晴山雨読ときどき映画

“人生は森の中の一日”
山へ登ったり、本を読んだり映画を観るのは知らない世界を旅しているのと同じよ。
       

はまりました!

2013年01月31日 | 
1月の最後の日を暖かく迎えました。梅の花もあちこちでほころび始め芳しい香りを漂わせています。

きっかけは美容院で読んだ週刊誌の本の紹介コーナーで今人気上昇中という「ぬけまいる」。『朝井まてか』なる小説家は初めて目にした名前です。「抜け参り」とは江戸時代、実際にあった関所抜けをした3人の女達の話しらしい。本屋で調べると売り切れとのことで、図書館で別な著書「実さえ花さえ」を見つけ、一気に読み終えてしまいました。

江戸の向嶋を舞台に、小さな苗物屋「なずな屋」を営む新次とおりん夫婦を描いた市井時代小説です。新次の職業は花師で、木や草花を栽培し、種から育てたり、挿し芽、挿し木、などの品種改良を行う職人。だからといって奇を衒うような品種改良ではなく、自然の良さを生かした育種、育苗をモットーとする地道な職人でした。
当時あった「花競べ」という品評会で、甲乙をつける武家の点者が、手を加えすぎた者に放つ言葉が良かったです。「人がいかに手を加えても、自然が作りたもうた美しさに適わぬ。花の育種とは、野山や川辺に珍らかなもの、美しいものを見出し、それを育て上げることから始まったのではないか」。
解説は「自然に手を出そうとする傲慢さー、命を人間のコントロール下に置こうとする現代に警鐘を鳴らしている」と続いています。まったく同感です。
「実さえ花さえ、その葉さえ、今生を限りと生きてこそ美しい」の出典は、「橘は実さえ花さえその葉さえ枝に霜降れどいや常葉の樹」(万葉集の聖武天皇)。ムラサキシキブ(紫式部)の花の命名に百人一首から取ってあるのも興味深かったです。
今、同著者による長崎の出島を舞台にシーボルトに仕えた若き庭師の奮闘物語の「先生のお庭番」を読んでいます。



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
私も読みたい (ばにら)
2013-02-05 10:41:39
早速私も図書館に走るとしましょう。

この頃は暖かくて、山行きも快適でしょうね。よく本を読むヒマがありますねぇ。私はどこへも行かず、かといって家事も手抜きつつ、読書しています。
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コメントありがとう! (bamboo)
2013-02-05 17:49:28
プログラムも刷り終えたのですね!
あとはチケットが順調にはけるのを望むばかりです。

まかてさん、読み易くテンポが良いし、
読後感が爽やか!
直木賞候補になった
志川さんと違った味付けですよ。

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