ニューヨークチーズケーキ

今はgleeのまゆげ王子×お洒落くん・ばっとまん蝙蝠×夜鳥中心。更新は寝ているカメ並。

I for you. カートから

2013-03-03 | グリー(眉毛王子×お洒落くん)
グリーでは初めての小説です。
FOXさんでの今日来るシーズン4の4話に向けての気合いいれ。気合いをいれてどうするのか←
と、言っても現在バレンタイン回が終っているのでちょっと安心中。
でもまだシーズン半分あるもんね。半分も怒濤なのかな。
がんばれ千年に一度カップル!!

もちろんKlaine。
勝手な妄想シーズン4の四話です。






君からのカードをゴミ箱に捨てた、まるで僕たちの愛の墓場だった。

I for you.前編

ピカピカの制服を来て、ダルトンアカデミーの校内を見て回る。
大きく切り取られた窓からさんさんと光を浴びてワクワクした気分と靴音がリンクした気がする。こんなに廊下を生き生きと歩けるのはいつぶりだろう。
いや、ピカピカの制服や暖かい光、いじめのない学校だけが自分をワクワクさせているのではないことをカートはわかっていた。
一番心を踊らせているもの、それは自分の前を歩くブレインだ。
ダルトンのまるでお城のような校内を、まるで王子様のようなブレインが自分を導いてくれる、まるで夢のようだ。
そう、夢なのかもしれない。
「カート?」
「な、なに?」
夢じゃなかった、話しかけられて現実だと実感する。
講堂の説明をしていたブレインはカートを心配してくれた。
「大丈夫?疲れたかい?」
大丈夫だよ、と伝えるとカートが見ていた方を振り返り声を落とす。
「ダルトンは古い学校だからね。ひょっとすると誰かが君を歓迎するために見てるかも…」
ちょっとおどけたように身をすくめるとカートを手招きし笑った。
「今日はここまでにしょう、初日だし疲れたろ?」
「いや、大丈夫だよ!」
こんな夢の時間が終わってしまうなんて、
学校にも早く慣れたいし、なんて食い下がって言えばまた眉を潜めいたずらぽく笑った。
「そうか、行きつけのコーヒーショップにでもいこうかな―って思ったのに」
惚けっとしているカートの手を取るとブレインは歩きだした。

「君は素晴らしい人だ。」
コーヒーと砂糖を混ぜた木のスティックをひとなめする、普通は行儀の悪いことなのに彼がやると優雅に見える。
「素晴らしい勇気を持ってる。カロフスキーに立ち向かった。」
カートは目を伏せた。でも逃げてしまった、それに友達を裏切るような形で。
「カート、逃げたのは僕だよ。」
「僕はなにもせずに逃げた。君に啓蒙すればいい、なんて偉そうなことをいってただ安全なところにいただけ。」
言っても何も変わらなかった、状態は更に悪い方向へと転じていったのかもしれない。確かに苛めからは逃げた、でも、
「立ち向かった、それがすごいことさ。」

「…素晴らしいのは君の方さ。」
顔をあげたブレインと彼を見据えたカートの視線がかち割れる。
「僕が立ち向かえたのも、…他の選択肢を教えてくれたのも君だよ、ブレイン。」
カートの目にマッキンリーのロッカーが浮かぶ、“COURAGE”
ブレインがくれた言葉。
ブレインはキラキラと煌めく空色の瞳に写った自分が見えた、いやそのしなやかで優しげな瞳に見惚れていた―
「君が僕の背中を押してくれた、だから今僕がいるんだ。」




日取りの窓から夕焼けが辺りを赤く染めていた、グリークラブもウェストサイド物語の舞台の日でも無いけれども二人で歩いてたら着いた場所。
椅子に二人でぎゅうぎゅうに腰かけてピアノを弾いた。
鍵盤の上で指が触れあうとその度に笑いながら二人触れあうようなキスをした。
いままでだったら外でキスすることなんてあり得なかったかもしれない、しかも学校でなんて。
ゲイとゆうことは恥じては無いけれども性とゆうことを避けていたカートの変化にブレインは嬉しい。
お互い初めて付き合って、お互い初めてSexした、その相手が本当に好きな人で、その甘さお互い満足できた。
カートの離しがたいような甘いキスにブレインが彼の白い頬をなでる。
「少し前まで誘うような顔も知らなかったのに、」
「物覚えがいいんだよ、誰かが鏡の前でマンツーマンで練習させてくれたし。」
「まぁ先生が良かったってことにしょうか。」
クスクスと教室に小さな笑いが木霊した。
「それを言うなら君もだよ、最初なんて思わせ振りな態度をとるだけとって、大切な友達だ、なんて、酷すぎるよ?」
「それは、言っただろ?僕は恋愛ベタだって。」
「恋愛ベタねぇ?そのわりには僕は君にいつもドキドキさせられちゃうけど?」
ふと笑いが止むとお互い見つめ会う。
距離を詰めるとゆっくりと指を絡め、握り合い、二人の影が離れるのは短い時間ではなかった。

