闘病で亡くなる寸前、万策尽き、 伯父は暗い表情で天井を見ている。 私も似たような気持ちだったが、 新聞をふと見ると、広告の中に 日本猿の赤子の写真があった。 何とも愛くるしい..... 私はそれを手にとると 伯父貴、見て! と開いて見せたところ、 その猿に負けないくらい 愛くるしい表情で 笑ったのだ。 元気なころでも、 あまり見せたことのない 忘れられない一瞬である。 One Way Ticket