魚鳥木、申すか?申さぬか?

ぎょ・ちょう・もく、申すか?申さぬか?
申す!申す! 魚⇒ニシキゴイ。鳥⇒ニホンキジ。木⇒制定無し、花は桜と菊

「アマテラス」は女性神か?男性神か?『古事記』を通じて考える。     (ちょいと寄り道)

2017年07月08日 | 民俗学探究
ちょいと寄り道。
「アマテラス」は女性神か?男性神か?を調べて行く中で、

『延喜式』平安時代中期に編纂された格式(律令の施行細則)では
自然神として神社などに祀られた場合の「天照」は「アマテル」と称されている。

天岩戸の神隠れで有名であり、記紀によれば太陽を神格化した神であり
皇室の祖神(皇祖神)とされ神社としては伊勢神宮が特に有名。(Wikipediaより抜粋)

とあり、「アマテル」はその名称の如く、
天地を照らすという太陽神らしい神の名に冠する名称であり、
自然の太陽をそのまま神格化した神と言えるのですが、

7世紀後半から8世紀後半にかけて編まれた、
日本に現存する最古の和歌集である『万葉集』で「アマテル」を使用した和歌として、

「久方乃天照月者神代尓加(久方の天照る月は神代にか)」(7-1080)
「久方天光月隠去(久方の あまてる月の隠れなば)」(11-2463)
「比左可多能安麻弖流月波見都礼杼母(久方の あまてる月は見つれども)」(15-3650)

との様に、久方の天を照らすのは、月であると表現され詠まれています。

「アマテル」は太陽だけに限定するのは考え違いなのか???

新たな課題が生まれてしまった、、、、、、、、、、。


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「アマテラス」は女性神か?男性神か?『古事記』を通じて考える。④

2017年07月07日 | 民俗学探究
「アマテラス」は女性神か?男性神か?『古事記』を通じて考える。③からの続き

同様に、江戸時代中期の神官、神道学者であり、
伊勢外宮の神官であった度会延経が『内宮男体考証』『国学弁疑』に記した
「之ヲ見レバ、天照大神ハ実ハ男神ノコト明ラカナリ」が
男性神として証明しているとの情報もあります。
(Wikipedia : 神仏習合と天照大御神の男神説。より抜粋)

此方の『内宮男体考証』『国学弁疑』についても読んでいないので、
判断については今後の課題ですが、

個人的な見解としては、
何を見た上で男性神と判断したかが記載されていないので、
この文章だけで天照大神が男性神であると断定する事は私には出来ません。

また、平安末期に武士の台頭が強まり、社会体制の変化が進んで行く中で編纂された
『源平盛衰記』では、衣冠束帯に身をかためた貴人の男性。
『中世日本紀』では、たいていは男性神として描かれる。
『日諱貴本紀』では、両性具有にもなっている。
『三十番神図』では、烏帽子をかぶった狩衣姿で笏をもっている男性神


本地垂迹資料便覧より転記
として描写されている。との情報も確認しましたが、

奈良時代から始まっていた神仏習合(神仏混交、神と仏を同体と見て一緒に祀る)という
信仰行為を理論付けし、整合性を持たせた一種の合理論で平安時代に成立した、
本地垂迹説(ほんじすいじゃくせつ)の影響により、男性神とし習合した事によるものか?
武士階級の家父長制的な家族制度の芽生えにより、女性神であった、
天照大神を男性神として作り変えたのではないか?と感じています。


「アマテラス」は女性神か?男性神か?『古事記』を通じて考える。⑤ へつづく


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「アマテラス」は女性神か?男性神か?『古事記』を通じて考える。③

2017年07月06日 | 民俗学探究
 「アマテラス」は女性神か?男性神か?『古事記』を通じて考える。② の続き

天照大神が男性神だとする証拠として、
平安後期の学者・歌人である、大江匡房が記した『江家次第』に、
伊勢神宮に奉納する天照大御神の装束一式が男性用の衣装である事を言及しているので、
天照大神を男性神して証明しているとの情報がありました。
(Wikipedia : 神仏習合と天照大御神の男神説。より抜粋)

『江家次第』の何処にこの文章が有り、この文章の前後の関係性を読み解かないと
判断が出来ない中、残念ながら、私自身が『江家次第』を読んでいないので、
性別についての判断は今後の課題となるのですが、

現時点での個人的な見解としては、
『古事記』において、須佐之男命が高天原に天照大御神を訪ねる段にて
男装をしている表記があるので、この “装束一式が男性用の衣装” とのくだりだけでは、
男性神であるとの断定は出来ないと判断しています。

幸い『江家次第』は国立国会図書館にて確認する事が可能ですし、国立国会図書館が所蔵し、
インターネット上に公開している資料で、著作権保護期間が満了したタイトルの画像データを、
Kindle本として最適化し制作したものが販売されているので、
この課題については解決できるように対応を進めていきます。


