天空海闊

懇願

再編

 

「皆で叩き起こしてやって」

母親が息子の同級生たちに声をかけた。

「はい・・」

僅か15歳の事故死。

家族の愛情の中でやんちゃに育ち、

とても可愛らしかったとも・・

娘たちも顔を泣きはらしたようである。


私はその光景が

何故か前日の猫の姿と重なった。

仕事の昼休み時間、木陰で休んでいると

一匹の猫が纏わりついてきた。

見ると耳が少し欠け、目が片方白く濁っている。

「ミーや、どこから来たか?」

腹が空いているかと、食べ物をやろうとするが

珍しいことに、全く無関心である。

ひたすら私の手に頭や顔を擦り付ける。

そこで撫でてやると、ゴロゴロと鳴く。

どこか体に痛みを抱えていたのかもしれない。

ひたすら、癒しを求めている姿に感動。


人はどんなに足掻こうが、寿命に対し無力である。

どれほど厚顔で悪態をつき、逃げようとしたところで

すべては自然の懐にある。

されば、我らの思念を超えたもの(治癒)を

ひたすら懇願する。

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