その被害者家族への国を上げての基金設立とともに、弁護団による補償金の説明会と算出作業がスタート。しかし、蓋を開けると問題は山積みで、被害者家族の苦悩は深く、癒えることのない喪失感に寄り添えば寄り添うほど無力感に苛まれる。
弁護士代表ケン役をマイケル・キートンが好演していた。できる男感と初老の深みがあってハマり役だなと思う。
これは実話と言う事で、地味に静かな感動を味わえる秀作。
7000人の対象者のうち最初こそは名乗りを上げる人が少なく、犠牲者の補償額の計算式が年収や肩書とかも換算されることに差別だと怒りをぶつける遺族もいた。
そりゃそうだよね。
タイトルがいい。「命の値段」
命は平等の重さのはず。しかし、基本額プラスどのくらい積むかは基金設立目的の根幹ともなる。弁護士でありながら、訴訟による賠償ではなく、基金からの補償給付のメリットを働きかけるのはかなりの決断がいったのではないだろうか。
被害者の情報を集めるうちに、生前覆っていた秘密が暴露されるハプニングもいくつか。
ゲイの事実婚は最終的に遺族から認められ
なかったり、隠し子が発覚したり。
知りたくなかった。薄々気づいていたと泣く妻。二次障害的に傷ついた後、夫の遺した娘達にも基金を渡してほしいと涙ながら語り去る。痛み分け、なんと胸を打つシーンか。
最近の弁護士は正義を失い私欲に走りがち。そんな印象の中、鑑賞後は少しだけ清々しい気持ちになれた。
※スーパーの海鮮バラちらし。これはコスパよく美味しゅうございました。