2021/11/19 10:00 (JST) 株式会社河北新報社
つらい境遇を若いうちに体験すると、何かしら前向きな教訓をそこから得る人が多い。中国の文化大革命の混乱期、少年だった習近平国家主席は「下放」と称する厳しい農作業に長い間、従事させられた
▼指導者毛沢東を崇拝する幼少期からの教育、さらには懲罰的な労働。そこから得たのは「毛の心にかなった模範的な共産党員になること」。中国の近現代史に詳しい愛知学院大の柴田哲雄准教授が著書『汪兆銘と胡耀邦』で指摘していた
▼毛を指導者の理想像とするかのような習主席の思想傾向には、こうした背景がある。以前の指導者の江沢民元総書記や胡錦濤前総書記の場合は少し事情が違う。成人に達してから迫害を被ったため、事態を批判的に見たようだ
▼中国共産党がこのほど採択した「歴史決議」は、習主席への個人崇拝をさらに推進する内容となっている。民主化の道筋や少数民族の人権問題などは、当然ながら触れてはいない。有益な教訓どころか、誤った政治手法を学んだらしい
▼中国と米国とで「地球を2分割する」。バイデン米大統領とのオンライン会談で習主席は平然とそんなプランを口にした。
開いた口がふさがらないが、そういう指導者が隣国にいる不運は心に留めておきたい。習政権はもう数年は続きそうだからだ。(2021.11.19)
そうは言いながらも米国の力が弱くなれば「全世界、俺のもの」と行動を起こすのでしょうね。「相手が強ければ引き、弱いとみれば攻め込む」という哲学を堅持している国ですから。