時代は19世紀後半、デンマークの辺境村の住民は高齢者ばかりの限界集落。
牧師であった父の遺志を継ぎ、独身の高齢美人姉妹が自宅で村人達を招き神の教えを説いていた。
ある日、パリの動乱から亡命した身寄りを亡くし満身創痍の女性が家政婦として住み込むようになる。
女性バベットは元シェフで、あまりに粗末な食事を摂る姉妹の生活に驚きを隠せない。
ビール入りのパン粥、干し魚を水で戻したもの、彩りもなく、味も素っ気ないが、この村では贅沢をせず慎ましい生活が当たり前だった。
家政婦バベットはある日、宝くじの当選を知り、そのお金を全て果たし、姉妹の父である牧師の生誕祭をフルコースで祝おうと計画す
る。準備は着々と進み、当日運ばれる料理に何ら関心を示さなかった村人達の表情が変わって行く。
時代ものの高級ワインやシャンパンが惜しみなく注がれ、海亀のスープから始まり、うずらの腹にパテとトリュフ?が挟まれパイ生地とともにローストされた絶品料理に皆歓喜する。
デザートのケーキもお手製で、手際よく料理は完成し、食卓に運ばれる。
デミタスコーヒーが提供される頃には、歳とともにささくれた心も和み皆笑顔。
独身を貫いた姉妹と若き日から姉妹に恋焦がれた男性が言う。これから会えなくてもいつも食卓にあなたといます。
これって最高のプロポーズ?一緒になれなくてもずっと心を通わせているのだと明言。
慎ましい暮らしのみ、善行のみが生きる道と教えられ、それを実直に守っていた人々が食を通して生きる意味を知ってゆく。
すごいねと思った。
姉妹への恩返しの意味での晩餐会。元シェフとしての腕を振るい、そしてバベット自身も生き直したんだね。