ー a frog in slowly - boiling water ー
「へその緒が語る体内汚染」
森 千里 戸高 恵美子 技術評論社
子供のころ、風呂は五右衛門風呂だった。五右衛門風呂とは子供なら2人は入れるくらいの大きな鉄の釜で、これに水を入れ、下で薪を燃やして沸かす。
a frog...はゆでカエルのことである。
カエルを水を張った釜に入れて、下からチョロチョロ火を燃やす。いい湯加減になる。気持ちがいいのか、なかなか湯から出ようとしない。湯温は少しづつ、だが確実に上昇する。カエルは出るタイミングがつかめないままゆで上がって死んでしまう。
ここで、よせばいいのに余計なことを考えた。農薬である。
子供のころ、ホリドールとかDDTなどという名前を聞いたことがある。田や畑に撒く農薬であることは知っていた。学校から帰るとよく近くの川で泳いだが、農薬は川に流れてくる。つまり、農薬入りの川で泳いでいたわけだ。気の毒なことに時々農薬を飲んで命を断つ人もいた。
農薬の怖さは農家が一番よく知っている。定年になって田舎に引っ越して来た。ある時、農家の人が野菜を持ってきてくれて、「これはうちで食べているものだから大丈夫だ」と言った。農薬はかけていないという意味である。
一方、ホームセンターに行くと、“根こそぎ枯らします”などと銘打った除草剤を棚に山と積んでいる。今の時期は毎日たんぼの間を薬液を積んだ軽トラが走り回っている。
商売用の野菜に農薬を使うのはやむをえない。広い田畑に這いつくばって手で草を抜いたり、虫に食われるのを放っといたら日本が日干しになる。
それにしても、なんのことはない、何十年もの間、自分がゆでカエルをやってきた。病気は生活習慣からくるという。なかでもどんなもの食べてきたかは一番影響すると思う。「残留農薬?基準値内ですから」というセリフも同世代の友達のほとんどがガン、高血圧、糖尿であり、なかには心臓が悪くてニトロを持ち歩いている者もいる事実の前には説得力がない。。
そうは言っても、みんながみんな自分の畑を持っているわけではない。でも、無農薬野菜はアパートのベランダででも作れる。キュウリ1本でも、レタス1個でもいい。蒔いた種が芽を出した時ほどうれしいことはない。「命」を感じる瞬間である。だから、私は日に何度でも芽を見つけに行く。
( 次回は ー a frog in slowly- boiling water その2 ― )