随分、前の話なのだが、、、。
二度寝をしウトウトと
いい気分の夢心地の休日に、
ピン、ポーンと玄関のチャイムが
なった。
しぶしぶ起きて
「どちら様でしょうか」と対応する。
「この度は御愁傷様でございます。
〇〇葬儀社です。何かお仏壇に不都合が
おありだったでしょうか」
と男性の声。
な、なに~。この家、今は私しか
いないのに誰が死んだっていうの?
パニクリながら玄関を開ける。
おそらく片方の眉が完全につりあがって
いたに違いない。
恰幅の良い中年男性が神妙に立っていた。
顔をふせ、
「◎◎◇◇さんのお宅ですか」
と言う。
名字はあっていたが、名前が違う。
「いいえ違います。」と答える。
今度は男性がパニクる。
「ご家族に「◎◎◇◇さんはいませんか」
いないと答えると
「ご親戚方にもいませんか」と聞いてくる。
いないと答えると、急いで車に戻り
線香らしきものを持ってきて
「失礼しました。これをお納めください」
という。どうやら間違いらしい。
「それは要りません。」
と言うとその男性は一礼して去って行った。
まあ、間違いはあることだし、仕方ない。
気持ちを切り替えて行くしかない。
それから、一週間ぐらいたった頃、
また、ピンポーンと玄関のチャイムがなった。
「どちら様でしょうか」私。
「この度は御愁傷様でした。
〇〇葬儀社です。生花をお届けに来ました。」という。
な、なにー。また間違ってからに。
両の眉をつり上げて玄関に出ていく。
「うちは「◎◎◇◇さんとは何の
関わりもないですから一週間ぐらい前
も間違って来たのですよ。」
その人は動揺を見せず、お辞儀を
して帰っていった。
これは、クレームをいれておいた方が良い。
もし、三回目に間違ってきたらゲンが悪い。
三度目の正直というではないか。
不幸が本当になるかもしれない。
〇〇葬儀社に電話する。
「オラ、オラ、オラ~社長を出せ。ゴラァ」
と言いたかったが、そんな勇気もなく、
電話に出た人にコレコレカクカクシカジカ
で迷惑をしていると説明し、
「もし三度目の間違いが生じれば、
これは嫌がらせと受け取り、訴える覚悟です。
必ず、責任者に伝えて下さい。」
と言う。
それから以後、間違いはないと同時に、
責任者からすみませんでしたの電話の一本もないのである。
そんなもんですかね。世の中は。