詰めの甘い私。早々にチケット購入【つうか、ポイントでタダでしたが】して、上がってから気がついた。
時間あるので、待ち椅子に座り、続きを書く事にしましょう。
※その喫茶店のチーフコック、かりに山田君としましょう。山田君は寡黙な男でしたが、内面パッションのある男で、変なオヤジギャグ【年は30代だったと思うが】を言ったり、サービス精神から暇な時間になると、オリジナルメニューだと言い、クレープを振る舞ってくれたりしたサービス精神旺盛な人。
でも脱サラ店長とウマが合わず、「勝手な事はしないように」と釘を刺された。その割に店長はクレープを美味そうに頬張っていたけどね。
山田君のエビピラフは絶品で、バターを惜しみなく使うので香りが良くて、私は仕上げの乾燥パセリを振りながら、うっとりその香りに溺れた。
しかし、店長は、苦虫を噛み潰したような表情で、「店の利益を考えたらどうだ!エビも3個と決まってるのに5個も使うとは」と重箱の隅をつつくように嫌味を言った。
店長は、アナウンサーの福留功男に似た真面目を絵に描いたようなおじさんで、サラリーマン生活に疲れ雇われ店長の座を得たものの、思い描いた仕事とはギャップを感じ、焦りを感じていた。
厚化粧のマネージャーは社長の2号ないし、3号だったため、何か口出しするとチクられ社長から呼び出しをくらうため自分の立場に辟易していた。
そんな店長にとって、山田くんは格好の捌け口。
山田君も内心真面目が取り柄だけの店長を小馬鹿にしていたため、二人の間にはピリピリした空気が流れていた。
山田くんは時々センチになり、「ぼくはカミさんと駆け落ちしたんだよ。お互い既婚者だったんだけどね」とあまり聞きたくない過去を突然なんの拍子もなくカミングアウトするような不思議ちゃんだった。
私は冷めた性格なので、あーそうですか。で山田君の恋バナを強制終了させ彼をガッカリさせたなあ。
山田くんは、手先が器用で、フルーツパフェの盛り付けが誰より上手かった。
そのパフェ最後の飾り付けに、厚化粧のマネージャーが缶詰のチェリーを載せるのだけど、厨房の山田君に向かって「チェリンボ【さくらんぼのことか?】ください」と叫ぶ。
缶の蓋が開けられたチェリーを受け取る時のマネージャーの赤いマニキュアは、チェリーと同じ色だった事を思い出す。
つづく