ノーベル文学賞が決まりそうになると騒ぎ出す村上春樹
ファンは、やはり今年も残念なことに・・・。
こうなると、(あなた方が病的に騒ぐから選考委員たちは
村上君を選ばないのでは・・・)とまで思えて来る。
まっ、ファンの多さと文学性は関係ないのだが、その点に
気付かないんだろうね。
むしろ村上君本人は、騒がれてイラッとしてるでしょう。
15歳から私はボブ・ディランのファンである。
彼は歌手なのに、何故かノーベル文学賞に輝いた。
おそらく、ディラン本人もびっくりしたに違いない。
だって、彼は歌手なんだから。
しかも、日本人の売れない小説家のパクリをしたばかりで、
小説家は「ディランにパクられたのだから私は怒らない」と
発言して不問になったばかりの頃だったのだ。
その時わたしも驚いた。
歌手なのにノーベル文学賞を貰えるんだ、しかもパクった
ばかりというのに・・・。
と、村上春樹君ファンとは全く違う反応になったものだ。
退屈な私は、自分なりにノーベル文学賞を差し上げたい
人を考えてみた。
もちろん、「日本人から選ぶとして」である。
正岡子規・斎藤茂吉と言いたいところだが、誰か一人を
選ぶとしたら「北原白秋」を選ぶだろう。
子規よりも茂吉よりも日本人は白秋作品を知ってるしね。
では、学校では教えにくい短歌作品の一首を挙げよう。
君かへす朝の舗石(しきいし)さくさくと雪よ
林檎の香のごとくふれ
人妻を帰す不倫の朝の場面である。彼はそれが原因で
投獄された人である。モテるから三回も結婚している。
それでは、誰もが知る白秋の童謡詩。
あめあめ降れ降れかあさんが蛇の目でお迎い・・・
この道はいつか来た道ああそうだよあかしやの・・・
雨はふるふる城ヶ島の磯に利休鼠の雨がふる・・・
赤い鳥小鳥なぜなぜ赤い赤い実を食べた・・・
待ちぼうけ待ちぼうけある日せっせと野良稼ぎ・・・
雪の降る夜は楽しいペチカペチカ燃えろよ・・・
海は荒海向こうは佐渡よ雀啼け啼けもう日は・・・
記憶の儘に書いても尽きぬ程、白秋の心は令和を生きる
吾々日本人の心に棲みついているのである。
「利休鼠の雨」を理解するには辞書が必要だが、識れば
白秋の感性に触れられるのではなかろうか。
さて、ここからいきなり話を逸れさせよう。
白秋は昭和17年に57歳で亡くなった。
糖尿病が原因で、亡くなる数年前から失明状態だったし、
腎臓も悪化していたので、今なら人工透析が必要な重病
である。
もしも戦後の日本を白秋が見ていたら、と私は想像する。
それが惜しまれてならないのだ。