トタン屋根を叩く雨音が心地よく
うたたねをしていると、
やがて音が小さくなった。
私はあくびをしながら庭にでると、
ユスラウメに目をやった。
2年前に植えた果実の一本である。
まだ小さいので気がつかなかったが、
葉の下で恥らっているような実と初対面。
雨粒に赤く煌き、まるで宝石のようだ。
そっと一粒づつ摘み、器に入れ家族に見せると
小さなおどろきが広がる。
物置に入り込んだツタの一種。
いつの間にか離れの廊下にも姿を見せ始め、
どうにもうっとうしい。
よし除こうと思い立ったところ、
足元に見慣れない花が落ちている。
どこから?と上を良く見ると、
その綺麗とはいえないツタが咲かせたものだった。
それは荒々しい葉に似合わない繊細な白い花である。
とりあえず今日の伐採は中止。
*雨だれ