百人一首の和歌の原文・現代訳・英訳を紹介します。「34」
※英訳については、1909年にWilliam N. Porterが書いた百人一首の本
『A HUNDRED VERSES FROM OLD JAPAN』を参照しています。
和歌番号034
作者:藤原興風
author of waka:OKI-KAZE FUJIWARA(FUJIWARA NO OKI-KAZE)
原文
誰をかも 知る人にせむ 高砂の 松も昔の 友ならなくに
(たれをかも しるひとにせむ たかさごの まつもむかしの ともならなくに)
現代訳
(友達は次々と亡くなってしまったが) これから誰を友とすればいいのだろう。馴染みあるこの高砂の松でさえ、昔からの友ではないのだから。
英訳
GONE are my old familiar friends,
The men I used to know;
Yet still on Takasago beach
The same old pine trees-grow,
That I knew long ago.
Oki-kaze, the son of Michinari, was an official in the Province of Sagami in the year 911; the date of his death is unknown, but he is mentioned as being alive as late as the year 914. Takasago, which is mentioned again in verse No. 73, is a seaside place in the Province of Harima, famous for its pine trees; the pine tree is one of the recognized emblems of long life in Japan, because it is believed that after a thousand years its sap turns to amber.
解説
藤原興風(ふじわらのおきかぜ・生没年不明)は藤原浜成のひ孫にあたり、藤原公任が優れた歌人として取り上げた三十六歌仙のひとりとして上げられています。
興風は昌泰3年(900年)に相模掾、延喜十四年(914年)に下総大掾に任命されています。
藤原興風は紀貫之、凡河内躬恒らと共に優れた歌人で、日本最古の歌論である『歌経標識』を残しています。
この和歌は、ある日友達をなくした興風が、その悲しみを込めて詠ったものだと伝えられていますが、その気持ちがよく伝わってきます。
「高砂の松」はめでたいもの、また長寿の象徴とされるものですが、この松を詠み込むことによって、(共に生きてきた)その松でさえ、心を通わすことができないというような、孤独で寂しい気持ちが表されています。
★おススメ本★
本書は「平成和歌所」のウェブコンテンツ「一人十首の歌人列伝」を再編集したものです。
http://wakadokoro.com/
厳選した百人一首歌人の「おもしろエピソード」と「十首の秀歌」を分かりやすく解説した読み物は、幅広い層の和歌ファンに人気を博しました。
これを読めば「はるか昔にいた正体不明のオジサン」だった歌人たちが、グッと身近に感じられることでしょう。
そして本書を読み終わった後、あらためて百人一首を一番から眺めてみてください。
王朝の歴史絵巻が紐解かれ、つまらなかったあの百首歌たちが息吹を宿し、断然おもしろく感じられるはずです。
※読みやすい文字サイズ&文章で、約200ページがあっという間に読み終わります!
※英訳については、1909年にWilliam N. Porterが書いた百人一首の本
『A HUNDRED VERSES FROM OLD JAPAN』を参照しています。
和歌番号034
作者:藤原興風
author of waka:OKI-KAZE FUJIWARA(FUJIWARA NO OKI-KAZE)
原文
誰をかも 知る人にせむ 高砂の 松も昔の 友ならなくに
(たれをかも しるひとにせむ たかさごの まつもむかしの ともならなくに)
現代訳
(友達は次々と亡くなってしまったが) これから誰を友とすればいいのだろう。馴染みあるこの高砂の松でさえ、昔からの友ではないのだから。
英訳
GONE are my old familiar friends,
The men I used to know;
Yet still on Takasago beach
The same old pine trees-grow,
That I knew long ago.
Oki-kaze, the son of Michinari, was an official in the Province of Sagami in the year 911; the date of his death is unknown, but he is mentioned as being alive as late as the year 914. Takasago, which is mentioned again in verse No. 73, is a seaside place in the Province of Harima, famous for its pine trees; the pine tree is one of the recognized emblems of long life in Japan, because it is believed that after a thousand years its sap turns to amber.
解説
藤原興風(ふじわらのおきかぜ・生没年不明)は藤原浜成のひ孫にあたり、藤原公任が優れた歌人として取り上げた三十六歌仙のひとりとして上げられています。
興風は昌泰3年(900年)に相模掾、延喜十四年(914年)に下総大掾に任命されています。
藤原興風は紀貫之、凡河内躬恒らと共に優れた歌人で、日本最古の歌論である『歌経標識』を残しています。
この和歌は、ある日友達をなくした興風が、その悲しみを込めて詠ったものだと伝えられていますが、その気持ちがよく伝わってきます。
「高砂の松」はめでたいもの、また長寿の象徴とされるものですが、この松を詠み込むことによって、(共に生きてきた)その松でさえ、心を通わすことができないというような、孤独で寂しい気持ちが表されています。
★おススメ本★
A Hundred Verses from Old Japan: Being a Translation of the Hyaku-Nin-Isshiu | |
Tuttle Pub |
図説 百人一首 (ふくろうの本/日本の文化) | |
河出書房新社 |
百人一首の歌人列伝(業平、定家に西行…人気二十歌人の面白エピソードと代表歌を知ろう! ) | |
歌林苑 |
本書は「平成和歌所」のウェブコンテンツ「一人十首の歌人列伝」を再編集したものです。
http://wakadokoro.com/
厳選した百人一首歌人の「おもしろエピソード」と「十首の秀歌」を分かりやすく解説した読み物は、幅広い層の和歌ファンに人気を博しました。
これを読めば「はるか昔にいた正体不明のオジサン」だった歌人たちが、グッと身近に感じられることでしょう。
そして本書を読み終わった後、あらためて百人一首を一番から眺めてみてください。
王朝の歴史絵巻が紐解かれ、つまらなかったあの百首歌たちが息吹を宿し、断然おもしろく感じられるはずです。
※読みやすい文字サイズ&文章で、約200ページがあっという間に読み終わります!
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