心身障害児総合医療療育センター
新版K式発達検査2020
○検査結果
認知・適応
発達年齢 4歳0ヵ月
発達指数 73
言語・社会
発達年齢 4歳8ヵ月
発達指数 85
* 検査は親子同室で、 何度か関わったことのあるST が実施した。
*4歳を超えているため姿勢・運動領域は未算定。
○行動上の特徴
意図理解の難しさが目立つものの、一度モデルを示すと課題の意図を理解し取り組めていた。 社会的要請に応じることの未熟さがあり、 検査者の呼びかけに応えない場面が多々あったが、 母の呼びかけ・カウントダウンにより応じていた。 疲労を感じやすく途中で泣きそうになる場面があり、こまめに休憩を取りながら実施した。
○所見と推奨される支援
・認知・適応領域は境界域、言語・社会領域では平均域に位置した。 項目ごとにばらつきが大きく、 2歳前半相当の課題 (積木の模倣) の意図理解が難しい一方で、記憶系の課題(5数復唱)や図形の認識(ひし形
模写) は6歳後半相当のものにも通過する様子があり、 数値の解釈は慎重に行う必要がある。
・記憶系の課題に優れ、位置の記憶や積み木の構成などの視覚的な記憶や、復唱に表れる聴覚的な記憶は年齢相応〜それ以上の力があると思われる。 一方で、指示を聞いて理解したり言語概念や状況説明を求める課題では不通過が多く、 文の意味理解や解釈、 概念的な理解が苦手であると思われる。 指示を出すときはモデルを見せたり、絵・写真つきの手順書を用意したり、 一工程ずつ介助することが望ましい。 また、なぞなぞや絵日記など、 対象の性質や機能、 それに対する感情などを言語化して共有する経験を積めると良い。
•理解できているはずの課題でも離席や無反応が見られ、 要請に応じたり協力したりすることには未熟さが感じられた。 応答性向上のため、スケジュールを明示し自分の好きな活動への時間的・内容的な見通しを持たせること 交換条件を設定し応じられたときによく褒めてあげることなどが考えられる。 母の呼びかけにはスムーズに応じていたので、今後は母以外の大人がご本人との安心できる関係を作り、要請に応じたり協働できたりする成功体験を積めると良い。
・手先の不器用さがあり、折り紙や描画での乱れが目立ったが、形を認識する力はあるので、要請の応じにくさによる経験の偏り、 注意 集中の短さが原因と考えられる。交換条件を提示したり、興味の対象を
利用して今まで避けてきた活動の経験も積めると良い。
・意図理解の難しさや指示応答行動への疲れやすさから、集団生活の困難さが予想される。 少人数の環境で指示意図をご本人に合わせた方法で明示したり、視覚的に構造化された環境での学習が望ましい。
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