2001年公開の「小説家を見つけたら」は、一発屋として作家生活に幕を引いた年老いた小説家役をショーン・コネリーが、
将来に夢を見出せないまま、流されて生きる黒人高校生役をロブ・ブラウンが演じています。
溢れる才能を表出できない少年のジレンマと、さんざん閉じこもってきて今更外へ出れない老人が出会い、互いに切磋琢磨しながら友情を深める物語。
散りばめられた人生訓に心を打たれます。
言葉ってほんとに人生を知れば知るほど磨
かれて行くものなんですね。
16歳の高校生ジャマールは、バスケの才能とともに文章を書くという内に秘めた才能があった。でも薬物中毒の父が失踪し、苦労する母や兄の姿を見て育ち、無為に仲間とつるみながら悪さもしていた。侵入したアパートの部屋に自分のリュックを忘れて逃げてしまい、後々その部屋の主である小説家ウィリアムから、添削したノートの入ったリュックを戻される。
そこから書くという作業への興味は燃え上がり、ジャマールはウィリアムの部屋へ入り浸り指導を仰ぐ。
少年と老人の出会いのエピソードが素敵です。バスケの試合やジャマールの転校先で知り合った白人少女との恋も描かれているけど、軸はとうの昔にペンを捨てたはずの小説家の生き直しと少年の大志。ウィリアムはがんを患っていることを知っていたのでしょう。最後には閉じこもっていた部屋を出て、故郷で死を遂げる。部屋は遺品としてジャマールに捧げた。
その遺部屋でジャマールはウィリアムを超える作家になるのだろうと期待させる。これ以上の贈り物はないよね。
ウィリアムが古くて空気の抜けた自転車のタイヤに空気を入れ、颯爽と街を走るシーンは最高でした。