単純計算で道と市町村は40億円の負担となる。
道の考え方はこの大半を拒む形となる。
道と市町村は2019、2020年度に年2億円の利用促進費を負担し、
市町村に 「これ以上は負担できない。国鉄分割民営化を進めた国が責任を持つべきだ」 との声が根強いためだ。
JRの昨年4~9月期の収支で、8区間の営業収益は前年同期より6500万円増えた。
道は地元の利用促進策が一定の役割を果たしているとして、国などに理解を求める構えだ。
知事にとっては今回の「考え方」で、市町村に寄り添う姿勢を鮮明にする狙いもある。
自民党の知事選候補者選びで、大半の市町村長が鈴木氏ではなく、中央官僚を推した経緯から、
「首長との信頼関係を強化したかったのでは」(道幹部)との声も漏れる。
(文章執筆:内藤景太)
■JR、消極支援に困惑 国は「地元と同水準」崩さず
「利用促進以外の費用は当社と国で負担すべきだと受け止められるが、今後どうなるのか。
(8区間維持の)仕組みがしっかりできるか懸念がある」。
JR北海道の綿貫泰之常務は審議会でこう述べ、道の案への不満をあらわにした。
JR側には、経営努力には限界があるとして
「自治体による赤字補填(ほてん)や施設更新など踏み込んだ支援が必要」(幹部)との声が強い。
鈴木知事は夕張市長時代、石勝線夕張支線の廃止を逆提案し、社内に「JRの現状に理解がある」との期待感もあった。
それだけに地元負担への消極姿勢に困惑が広がる。
幹部は「路線維持に向けた仕組みづくりができなければ、存続は難しくなる」と指摘する。
2021年度以降のJRへの支援継続の是非を検討する国土交通省内にも
「8区間への支援を国が全面的に担うという発想は考えづらい」(幹部)との声がある。
同省が8区間への支援額について
「地元自治体と同水準」との姿勢を崩さないのは、JR四国なども経営が厳しい中、
北海道だけ特別扱いできないという事情もある。
青函トンネルの維持管理費などJR北海道の経営支援のために2019、2020年度に総額約400億円を支出する上、
2021年度以降に地元負担なしに国が補助すれば「過剰な支援だ」との批判が高まりかねない。
同省はJR支援について
「何の制約もなく(国が)支援することはモラルハザード(倫理観の欠如)につながる」(赤羽一嘉国交相)との立場で、
道やJRと協議を行い、それぞれに応分の負担を求める考え。
負担を避けたい道や自治体との隔たりは大きい。
北大大学院の岸邦宏准教授は審議会で、
「どう財源を確保すべきか、具体的なアイデアを出さなければいけない。
(事態が)少しでも前に動くようにみんなで協力すべきだ」と
呼び掛けた。
(文章執筆:石井努、長谷川紳二)
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はっきり言う。
「生活の足」を守るのは「金」じゃない。
「国民のライフラインを守らねば」という為政者・経営者の「良識と信念」だ。
やっと鈴木知事が道民のライフラインを守ろうという気になって下さった、と思い、支持したいと思います。
個人的には、道内在来線を守るためならば、北海道新幹線の未開通区間(新函館北斗~札幌間)は
開通を「2030年よりも10年以上先送り」すべきだと思います。
どうせ全通しても赤字が雪だるま式に増えるだけなのだから。
さらに言わせてもらえるなら、「北海道新幹線」そのものから
JR北海道は手を引いて、JR東日本に譲渡すべきではないでしょうか。
「道民の足」を守ろうという責任を持てないのに、
新幹線全通なんて半世紀早いのでは、とさえ思います。
また、何度も言いますが、
道庁はJR北海道がいう「自社維持困難路線」を維持存続させるためにも
「ふるさと納税」やクラウドファンディングなどで「基金化」するべきです。
それだけ、切羽詰まっているのです。
それだけ「本気」なのか、鉄道ファンも道民も見つめているのです。
「JR8区間維持 道が“考え方”案~利用促進策以外拒む 市町村寄りの姿勢を強調」
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/382313?rct=n_jrhokkaido
JR北海道の路線見直し問題を巡り、道は10日、
札幌市内で開いた運輸交通審議会(会長=吉見宏・北大大学院経済学研究院教授)に
「持続的な鉄道網の確立に向けた基本的な考え方」の案を示した。
案には、利用促進以外の地元負担には応じない立場を明記し、市町村から歓迎の声が上がった。
一方で、地元に一定の負担を求めたいJRや国は「路線が維持できなくなる」と困惑。
今後、JR支援の新たな仕組みづくりに影響する可能性もある。
「利用促進以外について地域に負担を求めることは受け入れられない。
国が中心となり支援策を講じるよう求めていく」。
