晴山雨読ときどき映画

“人生は森の中の一日”
山へ登ったり、本を読んだり映画を観るのは知らない世界を旅しているのと同じよ。
       

櫛挽きに生きる物語

2014年03月12日 | 
2011年に上梓された笑い三年、泣き三月』に感銘を受けて選んだ著書でした。家族を書きたいという思いで筆を執った著者のインタビューが新聞に載っていたのです。装丁に描かれた福寿草に山で出会った雪間から姿をのぞかせていたサテン地の黄色い花を思い出していました。
主人公の登勢は父に憧れ、櫛挽きに夢中。女の幸せは結婚して嫁ぎ先の家を守ることだと言う母とぶつかり、妹(喜和)も離れてゆきます。父の作る櫛に憧れ櫛挽きを一生の生業と一途に進む登勢、かたや嫁がせようとする母の松枝の2人は揺るがない女性。そんな中、喜和が彼女なりに選んだ道は当てがはずれて不憫なようにも思えました。
残念ながら私には3人の女性たちに心を添えられず、寧ろ変動する時代を見据えた登勢の夫となる実幸と弟の直助の方が心に刻まれています。
「江戸なぞすぐそこ、ここから十日も歩ぎゃあ着くほど近えだに」
そう感じられる時代もあったのですね!素直に驚くセリフでした。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。