近代建築撮影日記

日本全国の近代建築を
大判カメラ、一眼レフ、デジカメなどで
撮影した写真で紹介していきます

近代建築撮影講座(その5)『大判カメラ撮影当日・撮影編』

2014-11-24 22:58:19 | その他

いよいよ大判カメラによる撮影開始!


【手順1】ピントを合わせて、三脚位置を微調整する。

【例】
1.三脚を立てた位置からピントグラスを覗くと、左端に看板が入ってしまった。


2.ほんの少し位置を変えてやりすごす。三脚位置が決定したら再度ピントを合わせる。



【手順2】水平垂直を調整する。

レンズの向きを決定し、雲台の回転を固定したら水準器で水平垂直を調整する。
三脚自体のセッティングが傾いている場合もあるので、水平垂直を出したら雲台は回さないこと。
雲台を回した場合は、必ず水準器を確認する。
水平方向・垂直方向・回転のスリーウェイ雲台が使いよい。


【手順3】アオリ操作で建築の歪みを補正する。

【例】建築左の煙突を歪まないように撮影する。


1.黒枠線はアオリ操作無しで煙突を中央に据え、歪まないように構えた時の撮影範囲。

2.青枠線は地面が多く写りすぎるので、黒矢印のように前枠をライズアオリした後の撮影範囲。

3.建築全景を撮影範囲に入れるため、雲台を回転してレンズの角度を変えてしまうと下のように煙突が歪んでしまう。


4.そこで、建築に対するレンズの角度を変えずに、青矢印のように右へシフトアオリして撮影範囲を赤枠線に移動すれば煙突は歪まない。
このように大きく煽る場合は、十分なイメージサークルが無いと隅が蹴られることがあるので注意する。
今回のアオリ操作はこれで完了。


5.最後にもう一度ピントと水準器を確認して、カメラのセッティングは完了。


【手順4】シートフイルムホルダーをセッティングしてから、露出を測定する。

1.フイルムホルダーをカメラに挿す前に、ホルダーの下をトントンと叩く。
これは、露光中にホルダー内のシートフイルムが引力で落下し、ぶれることを防ぐため。

2.カメラのセッティングが完了しているので、ホルダーの挿入はカメラを動かさぬよう注意して行う。
露出測定後すぐに撮影(光線状態が変化する前に撮影)出来るよう、先にホルダーをセットする。

3.建築に当っているいる光と同質の光を測定出来る場合は、入射光式で測定すればほぼ正確な値を導き出すことが出来る。更にスポット測光も併用して、より正確な数値を導き出せば良いだろう。

4.露出の目安(個人的なものなので、あくまで目安とお考えください)
・露出の基準となる18%グレーに近いものは、青空・瓦屋根・明るめの煉瓦など。
・青空を濃紺に写したい場合は、青空部分をスポット測光して半段程度マイナスする。
・建築のハイライト部分とシャドー部分をスポット測光して5段(ポジフイルムのラチュード)以上の差があった場合は
シャドー部分がつぶれても仕方ないので、ハイライト部分の測定値から2.5段程度(白とびしない程度)プラスする。

5.建築全体にピントが来るように、絞り値は22以上にする。


【手順5】 シャッターを切る。

1.カメラを動かさぬよう、慎重に遮光板を抜く。風のある日は、ブレ防止のため遮光板を完全に抜き取ってシャッターを切る。

2.長め(50cm)のレリーズコードで自分の立ち位置の自由度を広めにとって、自身の影がレンズに被るように立つ(自身が写りこまないように注意)。レンズフードの代わりだ。自分の影をレンズに当てるため、三脚は4段中3段伸ばしの低めで立てている。どうしても高めに三脚を立てたい場合はこの方法は使えない。

3.露出測定からここまでの動作は出来るだけ迅速に行い、光線状態が変化しないうちにシャッターを切る。

4.遮光板は裏返して(撮影済マークの側を向けて)戻す。撮影データをメモして撮影終了。



 

 表題写真は「シャドー部分がつぶれても仕方ないので、ハイライト部分の測定値から2.5段程度(白とびしない程度)プラス」して撮影した例。
(撮影データ;EBONY SW45・MAMIYA-SEKOR 50mm F6.3・6x7判よりトリミング・1/30秒・f22 1/2・ライズアオリ・2014/11撮影)



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