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田舎ぐらし(39)

ーなぜ家庭菜園をやってるの?ー


   「複合汚染」
      有吉 佐和子  新潮文庫

 (最近、広告が出ていたのに気づき、PCについては以後出ないように処置しました。ただし、スマホは処置できないそうです。悪しからずご了承ください。)

 上、玄関を出たところが畑。田舎では別に珍しくない。田舎に引っ越したい時は畑付きの家を探すのがおすすめ。

 下、著者はこれを書くのにおよそ10年の時間をかけ、300冊の書物を読み、何十人もの専門家に会ったという(「複合汚染」あとがき)。

 さて、なぜ家庭菜園をやってるの? と問われたとき、“ きれいな野菜を食べたいから ” を一番に挙げるべきかもしれない。汚れやキズのことではない。農薬、すなわち除草剤や殺虫剤の話である。

 “ 安全な殺虫剤 ” や “ 安全な除草剤 ” はあるのだろうか。
あるわけがない。安全でない、つまり毒だから虫や草が死ぬ。

 そこで、お役所の出番となる。お役人は手に残留農薬基準というモノサシを持っている。例えばイチゴの上にモノサシを乗っけて農薬の量を計り、この基準以下ならスーパーの棚に並べてよろしいなどという。

 ところが最近、タイやベトナムなど東南アジア諸国までがコメや果物の輸入について日本の基準より厳しい数字を出してきた。クリアーしないものは自国に入れないと言っている。

 これを知った農水省は対象となった13の品目ごとに、縦に農薬の種類を書き出し、横に17の国名・地域名を並べた表をつくり、それぞれのマスに各国の基準値を書き込んだ。そうやっておいて、日本より基準値が厳しくなっているマスを赤く塗った。そうしたら13品目すべて、表はほぼ真っ赤になった(農水省 「諸外国における残留農薬基準値に関する情報」)。
輸出できない分はどこで売るの? なんてことは考えない方がいい。

 ロシアの主婦の間で家庭菜園が流行っている。流行っている理由のひとつが中国から輸入される野菜には虫がつかないので怖い。だから、自分の畑で無農薬野菜を作って食べているのだという(「ロシアの社会福祉ー体制転換期の高齢者の生活ー」 山越 由紀子)。

 こうなると、日本人の健康意識は中等国以下というほかはない。

 そうは言っても今や人生100年時代だ、日本人は長生きするようになったという反論があるかもしれない。しかし、それは昔と違って子供が死ななくなっただけのことである。年寄りが長生きするようになったからではない(「複合汚染」有吉佐和子)。 
 

( 次回は ー なぜ家庭菜園をやってるの? ー )
 

 

 

 

 

 

 



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