百人一首の和歌の原文・現代訳・英訳を紹介します。「51」
※英訳については、1909年にWilliam N. Porterが書いた百人一首の本
『A HUNDRED VERSES FROM OLD JAPAN』を参照しています。
和歌番号051
作者:藤原実方朝臣
THE MINISTER SANEKATA FUJIWARA
FUJIWARA NO SANEKATA ASON
原文
かくとだに えやはいぶきの さしも草 さしもしらじな 燃ゆる思ひを
(かくとだに えやはいぶきの さしもぐさ さしもしらじな もゆるおもひを)
現代訳
これほどまで、あなたを思っているということさえ打ち明けることができずにいるのですから、ましてや伊吹山のさしも草が燃えるように、私の思いもこんなに激しく燃えているとは、あなたは知らないことでしょう。
英訳
THOUGH love, like blisters made from leaves
Grown on Mount Ibuki,
Torments me more than I can say,
My lady shall not see,
How she is paining me.
The writer lived some time at the close of the tenth century. The artemisia plant (or mugwort) is used in Japan for cauterizing; a conical wad of the leaves or blossoms is placed on the spot, lit at the top, and allowed to burn down to the skin; this produces a blister, and is extremely painful. Ibuki is a hill, between the Provinces of Omi and Mino, famous for its artemisia, but ibuki can also stand for iu beki, which, in conjunction with e ya wa, would mean, 'Ah! how could I tell her!' But eyawa as one word means 'indescribable!' Notice also sashimo in the third and fourth lines sashi-mogusa means 'the artemisia plant', but sashi mo means 'even though it is smarting'; sashimo, in one word, can also mean 'in such a way'. This verse is a very good example of the way the Japanese love to play upon words. The picture seems to show Mount Ibuki with the mugwort growing on it.
解説
藤原実方朝臣(ふじわらのさねかたあそん・生年不明~長徳4年 / ?~998年)は貞信公の曾孫にあたる人物で、通称「実方の中将」と呼ばれていました。
左近中将にまで任ぜられていましたが、御所で藤原行成といさかいを起こし、その冠を地に投げ捨てた罪で一条天皇の勘気にふれ、陸奥守に任ぜられ、その地で亡くなったと伝えられています。
しかし、藤原公任や重之、道信などとも親しく、歌人としても有名な人物でした。
藤原実方朝臣は清少納言の恋人でしたが、彼女に負けないほどの和歌を詠みたいと思い、 この和歌をつくったと言われています。
「思ひ」の「ひ」は「(燃ゆる)火」にかけていますが、「言う」と「いぷき(伊吹)」、「さしも草(もぐさ)」と「さしも知らじな」など、巧みなつくりで、恋心が詠まれています。
★おススメ本★
本書は「平成和歌所」のウェブコンテンツ「一人十首の歌人列伝」を再編集したものです。
http://wakadokoro.com/
厳選した百人一首歌人の「おもしろエピソード」と「十首の秀歌」を分かりやすく解説した読み物は、幅広い層の和歌ファンに人気を博しました。
これを読めば「はるか昔にいた正体不明のオジサン」だった歌人たちが、グッと身近に感じられることでしょう。
そして本書を読み終わった後、あらためて百人一首を一番から眺めてみてください。
王朝の歴史絵巻が紐解かれ、つまらなかったあの百首歌たちが息吹を宿し、断然おもしろく感じられるはずです。
※読みやすい文字サイズ文章で、約200ページがあっという間に読み終わります!
※英訳については、1909年にWilliam N. Porterが書いた百人一首の本
『A HUNDRED VERSES FROM OLD JAPAN』を参照しています。
和歌番号051
作者:藤原実方朝臣
THE MINISTER SANEKATA FUJIWARA
FUJIWARA NO SANEKATA ASON
原文
かくとだに えやはいぶきの さしも草 さしもしらじな 燃ゆる思ひを
(かくとだに えやはいぶきの さしもぐさ さしもしらじな もゆるおもひを)
現代訳
これほどまで、あなたを思っているということさえ打ち明けることができずにいるのですから、ましてや伊吹山のさしも草が燃えるように、私の思いもこんなに激しく燃えているとは、あなたは知らないことでしょう。
英訳
THOUGH love, like blisters made from leaves
Grown on Mount Ibuki,
Torments me more than I can say,
My lady shall not see,
How she is paining me.
The writer lived some time at the close of the tenth century. The artemisia plant (or mugwort) is used in Japan for cauterizing; a conical wad of the leaves or blossoms is placed on the spot, lit at the top, and allowed to burn down to the skin; this produces a blister, and is extremely painful. Ibuki is a hill, between the Provinces of Omi and Mino, famous for its artemisia, but ibuki can also stand for iu beki, which, in conjunction with e ya wa, would mean, 'Ah! how could I tell her!' But eyawa as one word means 'indescribable!' Notice also sashimo in the third and fourth lines sashi-mogusa means 'the artemisia plant', but sashi mo means 'even though it is smarting'; sashimo, in one word, can also mean 'in such a way'. This verse is a very good example of the way the Japanese love to play upon words. The picture seems to show Mount Ibuki with the mugwort growing on it.
解説
藤原実方朝臣(ふじわらのさねかたあそん・生年不明~長徳4年 / ?~998年)は貞信公の曾孫にあたる人物で、通称「実方の中将」と呼ばれていました。
左近中将にまで任ぜられていましたが、御所で藤原行成といさかいを起こし、その冠を地に投げ捨てた罪で一条天皇の勘気にふれ、陸奥守に任ぜられ、その地で亡くなったと伝えられています。
しかし、藤原公任や重之、道信などとも親しく、歌人としても有名な人物でした。
藤原実方朝臣は清少納言の恋人でしたが、彼女に負けないほどの和歌を詠みたいと思い、 この和歌をつくったと言われています。
「思ひ」の「ひ」は「(燃ゆる)火」にかけていますが、「言う」と「いぷき(伊吹)」、「さしも草(もぐさ)」と「さしも知らじな」など、巧みなつくりで、恋心が詠まれています。
★おススメ本★
A Hundred Verses from Old Japan: Being a Translation of the Hyaku-Nin-Isshiu | |
Tuttle Pub |
図説 百人一首 (ふくろうの本/日本の文化) | |
河出書房新社 |
百人一首の歌人列伝(業平、定家に西行…人気二十歌人の面白エピソードと代表歌を知ろう! ) | |
歌林苑 |
本書は「平成和歌所」のウェブコンテンツ「一人十首の歌人列伝」を再編集したものです。
http://wakadokoro.com/
厳選した百人一首歌人の「おもしろエピソード」と「十首の秀歌」を分かりやすく解説した読み物は、幅広い層の和歌ファンに人気を博しました。
これを読めば「はるか昔にいた正体不明のオジサン」だった歌人たちが、グッと身近に感じられることでしょう。
そして本書を読み終わった後、あらためて百人一首を一番から眺めてみてください。
王朝の歴史絵巻が紐解かれ、つまらなかったあの百首歌たちが息吹を宿し、断然おもしろく感じられるはずです。
※読みやすい文字サイズ文章で、約200ページがあっという間に読み終わります!
西武線に花小金井という駅があります
桜の名所 江戸名所図絵にもある
小金井堤 の最寄り駅でした
和歌や連句の分からない方は
意味が分からないでしょうね〜
花小金井は、
大正時代に開業した駅です