隣人
週に数回介護シフトの利用者が居ます
90歳前の独身女性で連日呑まないと体調不良になる完全なアルコール依存症です
本人の弁によれば幼稚園からアルコールを愛飲した模様ですが、作話が得意な認知症状も進行していますので定かではありません
ウイスキーがお好みで銘柄はサントリー限定です
訪問するとほぼ泥酔して寝転んでます
二年ほど前には自力歩行が出来ていて押し車で買い物をしていました
ある日、千鳥足でふらつきアスファルトで顔面を打ち血まみれで倒れているところを訪問ヘルパーが発見し
救急車で運ばれ右の額を8針縫いました
先日は道端で大の字に倒れ隣人が救急車を呼びましたが到着した頃には意識が戻り乗車せずに追い返しました
取り敢えずバイタル測定をしましたが特変もなくふらふらと隣人に支えられ無事帰宅しました
TVの音量は最大で酔っぱらうと大声で猫の名前を連呼して戻らないと猫さらいに捕られ三味線の皮にされたと号泣します
時々、この婆様は本当は爺様ではないのか?と疑問に感じるほどに豪快な酔っ払いです
快く思っていない隣人もいるだろうし婆様が忌み嫌っている隣人もいます
まだまだ一戸建ての多い庶民的な町並みです
我が家よりも他人のお家事情に詳しい土地柄でたくさんの野良猫が飢えずに歩いています
先日、シフトで入り車椅子の用意をしていると隣人の町内会の世話役が声をかけて来ました
「Yさんのことをよろしくお願いします」
「Yさんが色々とご迷惑をおかけしていますけど、こちらこそよろしくお願い致します」
「Yさんの方が2歳年長で昔からよく知ってます」
「そうですか、それならば安心です」
「数名、来られてますが、あんたがいちばんよくしてくれてる」
「そうですか、ありがとうございます」
「見てればわかります」
滅多に会わず、ろくに挨拶も交わさない爺様から褒められました
婆様に隣人があなたの事を心配してました、と、伝言すると、少し嬉しそうに頷きました
認知症が過去及び直近の記憶を消去してしまいます、すぐ横の隣人の存在さえも忘れます
しかしながら、生まれ育った地元で生涯を終える幸せもあるのです。
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