天空海闊

手記より

終活のつもりで、整理をしていると、敬愛する元校長の手記が出てきた。以下抜粋。

 
『....年齢を重ね、経験も重ねると、物事の決断は早くなると考えていた。だが、私の場合は違っていた。最近は、言葉や文章の重み、決断の重みをズシリと感じる。物事の背景を知れば知るほど、世の中には、はっきりと言えないことが多いことに気づいた。単純に上下左右には分けられない、いや、分けない方が良いことが多いのだ。教育は早く決断し早く成果を出す人間を作り出すことだと思っていたが、昨今の事件や世情を観るに、それは違っていたように思う。今更遅いかも知れないが、今後は良い意味での優柔不断な人間を生み出すことに微力ながら貢献したい...』
 
 
久しぶりに再会したような感動があった。
 
確かに、人生は単純には決められないことが多いものだ。科学的な普遍性とは異なる分野は特にそうだ。
 
苦難や迷いの多い人生において、断言してもらったり、善悪を決めてもらえる心地よさも生じてくる。
 
依存(頼ること)が全て悪い訳ではない。国家に依存する事、親や友人や教育に依存する事、様々な情報、福祉サービスやインフラに依存することなどを否定しては生きていけない現実がある。
 
しかし問題は程度である。通常の生活に支障をきたすほど、過度に執着するなら、それは依存でなく、『依存症』と考えられる。
 
一見すると通常の生活者である場合でも、洗脳と関係があったり、人の心理や弱点と深く絡み合うので問題は階層になっており、おそらく自覚さえ無いかもしれない。
 
しかし、いかにも偉そうに思案する私をあの校長が観たら、
 
「それも人生...その人にとって何が幸せか、良いかなど他人には分からないものだよ」
と、一笑されそうだ。
 
 
 
 

コメント一覧

ハスキー
教育とは 長い 時間が 経ってから その成果が現れるものですね。
苦手な勉強を 投げ出していた時、兄たちは、 方式を覚えたらいいだけ、当てはめて いけば答えは出るとか。
歴史も 覚えるだけで 点が取れるから簡単 と言いましたが、 わたくしは 何故??? を考えてしまうのでした。その方式は 誰が どうやって決めたの? と聞くので そんな事いいから とにかく覚えろ! そうすりゃ 点は取れる。 というのです。 歴史も 戦争 ばかりで 人間って 馬鹿じゃないか? と思っていました。

戦後 原爆で焦土となった 広島を立て直そうと あちこちに 相談していた市長に
「市長は、平和運動を熱心にやっているようだが、結構な事だ。うまずたゆまず、しつこくやらなければいけない。人間くらい健忘症で、バカな動物はいないよ。 第一次大戦が終わったとき、世界の全ての人間が、こんなことは二度とやってはいけないと考えた。負けた国はもちろんだが、勝った連合国側でも、あの戦争で得をした国は一つもなかったからだ。われわれも、二度と戦争を起こさないようにといろいろ努力をし、やっと国際連盟ができて、もはや永久に戦争は無くなるだろうと思っていたのに、二十年も経たないうちに、また同じことをしてしまった。他の動物は本能的に、やって良い事とやってはいけないことを、ちゃんと知っている。人間という奴は、幻に惑わされて判断を誤るんだな。」 と 同郷の先輩が言われたそうです。
先生は、いつも淡々と話されるが、その一言隻句がよい滋養になった。
と書かれていました。

良い師 との出会いに恵まれたことは 幸運です。

依存症 本人は気つかずにいて 幸福なのかもしれませんが、周りは結構 シンドイですね。
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