日曜日に こんな記事を読みました
12/22(日) 9:02配信
自らの事件を「鬼畜の事件」と振り返る田中茂受刑者=仮名=
その男は1970年代、金品を盗む目的で住宅に侵入して女子大学生を絞殺した。
ギャンブルで抱えた借金を返済するためだった。強盗殺人や強盗強姦未遂などの罪で無期懲役が確定した。
自らの犯罪をこう表現する。「鬼畜の事件です。人として最低の事件を起こしたんですよ」
男は約25年間服役して仮釈放された。だが、1カ月もしないうちに刑務所に戻ることになる。それから13年後に再び仮釈放となって出所。しかし、その後犯した罪により、今は徳島刑務所に収容されている。
記者は徳島刑務所で3人の無期懲役受刑者を取材した。これまでに、
(1)この刑務所で40年服役する男
(2)10代で殺人犯になった元少年、という2人の無期懲役受刑者の記事を配信した。
3人目は、無期懲役刑で服役し、2度の仮釈放を経験した70代の受刑者。彼にとっての「更生」とは。(共同通信=今村未生)
▽人の将来奪う事件。25年で仮釈放 「あと3日もすれば被害者の命日です」。8月、70代の田中茂受刑者=仮名=は取材にこう切り出した。事件を起こしたのは20代のころ。女性を殺害後、良心の呵責から自白して、逮捕された。
女性とは面識がなく、「通りすがり」の形で、金のために人の命を奪った。女性の将来の夢は学校の先生。「自分は完全に頭が壊れてしまっていた。彼女の前途を閉ざしてしまった」
無期懲役の判決を受け、西日本の刑務所に収容された。20年がたった頃、女性の母親から手紙が届いた。田中受刑者が出した手紙への返信だった。「立派な社会人になってください」。そう書かれていた。当時は現在より服役期間が短い傾向があり、約25年で仮釈放された。
▽保護観察中にルール破り、再び刑務所へ
無期懲役判決を受けた人は仮釈放になっても生涯、「保護観察」が付く。保護司らとの定期的な面接が義務。順守事項を守らなければ再度、刑務所に収容される決まりだ。
田中受刑者は仮釈放直後に無断外泊。さらにギャンブルにも手を出していた。こうした点を指摘され、出所からわずか23日後、再び西日本の別の刑務所に収容された。それからの服役は13年間に及んだが、再び仮釈放されることになった。
▽仕事に就き、収入も得たが…
2度目の出所後は建設作業員として働き、月に30万円ほどの収入を得るようになった。だが、脳梗塞で倒れてしまう。体にはまひが残り、建設現場での仕事を続けることは難しくなった。
仕事をビル清掃員に変えた。月の給料は6万~7万円。生活保護を受けていたが、福祉の担当者とトラブルになり取り消された。
金に困った末、今度は窃盗事件を起こしてしまう。「やってはいけないと自覚していた。昔の習性みたいなもので、困ったからと…」。2度目の出所から約3年弱で徳島刑務所に収容され、今に至る。
【仮釈放を決めた責任者出てこい! と言いたいですね】
▽「立派になってくれという遺族の思いを裏切った」
3つの刑務所ですでに計約40年服役しているが、家族はどうしているのか。
田中受刑者は父親と祖父母に育てられた。父親は酒を飲んでは暴れる人で、そんな姿に嫌気が差した田中受刑者は中学卒業後に家を出た。その父親は30年ほど前に亡くなった。強盗殺人事件を起こす前の20歳ごろに会う機会があった母親は、後に病気で入院した。「たぶん亡くなったと思う」。家族とのやりとりは途絶え、仮釈放の際の引受人は出所者などの支援を行う更生保護会になっている。
無期懲役判決を受けた受刑者が2回も仮釈放になることはめったにないとされる。3回目となると例があるか不明だ。これからどう生きていくのか。「刑務所で死亡する『獄死』になると思う。自分の大きな過ちの代償なので。被害者遺族の立派になってくれという思いを裏切っており、当然の報い」
人生の半分以上を刑務所で過ごしてきた。やり直したいかと記者が問うと、涙を流しながら「そうですね」と答えた。そして、こう語った。「死と紙一重の生活を与えられ、生かされている。やり直したいというかすかな希望は持っている」
【100%無理! 殺人クセが憑いています。刑務所はワガママざんまいの受刑者に早く出て行って欲しいから狼を野に放して頬かむりします】
▽50年以上服役する受刑者は10人 法務省によると、無期懲役受刑者の数は2022年12月末時点で1688人。このうち、服役期間が40年以上50年未満の受刑者は66人、50年以上服役する受刑者は10人いた。2022年の1年間で41人が死亡し、仮出所者した5人の平均収容期間は45年3カ月だった。
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(1)女性を金づちで撲殺し、強盗殺人罪で服役40年。人生の大半を刑務所で過ごす70代男の「罪の意識」と「社会復帰」
(2)10代で起こした強盗殺人事件。無期懲役で服役する30代受刑者の「贖罪」とは
こんな記事は広く知っていただきたいものです