子どもたちが家に泊り
翌朝
『父さん・・
父さんの知った人で
器具で声を出している人いる』
「知ってるよ
Sさん」
『あ、そう・』
それで話は終わり?
(実はもう少し話を聞いていたのだが)
子どもたちは帰る。
その日の昼ごろ
Sさんの奥さんから
Sさん逝去の知らせが入る。
半年後
ふとしたことで
子どもがぽつんと
『あの日
台所で気配がして
器具で話す誰かが
亡くなったんだ~
と思った』
わたしは
そのことを
(既に聞いていたのだが)
すっかり忘れていた
そうか
そうだったのか・・
子どもたちは
そのSさんとは
面識がない。
真相は不明で
唯言えることは
情は
生死の狭間を
凌駕するのかも
知れないと云うこと
なぜか、その時には会えなかったが...
今年は
暑かったせいか
彼岸花が遅く
寂しさが
いっそう募る。
少し慰めとなるのは
あのSさんの
人なつっこい笑顔を思い出すと
なにか
解き放たれたような
感覚になることだ 。