先日、久々にUさんと一緒にちょっとした旅行に出かけた。時々電話で連絡を取り合ってはいたが、コロナ禍のせいでUさんとは実に4年ぶりに会った。
そして、その変貌ぶりにギョッとした。イヤイヤ、外見はあまり変わらないけれど、行動や言動が以前と全く違うのである。
それに気がついたのは乗車、下車の時。以前は、1番に乗車し下車しなければ気が済まない性格だった。食事の時も他の旅行客と集合するときも1番にその場に行かなければ機嫌が悪い人なのである。
例えば、下車する場所が近づいてきたならば、荷物を棚から降ろし、手に持ち下車口にそろりそろり近づく、停車するまでお待ち下さいというアナウンスは当然、無視。
ホテルでの朝の集合時間が仮に8時であれば5時に起床し身支度を整え1時間前にロビーにて待つ。彼女曰く部屋で座っているもロビーで座っているのも変わらないからロビーで待っていた方が合理的という事らしい。
今まで十回ほど旅に同行したが最初はこの彼女なりのこのルールに面食らい、慣れるまでは非常に疲れたのである。
もう、一緒の旅行は御免だとも思ったこともあったが、Uさんのペースについて行けるのは限られた人であったらしく、私にもお誘いが来るのである。
勿論、経済的理由や日程の調整が付かずお断りすることもあったのであるが、この頃は気心が知れてこのルールさえ守るべく努力をすれば楽しみな事となっていた。
ところが、今回は「私は最後に降りるから」「後でいいから」等と言ってのんびりしている。集合時間に間に合うかどうかハラハラするぐらいゆったりとしている。
あのキリキリ、カリカリしていたUさんはゆったりのんびりとした性格に変わってしまっていた。
聞けば、足が痛い訳ではないが重く感じられる事があり、実際2年ぐらい前に転倒し、顔を強打して以来何事もあわてずに行くべしという心境になったらしい。
「貴女ねえ、体の衰えを感じたら性格も変わるよ」とUさんは言う。
ま、それはそうだろうが、ちょっとした事を人を頼りにするようになった事も気になることだ。例えばリュックの紐を長くすることやゴミ捨てやタオル等を干す事も飲み物購入等も私に頼むのである。
ビックリ、以前なら自分で行わないと気が済まないたちだったのに。
最近、近所に長男さん一家が引っ越して来た事も人への依存を助長しているかも知れないと思ったがそのことは言わないでおいた。
Uさんはすっかり、柔和で穏やかな顔つきになられた。
しかし、本音を言えば私はあのキリキリ、カリカリしていたUさんの方が魅力的であったし、好きだったのである。
仕方ない、人間はかわってゆくものだからと思う今日この頃。