むらやわたる57さい

千文字小説の未来について

超IQ研究所 「十万円金貨両替大作戦」

2019-05-14 09:59:57 | 小説

 典子は情報通信の大きな会社に勤務していて今年で三〇歳。典子は入社後に父が送ってきた記念金貨一式を持っている。典子は駅前の古銭店で、一〇万円で売っている一〇円金貨が気になっていた。ある日会社で昼食時間に、「切手の買いとりは当店におまかせください」としゃべっている機械人間の声を耳にする。古銭店の入り口に陳列してある一〇円金貨がしゃべっているようだ。典子は午後からの予定を私用にして、ロッカーに置いてあった十万円金貨を持って古銭店へ向かった。古銭店で典子は「この一〇万円で、あの一〇円金貨を売ってくださいっ」と店主に言う。店主は典子の十万円金貨を三〇秒ほどながめてから「この金貨は当店でおとり扱いできません」と言ってことわる。典子は大手銀行に行って十万円金貨の両替手続きをした。しかし二時間以上待っても窓口から反応がない。あと一五分で三時になる。そのときどこからか「定期預金にすれば受理されるかも知れない。三時を過ぎると銀行に没収されるよ」と言う声が聞こえた。典子は預かり証を窓口で見せて「この一〇万円で、定期預金の口座を開設したい」と言う。奥から典子の十万円金貨を持った男性行員が出てきて「両替は受理しましたが、当行は、金貨による預金口座開設はとり扱ってません」と言った。典子は両替をとり消して、十万円金貨をとり返す。典子が銀行を出ると、さっきの声が「郵便局の定額貯金なら解約手数料が高いぶんできるかも知れない」と言う。典子は郵便局に行って十万円金貨で口座の申し込みをした。しかしなかなか応じてくれない。さっきの声がして「午後四時ぐらいに簡易保険の働き者が出てきて、簡易保険に加入させられるけど、残りは定額貯金にできる」と言う。しかし四時を過ぎても誰も出てこない。五時になって局員があと片づけを始める。典子は郵便局の奥にある部屋へ案内された。五分ほどたってから郵便局長がやってきて典子に名刺を渡す。郵便局長は記念金貨の換金性を、学校の先生みたいな口調で説明してから、典子の十万円金貨を典子に返した。典子は家に帰って古銭型録の広告を裏読みする。すると、「それは記念金貨が持ち主の利益に反したことを、しゃべってることが原因」と言う声がした。その声は、記念金貨の声を、消す古銭を案内して「終わったあとに捨てること」と言う。典子は翌日に別な郵便局で、三五万円ぶんの金貨で簡易保険に加入できた。

   おわり

 



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