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前の席の娘さんが職員さんにいう。「(うちの)おばあちゃん、甘いもの好きだから、いただいたお饅頭も 2個とも食べてしまって。」(右)隣の人は、お皿の上、細かいもの何かを一心に召し上がっている。へー、そうか、この紅白饅頭はもらった人のものだから、今、皆様、召し上がっているのかと、やっとわかり、そして焦る。前も右も、今、もう饅頭を召し上がっているのか…。
おばば様に「(お饅頭)食べる?」とは聞くが、笑っている。(返事はできない)(おばば様、お饅頭好きだよなぁと、お饅頭の包みを開ける。「(紅、白)どっちにする?」と一応聞くが、紅の方がよいかと、紅のおまんのセロハンを外す。おまんを二つに割って、おばば様になんとか持たせると、ひとりでおまんをかぶった。(紅は白餡だった。)一口一口、おばば様はかぶって食べている。(ひとりで好きな饅頭を食べるおばば様を見るのは、うれしい。)
「お饅頭は明日でも、大丈夫です。お持ち帰りいただいても結構です。」と職員さんが言っている。しかし、ふと気付くと、皆さん、残りのお饅頭を職員さんに託し、預かってもらっている。
お祝いごとは、「幸せを分ける」と皆で分け合って食べるものと、私はそう教えられて育った。貰った紅白饅頭は、一つはもらって帰り、今日の話をしながら、家のものと小さく分けて食べるつもりだった。でも、皆、職員さんにお饅頭を渡している。「おばば様が召し上がれ」と私も、職員さんに白のお饅頭預けて帰った。
おばば様はいて(生きて)くれるだけで私は幸せなのだろう。どうぞ、来年の敬老の日、また共に過ごせますように。ここに、私が来ることができますように。