ある小さな国でのこと
お后が亡くなり
王さまの悲しみが癒えず
ついに床に臥してしまいました
そこで大臣たちは一計を案じ
庭を新しくすることにしました
お后が好きだった花が次々に引き抜かれ
庭のすみにすてられ
新しい品種に植え替えられていきました
終に
庭で一番古いバラの番になりました
あれほどの寵愛にも
終わりがやってきました
奥の部屋で寝込んでいた
王さまは
かすかにバラの悲鳴を
聞いたように思いました
秋がすぎ
冬がきて
次の春がきました
王さまはやっと立ち上がり
次から次へと咲き誇る花を
ご覧になっていました
庭のすみにきた時
とつぜん声がしました
『王さま・・
わたしには
この姿を
お捧げすることしか
できないのです』
するとどうでしょう
あの古いバラが
咲いているではありませんか
それは
打ち捨てられながらも
根を伸ばし
そこでひっそりと
息づいていたのです
驚いた王さまは
次のような布告を出しました
・・・
このバラ
なんびともふれること
あたわず
王でさえ