合言葉はヒュッゲ

映画 ドライブマイカー

映画「ドライブマイカー」アカデミー賞4部門にノミネートされ、話題となっていましたが、先日の日本アカデミー賞でも各賞を総なめでしたね。【なんと8部門!】

主演の西島秀俊は、村上春樹作品の主人公には相応しい。どことなく、線が細いのに力強さがあり都会的。
私も先月、この作品を観ましたが、静かな感動と衝撃に襲われました。

演劇俳優である主人公、家福は妻、音との絆の強さを信じていたけれど、留守中に自宅で浮気をしている現場を見てしまう。しかし、表だって妻に言えない。何でもないフリをしていたが、その妻が突然死。

2年後、広島で開演されるロシア劇のオーディションに、亡き妻の不倫相手【なんと岡田将生】を採用。家福は演出家として指導に立ち、その後、亡き妻を巡って、感情を抑えながらもメラメラと対決。互いにどちらが本当の妻を知っていたか?探り合う。

会場とホテルの移動時、愛車の運転は、主催者の規定で、雇われドライバーが起用された。生きていれば娘と同じ歳の女の子。
そのムスメを三浦透子が演じるのだけど、ほんと存在感がハンパない。
若いムスメにしてはノーメイクで無造作に結んだ髪をキャップの穴から出し、ジャンパーのポケットにはタバコと携帯灰皿。

映画のストーリーが進行する間、彼女のあまりに感情表出の薄さが気になっていた。
長年癖のついたスポーツカーを難なく乗りこなす彼女の生い立ちは、未婚のシングルマザーに育てられ、養育らしい養育は受けず、一晩中飲み屋で働く母の送迎役として、毎日夕方と翌朝に運転手を務めていた事が語られる。しかも15歳から。

生活に疲れメンタルを病んでいた母は、少しでも運転が気に入らないと殴る蹴るの暴行をし、ムスメは安全にそして速やかに運転する技術を学んだ。生きるために。

一言で虐待とくくれない、親の荒んだ人生に巻き込まれたサバイバー。

この物語はかなりビターです。そして切ない。
死と再生、人を愛する事、生業への思い、
20年以上乗り続けた赤いスポーツカーは家福の相棒。サンルーフの窓から西島秀俊と三浦透子が火のついたタバコを垂直を持ち上げるポーズは何を象徴しているのか。

長いけど、村上春樹ワールド全開だから、ファンにとってはたまらない作品ね。
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