雄一郎の半生
弟が事故で死亡してから、仕事も
辞めてしまった。事故の事ばかりを
考えて、何となく毎日が過ぎていた。
そんなある夜に、以前すし店に
勤めていた時に先輩と一緒に
アパート暮らしをしていた、
同じくすし職人を目指していた
Nさんが、奥さんらしき女の方と
尋ねてきた。内容は、「こーちゃん
(当時の自分のあだ名)、今は何か
しているん?、もし、良かったら
自分の店を手伝ってもらえないかい?」
と言う。「えっ、何時から店を
開いたんですか?」と言うとあれから
暫くして、同じ市に店を出した
という。自分としては、少し
考えさせてと言おうとしたが、
気心も知れているし仕事も
していないので、勤めさせて
もらうことにした。
その後、店勤めになり、あの時
のように朝早くから、夜遅くまで、
出前や店の清掃、出前の回収。
などなど。
忙しい日々のせいで、弟の事も
少しは考えることも薄らいできた。
お店は、店舗の中にあって隣は、
バーだったので、隣からの
お流れ様も多く、ホステスさんと
一緒に来店されるお客さんもいた。
店主の友達やら、店を出す時に
話を通した地元の怖い方も、時々
数人で来ていた。びっくりしたのは
怖い方の一人が、酔った勢いなのか、電球をむしゃむしゃ食べるのを、
みんなの前で得意そうに見せて
いたことだ。電球だけでなく
コップもかじって、食べていた。
これには、ハラハラしたが、
口の中は切れて出血していた。
大丈夫だったのだろうか?
そんな毎日が過ぎて、また、
母は、無茶な計画を言ってきた。
次回につづく