JRが地元負担を前提に存続を目指す8区間について、案にはこう明記された。
鈴木直道知事が12月の道議会答弁で方針を示していた。
国がJRを支援する根拠の法律は2020年度末に期限を迎える。
道は「基本的な考え方」を基に、国と新たな支援の枠組みを協議する方針で、
月内にも成案化し、年度内にまとめる国への提言に反映させる。
審議会は学識経験者や交通事業者らで構成。
道の案に対し、委員の蝦名大也釧路市長は「歓迎すべきだ。支持したい」と賛意を表明し、
徳永哲雄・釧路管内弟子屈町長も「大変立派な考え方」と評価した。
2018年度の8区間の赤字額は計133億円に上る。
JRは8区間維持に向けた国や道、市町村の支援額を年80億円と想定。
国は「地元自治体と同水準の負担」とする方針を示し、単純計算で道と市町村は40億円の負担となる。
道の考え方はこの大半を拒む形となる。
道と市町村は2019、2020年度に年2億円の利用促進費を負担し、
市町村に 「これ以上は負担できない。国鉄分割民営化を進めた国が責任を持つべきだ」 との声が根強いためだ。
JRの昨年4~9月期の収支で、8区間の営業収益は前年同期より6500万円増えた。
道は地元の利用促進策が一定の役割を果たしているとして、国などに理解を求める構えだ。
知事にとっては今回の「考え方」で、市町村に寄り添う姿勢を鮮明にする狙いもある。
自民党の知事選候補者選びで、大半の市町村長が鈴木氏ではなく、中央官僚を推した経緯から、
「首長との信頼関係を強化したかったのでは」(道幹部)との声も漏れる。
(文章執筆:内藤景太)
■JR、消極支援に困惑 国は「地元と同水準」崩さず
「利用促進以外の費用は当社と国で負担すべきだと受け止められるが、今後どうなるのか。
(8区間維持の)仕組みがしっかりできるか懸念がある」。
JR北海道の綿貫泰之常務は審議会でこう述べ、道の案への不満をあらわにした。
JR側には、経営努力には限界があるとして
「自治体による赤字補填(ほてん)や施設更新など踏み込んだ支援が必要」(幹部)との声が強い。
鈴木知事は夕張市長時代、石勝線夕張支線の廃止を逆提案し、社内に「JRの現状に理解がある」との期待感もあった。
それだけに地元負担への消極姿勢に困惑が広がる。
幹部は「路線維持に向けた仕組みづくりができなければ、存続は難しくなる」と指摘する。
2021年度以降のJRへの支援継続の是非を検討する国土交通省内にも
「8区間への支援を国が全面的に担うという発想は考えづらい」(幹部)との声がある。
同省が8区間への支援額について
「地元自治体と同水準」との姿勢を崩さないのは、JR四国なども経営が厳しい中、
北海道だけ特別扱いできないという事情もある。
青函トンネルの維持管理費などJR北海道の経営支援のために2019、2020年度に総額約400億円を支出する上、
2021年度以降に地元負担なしに国が補助すれば「過剰な支援だ」との批判が高まりかねない。
同省はJR支援について
「何の制約もなく(国が)支援することはモラルハザード(倫理観の欠如)につながる」(赤羽一嘉国交相)との立場で、
道やJRと協議を行い、それぞれに応分の負担を求める考え。
負担を避けたい道や自治体との隔たりは大きい。
北大大学院の岸邦宏准教授は審議会で、
「どう財源を確保すべきか、具体的なアイデアを出さなければいけない。
(事態が)少しでも前に動くようにみんなで協力すべきだ」と
呼び掛けた。
(文章執筆:石井努、長谷川紳二)
-------------------------------------------------------------------------------------------------
はっきり言う。
「生活の足」を守るのは「金」じゃない。
「国民のライフラインを守らねば」という為政者・経営者の「良識と信念」だ。
やっと鈴木知事が道民のライフラインを守ろうという気になって下さった、と思い、支持したいと思います。
個人的には、道内在来線を守るためならば、北海道新幹線の未開通区間(新函館北斗~札幌間)は
開通を「2030年よりも10年以上先送り」すべきだと思います。
どうせ全通しても赤字が雪だるま式に増えるだけなのだから。
さらに言わせてもらえるなら、「北海道新幹線」そのものから
JR北海道は手を引いて、JR東日本に譲渡すべきではないでしょうか。
「道民の足」を守ろうという責任を持てないのに、
新幹線全通なんて半世紀早いのでは、とさえ思います。
また、何度も言いますが、
道庁はJR北海道がいう「自社維持困難路線」を維持存続させるためにも
「ふるさと納税」やクラウドファンディングなどで「基金化」するべきです。
それだけ、切羽詰まっているのです。
それだけ「本気」なのか、鉄道ファンも道民も見つめているのです。