「歴史は夜作られる」とあるが、
人の噂などが物事の本質を突くことは殆どない。最近の芸能ニュースにしても、まるで人民裁判の如くであり、似たようなものである。
見えないところでの出来事、人が墓場まで持っていきたいことに物事の真相があり、人というものの根底にあるものを知ることになる。
そうした話の中から、既に時効になった話を少し。
時効とは大袈裟だが、時間の経過で既に関係者がこの世にいないのである。
......
私がその老人に会ったのは、約40年前に訪販の営業でその家を尋ねた時でした。
既に90歳近い方のようでしたが、背筋がピンとした矍鑠とした方で、私を見るなり、直ぐに応接間に通されると、ご老人自らコーヒーをたててくださいました。
「同居人(奥さん?)は別棟にいるが、ここは私の個人部屋でして」
今なら意味がよく理解できるのですが 笑
結局、何度か訪問して奥さんに会ったのは、ご老人が亡くなってからでした。
話が弾み、何でも戦時にはタイやビルマ戦線に参加していた将校だったようで、
(なんとあの辻参謀と共闘している。話は別機会に)
戦後は法務局の相続登記担当に在籍していたらしいのです。
そこでの様々な面白い出来事、勿論実名などは秘された話しを聞きましたが、その中で特に印象に残った話は、丁度、金田一耕助の事件から殺人を撤去したような話でした。
事件?は県内でもかなりの資産家の家で生じた内容で、高齢で亡くなった方の遺産相続で起きたことでした。
その遺産相続の際.....
以下、ストーリーにします。
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さて弁護士立会いでの、某老人の遺言書の遺産目録の確認となり、一同は驚愕した。
財産相続者の中に誰も知らない女性の名前があったからである。
しかし、これは世間で良くある俗世的なこととは少し味わいが異なっていた。
その老人が病に伏しがちになった際、日頃の家族との関係は不明だが、家族からの介護は殆どなかった。そして、亡くなるひと月前ごろから、ある身なりの小綺麗な女性(40歳前後)が2、3日に一度、短い面会をしていたのである。
続く