西村賢太さんが54歳という若さで
逝去されたという知らせに
ショックを抑えられない。
タクシーに乗車中、意識を
失い病院にて亡くなられたらしい。
デビュー作の
「どうで死ぬ身のひと踊り」
は心酔する小説家への狂気を
含んだかのような傾倒、
そして男の性(さが)が
生々しく描かれていた。
激しい嫌悪感を生じさせる場面
も随所に出てきて怯んだ。
ご自身でおっしゃったように
小説は作者自身の血と涙で
描かれていなければならぬという
心意気が感じられた私小説だった。
芥川賞を受賞した
「苦役列車」
飄々としてユーモラスな文章。
自分を“ぼく”表現しているところも
滑稽さを増す。
人間誰しも自分には気がつかない体臭や
劣等感を隠し持ってはいると改めて
突きつけられたような気がする。
面白くてやがて悲しい、または、
悲しくてやがて面白いという気分になった。
西村賢太さんのご苦労を考えると
小説を書くための生い立ちだった
のかも知れないと思う。
これから、まだまだ小説を
世に出したかったことだろうに、、合掌。