町の名もいつしか消えてあの場所に
辿りつけない永遠の夏
最近どうも夢見が悪い。不気味な夢を見て夜中に目が覚める。しかし、昨日みた夢は不気味だが考えようによってはユーモラスな夢かも。
お付き合いください。
私はそう好きでもない元同僚とバスツアーに出かけたらしい。
それなりに楽しいツアーだった。
土産物も買った。
帰りの車中で添乗員さんが、「あいの町からお越しの方々は次の停車場所でお降り下さい」とアナウンスする。
えっあいの町って今はないよね。私の住んでいた町は十分数年前に1市5町が合併し、あいの郡あいの町は、「ただの市よかや」という地名になったはず。
戸惑ったが、私の中では、あいの町は今も馴染んだ地名なので、添乗員さんの言い間違いだろうと元同僚ともう一人の参加者三人で指定の停車場で降りた。
国道沿いだが、閑散とした所だ。もう一人の参加者は国道を渡った所が自宅との事で挨拶をして別れた。
旧あいの町の役場は「あいの支所」として残っているが、国道からそれて、その向こう方向に自宅がある。
なので、支所を目指して歩く。元同僚も同じ方向。最近は、余りこの場所に来ることはない。だが、迷うような複雑な地形ではない田舎道を黙々と歩くだけ。
どれだけ歩いたのだろう。支所は現れない。夕暮れも近い。
楽しい気分はだんだんと消え疲労がつのった所、ふいに明かりが見えた。
桃色の灯籠が並んでいる。
何、ここは商店街?シャッター通りではなくそこそこ人通りがある、昔懐かしい商店街。
こんな所に、、、。いつから商店街なんてあったの?
戸惑う私達。
目の前に着物姿に襷がげの店番の女性がいた。超美人。
全盛期の梅沢富美男の女形のような情念的なポッチャリの女性。
「あのう、ここらへんにあいの支所はありませんか」とおそるおそる尋ねる。
「あいの支所?知らないわよ。」との事。
「昔の役場なんですけど」と私。
「あら、住民票とかならそこのATMから取れるわよ」
何~ATMから住民票?呆気に取られる私。
「あのう、ここは、ただの市ですよね。」と再び私。
「違うわよ。あんた達も迷い込んだの?私も最近ここにきたばかりだから、、、あそこにいる人に聞いてみたら」
指差す方向にデップリ太った、和服姿の白髪の男性の後ろ姿が、、、。
「あのう、すみません、、、」声をかける私。
「なんだい。」と振り向いた男性の顔を見た私は総毛立つ。
その男性はパンダの顔。ギョエ~
さっきの女性の背に声を上げる。「あの人、人間じゃない。」
「あら、私もよ」と振り向く女性も、、、パンダ顔。ギョエ~
そこで目を覚ます。
あ~もったいない。最後はどうなったんだろう。
夢の中の私は無事、家に帰れたのだろうか?