前回までのあらすじ。はい。これが東京大空襲です。
硫黄島の戦い
一六日目朝。
栗林 今日もギリシャの囚人兵ですか。
米軍書記官 そうだ。
栗林 今日はアリストテレスをやるんでしょう。
米軍書記官 絵はがき(ニックネームと殺したかずを記録する作業)はこっちでやる。
今日の被弾競争はヘルキャット二〇機。少し多い。
午前八時すぎ。ピストルの弾を満載した軍用車が前線に向かう。
東京都(北側陣地)の囚人トーチカ あのちびはギリシャ人だろ。それ以上近づくなよ。
いいえ。硫黄島です。
M 神戸よりもかずが多いやつになった場合はどうする。
南雲 こっちのかずをかぞえないようにして。
午後二時四五分。前線へ向かう。スプールアンスが無線で話している。
米囚人パイロット 摺鉢山を機銃で撃つから、こっちを見るなよ。
帰りに、袋頭巾の列前方にときどき機銃で土煙が上がる。
長野君 邪馬台国にまた異国人がきているそうです。
M かずは。
南雲 二一九九人。
担当SS 一七九九人殺してます。
M これが一七九九か。林君。先に空を飛ばそう。
担当SS 彼はホテルの受けつけ係です。彼は古代の闘技場に出現するおもしろアイテムや催し物をいつも考えていました。ホテルがナチスからの避難所になっていて、入り口でイギリス兵の格好をしたドイツ人が守ってます。待っているだけでした。
終点。
M こっちが二一九九人だ。空を飛ばそう。
担当SS 彼は美術館で古代彫刻のレプリカを作ってました。
二一九九 子供は欲望のままに生きている。しつけが必要だ。おれの言うことを聞かないとナチスになれない。最初に長い哲学書を書いたやつが一番えらいんだ。
担当SS 言うことがなくなったらナチスの仕事をしてください。
二一九九 死体袋を積んだトラックはいつも荷台が見える。陶片追放されたんだ。
ナチス将校 もっと要約しろ。
二一九九 詭弁論の欠点がおれたちだ。ナチスの軍団がやってきた。戦車が街を行進している。死体袋のかずが増えた。おれたちを論議しないとイギリス軍がなかに入れてくれない。
終点。
死に神 ひみこさまからめっせーじ。
卑弥呼(老年の) 銅鏡にギリシャ人が映っておる。
一七日目朝。今日は雨だ。
栗林が米軍書記官と話している。装備の区別ができない。中止だ。
ユーゴスラビアのナチス囚人兵一〇〇〇人を船で一日待たせる。
南雲 マリアより。国名データは米軍発表だから。
午後から雨がやんだ。上陸艇でナチス囚人兵五人がやってきた。
長野君 重要語句があるそうです。
ナチス囚人兵五人が片づいた。
M 一九九九人だな。空を飛ばそう。
担当SS 彼は世紀末の予言者として上流階級で人気がありました。しかし正体はナチスだったのです。
一九九九 ユーゴスラビアの油田地帯にナチスが進駐してきた。武器を持っているやつはイタリア進駐軍に任命する。
担当SS イタリアに大量の油田があって採掘権を得られると言いました。
一九九九 動機不明の無差別連続殺人事件が起きている。犯人はおれだ。
担当SS 犯行は白昼単独犯によって行われてます。
一九九九 捜査チームをつくって考えるんだ。おれがどうやって撃っているか、なんのために撃ったか。
担当SS 私が捜査官です。
一九九九 犯人の方がかしこいとどうなるかキュートな女子やハンサムな男子に聞くんだ。
担当SS あの話をしてください。
一九九九 「殺人者の檻(おり)」では新入りが化け物に脳みそを食われて、正義の味方に懇願する。おれが正義の味方だ。
終点。
一八日目朝。
栗林がときどきハンカチで鼻をふく米軍書記官と、打ち合わせをしている。
栗林 今日のやつは多そうですね。
米軍書記官 わざとピストルを撃たせるとき注意しろ。
栗林 朝から風がまったくふいてない。
南雲 憲兵を大至急本土へ送り返して、野良犬を二〇〇匹連れてきて神戸の穴から少しずつ外にはなして。
栗林 そうしよう。
装兵の天井が星条旗とつながった。下から空を見上げる。
M ここからシミュレーターを米国へ転送すればいい。
開始時間を五分早くした。午後二時四〇分。前線へ向かう。今日は命中率が悪くてときどきトラックを停止させて撃っている。
捕虜を連れて摺鉢山に戻る。
南雲 マリアより。三〇九九人。
長野君 SSの代表みたいな声がまざっています。
ナチス囚人兵五人が片づいた。
これが三〇九九だな
M 林君。空を飛ばそう。
担当SS 彼は中東の富豪向けにレコードを制作して輸出していたんです。ドイツ軍がやってきて会社を支援してくれました。
三〇九九 ナチスの音楽プロデューサーとともに才能がある男や女を探す。張りのある低音や神秘的な高音。独創的な楽器演奏者。使い道がないやつはその場で撃つ。楽譜じゃなくてピアノをひいている幽霊に合わせて歌うんだ。うちのボーカルになれば安全が約束される。ギャラも破格だ。
終点。
下で死体が八〇ほど足りない。AAが八人行方不明。中央の穴に入ったようだ。
AAのSS 彼をそこで片づける約束だった。このままだと米国人になりますよ。そういうことなら日本攻略の指導者にすればいいんです。
南雲 マリアより。シミュレーターが破壊されるから早く片づけて。
M どうやってだ。
南雲 穴のなかでゲーム性を構築されると起動しなくなる。
人斬り茶坊主と補佐官四名を向かわせる。火炎放射器で焼かれた。
AAのSS二 日本の町を全部空爆しなさい。ほっほっほ。補償はうちでどうにかします。
日本空爆の手順を読み上げている。
ナチス囚人兵が穴のなかでピストルを撃ちまくっているっ。
摺鉢山から囚人トーチカが出動してにらみ合う。
南雲 穴に食料は。
栗林 水も食料もある。
M 米国の疫病神(米国囚人兵の総合体)が出てこないか。
林 目が開いているにせ者です。テニアンの名刺を使えないですか。
M それに紙を持たせるとぶん身が出てくるそうだ。
林 赤ん坊(米国の死に神)です。
M 古代ギリシャ人の銅鏡へ映すんだ。
死に神 「なにもかもれこーどがわるいのでございましょう。ひとがうまれるんはれこーどのせい。ひとがしぬんはれこーどのせいっ」
ドイツの死に神 「もうけましょう。もうけましょうっ。なにも知らないあなたは日本民族を中傷していたのです」
M ダミ声で犬と猫をまぜたような動物がしゃべっている。
南雲 マリアより。沖縄の森を焼くために、用意していた焼夷弾を日本の都市空爆で使うことになった。明日東京大空襲。あさって名古屋大空襲。
栗林が大本営と無線で連絡している。
M ナチス囚人兵があとどれだけいるんだ。
南雲 約二〇〇〇〇人。
栗林 機銃で二万人撃ち殺したやつの形見をもらってきてくれ。
米軍書記官立ち会いで墓を掘り返した。
焼けこげたへルメットを栗林に渡す。
栗林 東京のどこかナチスが決める。
小銃用のジグソー弾をつくった。人斬り茶坊主がいなくなると、ダメージが連鎖する。
つづく
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