「…カート・ハメル、」
「君は、いつも僕の斜め前をいく、あ、笑わないで、ほんとさ。」
ブレインは繋いでいた手を両手で包むと肌と肌の感触を紡ぐように自分の頬へと導き、吐息のまま囁く。
「君を通して僕は自由になれるんだ。カート、君を愛してる。ずっと、自分らしい君でいてね。」
まるで印をつけるように、愛しい人の手に口づけを落とした。




カートはネクタイを緩めるとアパートの扉に持たれてそのまま崩れた。
レイチェルがまだ帰っていないことに感謝して、小さく笑うと自分の中の何かが溢れて壊れ出すのがわかった。
知らないうちに涙が頬を濡らしていた。

君からのカードをゴミ箱に捨てた、まるで僕たちの愛の墓場だった。

ブレインから聞いた告白は自分を引き裂くようなことだった。それを語った彼も、ニューヨークに来てからの彼もずっと辛そうだった。
それでも頭のどこかでしょうがないじゃないかとしたり顔をした自分がいた。
最近連絡はちゃんとしてた?
お互い男なんだからSexせずに一年ずっといれるの?
ニューヨークとオハイオの距離はどのくらい?
そんな声はかき消したかった。
そんな声は消せたかも知れないが本当の僕が言っていた。

どれだけ彼を傷つけた?

今はブレインのことが許せなかった。
告白を聞いてもまだ好きだった、彼を愛していたから許せなかった。
彼のくれたカードも一文字一文字がいとおしかった、今からでも職場のゴミ箱からカードを拾いに行きたかった。でもそれを僕のプライドが許さなかった。

「…イン…、ブ…レイン…」

彼から受けた痛みと彼を傷つけた罪悪感で身動きが取れない、その狭間で泣くことだけしか今の自分には許せなかった。
「~ぅう、…っ……!」
前を見なきゃ、
確かに今の僕にはブレインのしたことは許せなかった、された事実もした事実もかえられない、でもそれはこれに限ったことではなかった。
初めて行ったダルトンで手を引かれたことも、初めてゲイバーに行ったことも、彼に救われたことも、コーヒーのオーダーを覚えていてくれたことも、トニー役になった彼に花束を渡したことも、二人で州大会でデュエットしたことも、パバロッティを埋めたあと繋いだ手の暖かさも、彼の部屋に犬のぬいぐるみがあることも、ジュニアプロムで踊ったことも、二人のSexも、ダルトンでの初めて聞いたブレインの歌声も、
全てなくならない。全て事実で本当のことだ。

昔の二人の思い出が今も素敵なように、きっとブレインのこの告白もいつか悲しいけど思い出に出来るはずだ、どれだけ時間がかかっても。
もう、終ってしまって人からみればなんの意味のない昔の記憶の欠片かもしれない。それでも一つ一つ手にとって綺麗に心に納めて鍵をかけ、しまった。
そうして立ち上がり鏡に微笑みかけて自分で涙を脱ぐって鏡のなかのひどい顔に笑いかける。
こうなれば口紅でも借りて鏡に彼の名前を書いて一曲歌ってみようか?彼の家ではないけれど。
小さく笑うと空っぽの体にはスカスカで何もなくなった気がした。
弱々しいけど笑える、人って実はいつでもわらえるんだよ?

「ブレイン。」
君とは運命で出会うべくして出会った、間違いなく運命の相手だった。

人生の岐路に立った時、僕は君のことを思い出すだろう。
“COURAGE”
君のくれた言葉、君が僕の背中を押してくれる。今までもこれからも、だから、
ずっと僕らしい僕でいるよ。

笑いかけた自分の後ろに映っていた窓には、夜のとばりが降りた摩天楼の灯りが眩しかった。

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