「アマテラス」は女性神か?男性神か?『古事記』を通じて考える。④へつづく


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「アマテラス」は女性神か?男性神か?『古事記』を通じて考える。②

2017年07月05日 | 民俗学探究
「アマテラス」は女性神か?男性神か?『古事記』を通じて考える。①の続き。

『日本書紀』では、天照大神と表記されています。
別名では、日神(ヒノカミ)、大日孁貴神(オオヒルメノムチ)と言う記述されており、
天照大神や別名の日神については、性別を判断する事はできませんが、
大日孁貴神の孁(メ)と言う漢字は女性を表す漢字ですので、性別は女性神として判断できます。

ちなみに「孁」の字に妻や巫女の意味があるから、オオヒルメは神の妻、巫女であり、
祀る者が祀られる者になったとの説がありますが、最古の漢字辞典とされる
『説文解字』の説文解字に「孁:女字也。从女霝聲。」と記載があります。

「女字也」は「女という意味の字」と読むことができますが、
「妻」、「巫女(中国の場合は巫)」とはどこにもありませんので、
孁の字に「巫女」という意味も「妻」という意味もないと判断して良いと思います。


画像リンク先:京都大学人文科学研究所所蔵 重刊許氏説文解字五音韻譜十二卷 巻第六(10/55)


また、『日本書紀』の第九段一書(八)ある書によると、天照国照彦火明命
(アマテルクニテルヒコホノアカリノミコト)として男性を表す「彦」を使用した神名があります。

天照大神と同じ「天照」の漢字を使用していますが、こちらは
正哉吾勝勝速日天忍穗耳尊(マサカアカツカチハヤヒアメノオシホミミノミコト)が
高皇産靈尊(タカミムスビノミコト)の娘 である、
天萬栲幡千幡姫(アマヨロズタクハタチハタヒメ)を
娶って妃として生んだ子と記載があるので、天照大神とは別の神と判断します。

同様に、天照大神と同じ「天照」の漢字を使用している、
『先代旧事本紀』に出てくる、天照国照彦天火明櫛玉饒速日尊
(アマテル クニテルヒコア マノノホアカリ クシタマ ニギハヤヒノミコト)と言う神名がありますが、
『古事記』では、天火明命。『日本書記』では、火明命、天照国照彦火明命。
と表記されている神名なので、天照大神とは別の神と判断します。


「アマテラス」は女性神か?男性神か?『古事記』を通じて考える。③へつづく

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「アマテラス」は女性神か?男性神か?『古事記』を通じて考える。①

2017年07月04日 | 民俗学探究
恐れ多くも「アマテラス」と神名を書きましたが言うまでもなく、
この神は皇祖神といわれ伊勢神宮の主祭神でもあり、太陽神的性質を持ち、
一般的に「アマテラス」は女性神とされています。

しかしながら「アマテラス」の実体は男性神であるとする資料や情報が
散見していますので『古事記』において「アマテラス」は女性神であるか、
男性神あるかを検証した上で、男性神とされる資料や情報について
検証して行きたいと思います。


『古事記』において、「アマテラス」は、「天照大御神」として
漢字表記されていますが、性別を特定できる漢字表現ではないので、
性別を特定することができません。

そこで、『古事記』を読み解き天照大神が語る言葉、仕草、居場所にて、
性別を表現している文章を確認してみます。


天照大神が語る言葉として「天照大神と須佐之男尊」「須佐之男尊の昇天」にある、
【原文】
 爾天照大御神、聞驚而詔「我那勢命之上來由者、必不善心。欲奪我國耳。」

【読み下し文】
 爾に天照大御神聞き詔りたまひしく、「我が那勢の命の上り来る由は、
 必ず善き心ならじ。我が国を奪はむと欲うにこそあれ。」

にて、天照大神が語っている言葉の「那勢命(なせのみこと)」という古語は、
女性から男性に対して親しみ深い異性に対して使用する言葉
(対する言葉は「那邇妹命(なにものみこと)」)なので、この言葉を使用している
天照大御神は女性神と言えます。(ちなみに、日本書紀では吾弟と表記されています)


仕草としては、須佐之男命が高天原に天照大御神を訪ねる段にて、
天照大御神が髪を解いて美豆羅(みずら)に結うという記事があり、
これは男の髪である角髪に束ねるとの意味ですので男装をしている事なります。

男性が男装を行う事をわざわざ表現することは考えにくいので、
天照大御神は女性神であると判断できます。


居場所については、素戔嗚尊が天に天照大御神を訪ねた記述で、
天照大御神が神衣を織るため機殿にいたという記述があり、
当時機織りは女性がつかさどる仕事なので、神衣を織るため機殿に居たと言う事は、
女性であった事を表現していると判断できます。

このように古事記では、アマテラスは女性神として表現されています。



では、他の資料において、アマテラスの性別はどのように表現されているか
確認していきたいと思います。

「アマテラス」は女性神か?男性神か?『古事記』を通じて考える。②へつづく


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