ロシアのウクライナ侵攻後、日本のメディアは、連日、「ロシア軍は、思っていたより弱い」とか、「ウクライナ頑張れ」と、まるでスポーツ観戦を楽しむような報道ばかり。
ウクライナは、人口4千100万人余り、国土は日本の1.6倍、世界軍事力ランキングは22位(ちなみに、台湾は21位、日本は5位)。
しかも、ロシアによるクリミア併合後は、NATO諸国が、ウクライナ軍のブラッシュアップを進めていたところだ。
ウクライナは、大国ではないが、決して弱小国家ではない。
ところが、そんなウクライナが、ロシア軍により、首都キエフを包囲されている。
それなのに、米欧は軍事介入をしない。
結局、核兵器を持たないウクライナは、いつものように、米露という軍事大国のパワーゲームの犠牲になっただけ。
これから、益々、激しさを増す、「米中露」の軍事大国のパワーゲームの中で、ウクライナ同様、核兵器を持たない日本が、サバイブできるのだろうかと思うと、恐怖で、震え上がる。
パワーゲームの世界で、米欧を信じ過ぎ、ロシアを甘く見て、判断を誤ったウクライナの末路ともいえる、恐ろしい戦争だというのに、メディアに登場するコメンテーターは、世間知らずのロシア政治学者ばかり。
そんな彼ら、彼女らが、自分たちの専門分野ばかりでなく、軍事や国際問題にまで論評している。専門を逸脱した門外漢に加え、素人や芸人までが、出しゃばって、コメントをたれている。
こんなことで、本当に、大丈夫なのか。
日本のメディア自体が、「フェイクの世界」に成り下がっている。
いや、メディアだけではない、日本の為政者も、ロシアのウクライナ侵攻にもかかわらず、憲法改正や法令改正の動きを見せない。
「拙速を避けた、慎重な対応のため」かもしれないが、どうも、そのようには思えない。
最近、日本は、第二次世界大戦前の日本に戻ったようだ。
島国根性丸出しで、海外の競争相手を見下し、相手方に対する緻密な調査、分析や、研究をしなくなっている。
その一方、大昔、「鬼畜米英」とまで言って憎んでいた、アメリカやイギリスの「グローバル・スタンダード」を妄信して、何事に対しても、米欧任せで、安易に追従するだけ。主体的に真摯に取り組もうとしなくなってしまった。
そんな日本だから、有事にあたって、「敵か、それとも、日本の為政者か」、どちらをとるかという、重大な選択を迫られたときには、戦わずに、敵の軍門に下り、降伏する方が、いいかもしれない。
ウクライナは、「ロシアか、それとも、ウクライナの為政者か」、どちらをとるかという、重大な選択を迫られて、戦っているが、梯子を外され孤軍奮闘。残酷だ。
米欧は、ロシアが、「アメリカか、それとも、ロシアの為政者か」、どちらをとるかという、重大な選択を迫られて、アメリカをとってくれないかと期待しているようだが、おそらく無理だろう。