<iframe align="left" marginwidth="0" marginheight="0" src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=aaaaaea071-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4061830961&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&lc1=0000ff&bc1=000000&bg1=ffffff&f=ifr" frameborder="0" scrolling="no" style="WIDTH: 120px; HEIGHT: 240px"> </iframe> ライブドアショックと相前後して、「ホリエモン、けしからん」っていう論調から転じて、「汗水流して働くことが美徳である」ということをテレビで言ってる人がいた。
じゃあ、汗水流して働いてる人って、どんなカンジなんだろう……って思いながら、ネットを彷徨っていて発見したのが、この『自動車絶望工場』だった。
季節工っていうか、出稼ぎ労働者といったら、農閑期の所得維持のために働いてる人、って小学生の頃に習った覚えがある。
自動車工場といったら、ファクトリーオートメーションになって自動化・機械化されて、ガンガン自動車を造ってる。
その程度の知識しかない状態で本書を読んでみた。
読んでみると、とにかく読み物として面白かった。
舞台となるのは、昭和47年のトヨタ。オレが生まれる前の話だ。なので、現在とはかなり違ってるのだろうけど。
でも、鎌田氏がトヨタの工場で働いている様が目に浮かぶようで(といっても、実際の勤務状況の描写は退屈なのだが)、その過酷さとか、タイトルにある「絶望工場」っぷりが真に迫ってくる。
他のネットの書評にもあったけど、鎌田氏の記述が反資本家的な方向にぶれてるのは否めない。
でも、淡々と述べられている工場内での日常が、社会科の授業で習ったほどに安易なものではない、というのが容易に想像できる。それは、今もなお(当時から)高い、離職率が如実に物語っている。
なので、鎌田氏が満了で工期を終えたときは、なんだか苦難を乗り越えたヒーローのように錯覚してしまう。晴れ晴れとした気分になる。
でも、よくよく考えたら、彼(そして、今も働いている人々も)は労働をしていただけ。懲罰とか、苦役ではない。
なのに、なぜ、この工場の現場は過酷なのだろうか? と考えさえられる。
もし、自分が学生のころにこの本を読んでいたら、きっと考え方が違っていたんだろうな。
でも、翻って考えるに。
現在、トヨタは日本の産業を牽引するばかりでなく、自動車メーカーとして世界一を伺うポジションにある。かつて世界一だった、アメリカの自動車業界はピンチに立たされている。
鎌田氏が勤めていた頃、アメリカのライン工は咥えタバコで作業をしていた。ところが社員に厚いといわれたGMの医療府負担は、今や負の遺産となって経営に重くのしかかる。
改善を拒む昔からのデトロイトより、新興の南部(スマイルエリア)の方が日本式を取り入れてうまくいっている。
とはいえ、“期間工”という言葉で検索してみると、なぜか良いウワサを聞かないのも事実だ。
善悪とか、正偽とかの二元論だけでは判断できない世の中だけに、こういう本を読んで自分で判断することも大事かなと思ったりなんかした。何が美徳で、そうじゃないのかっていう判断も含めて。
なお、本書の内容はあまりにも古いので、現在の状況を知るために『トヨタの労働現場』っていう本も読んでみた。
(こちらは2001年のトヨタ工場が舞台)
労働現場っていうタイトルどおり、ライン作業の現場でのやりとりに着目している。
これを読んでみると、30年前から機械や設備は最新になっているけど、現場はそんなに変わってないんだな、ってのがわかる。
“なぜ、人は文句を言いながらも働くのか”っていう、トヨタに限らず普遍的なことにも着目していて、言われてみると納得することが多かった。
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