建設業を営む親父は
用心棒を雇っていた。
侠客くずれに
耳のつぶれた元ボクサー
柔道の猛者もいれば
大男で怪力の持ち主や
小太刀の使い手・・・
いづれも
その界隈で名をはせた者たちであった。
こうして、刺青を入れた鳶衆などと
現場で対等に渡り合うのである。
わたしは彼らの戦歴を聞きながら
現場に向かうのが日課であった。
内心、親父のことだけで
うんざりしていたのだが・・
そんな中で不安だったのが
彼らの間でライバル意識が
あったことである。
それが何時か噴出しないかと
案じていたのだが・・
遂に事件が起きる。
(続く)