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シロガネの草子

我が身をたどる姫宮 其の十一 ~鞭を振るうカナリヤ~


岡本神草 『餅花の女』

こちらも公開停止となっていました(涙)(涙)

以下は当時書いたままです。

~長くお待たせして申し訳ありませんでした。まだまだ書き進めるつもりですが体調の方が思わしくなく、なかなか進められませんでした。その上今まで使用していた、キ―ボ―ドが使えなくなりまして、書くのが一段と遅くなってしまっております。打ち辛いデス。でもコツコツと手直しをしながら書き進めてゆきます~


「白菊ちゃんの気持ちは、ババもよく分かりました。又多くのあら波がきて、皇室全体が、波を被るでしょう。でも何時までも人の善意を頼って一人立ち出来ない夫というのは、困った事ものだし、皇室のお為にもなりませんね」


「ご理解頂き恐縮に御座います」

夫人はそう言い頭を下げますと、大宮様は慈愛に満ちた表情で孫娘に、

「ババはね、皇室に上がらせて頂いてからずっと、ある覚悟を秘めていたのよ。人生は平坦な道ばかりではありません。沢山の苦労や悲しみを味わうのよ、その時に自らを震い立たせるる。そんな歌を歌っていたのよ」

「歌をでございますか?」

「そう。『カナリヤ』というのよ。白菊ちゃんも知っているはずたから、一緒に歌って見ましょう」

「はい・・・・」

大宮様はお歌もとてもお上手で、密かなご自慢の一つなのです。お声も大変若々しくて透き通るような美しいお声ですので、白菊夫人は祖母宮を引き立てるように控え目な声を出されました。


島崎柳塢 『春日少女』



『カナリヤ』



歌を忘れた カナリヤは

後ろの山に 捨てましょか

いえいえそれは なりませね

歌を忘れた カナリヤは

瀬戸の小籔に埋めましょうか

いえいえそれは なりませね

歌を忘れた カナリヤは

柳の鞭で ぶちましょうか

いえいえそれはかわいそう

歌を忘れたカナリヤは 

象牙の船に 銀の櫂

月夜の海に 浮かべれば

忘れた歌を思い出す


加藤まさを 『夏を待つ人』

白菊夫人は大宮様とご一緒に『カナリヤ』の歌を歌いました。しかし歌を忘れたカナリアは夫人で、皇族の自覚を忘れてしまった自分に『カナリア』と重ね合わせて大宮様は『カナリア』で罰をお与えになっていらしゃるのでした。


(おばば様は、罰をお与えになられていらしゃらる)

夫人もそれは分かっていたのです。心はカナリアの居る浜辺に自身もいる心持ちでした。

「・・・・月夜の海に浮かべれば忘れた歌を思い出す・・・・」


加藤まさを 『聡想』

(あの人からプロポーズをされた時、月が綺麗で周りも静かで、あの人の言葉も良く響いて・・・・本当に嬉しかった。それ以来月を眺めると、あの人の声や仕草を思い出してしまう)

しかし現在の夫人にとって月は憂きものとなっています。


加藤まさを 『泣ける心に』

・・・・・葛氏からのプポーズを受けたのは静かな月の日の夜でした。勿論夫人は忘れてはいませんが・・・・

「白菊ちゃんはとっても上手ね。ほほほ・・・・」

歌が終わると大宮様はそう言われて、大層お褒めになられました。
大宮様はこの歌を一緒に歌う事によって、あれだけ騒がせたかつて人のプポーズを受けた時の気持ちを思い出して、もう一度やり直しなさいという意味を送られていらっしゃるのでした。


しかし夫人はもう後ろを振り返りたくは、ありません。夫婦生活は終わったのです。

加藤まさを

今、真昼の月さえ眺めても、かつて葛氏からプロポーズの言葉を思い出してしまいます。しかしこれから先、気持ちを振り切って一歩一歩前へ進んで行けば、同じ夜の月を見られても、

蕗谷虹児 『別後哀愁』

何を思うなくさっぱり忘れているで事しょう。


須藤しげる『慰問袋』


大宮様がお帰りにならりれたのは、暫くしてからでした。お心の細やかでいらっる大宮様でしたので、お留守番の職員達へと、正月に好まれそうな、「いとほの品々(愛らしもの・御所言葉)」を沢山置いてゆかれました。


須藤しげる『初たより』


「 ・・・・そう。それでお帰り遊ばす時、おばば様、なにか、おっしゃておられたの

新年のお儀式が無事終わり殿下方お戻りになられましたがもう皆様方、大宮様がお越しに成られ事はご存じでございました。


皆が昨年よりは良いお年になられる事を、ババは願っておりますよ。と仰ておられたわ。私の離婚の事は当然お認めにはならしゃらなかった」

「困ったおばば様」

そのように言われる撫子の姫宮に白菊夫人は微笑んで

「昨年は嫌になるほど色々あったし。大きく世界は変わったわ。この先どうなるか分からないから、地にしっかり足を付けた男性でなければならないわよね。好きや価値観も大事だけども、いざっという時に頼りなる人でなければ結婚生活は続かないわよ」

そして

「内親王の結婚相手は確かに難しい面があるけど、それでも、きちんとした条件は必要よね。世間から見たら作られた組み合わせで、つまらないと思われるでしょうけど、位を降りても一生皇族さんなわけだし。私はそれを深く考えなかった。それが未熟だった」

寂しげに話される姉宮の表情をご覧になり撫子の姫宮は

「でもそもそもの原因はおもう様よね」

そんな風に仰るのでした。それに答える様に白菊夫人も

「そうね」

と相槌し、お二人は、大笑いされましたが、夫人は直ぐに真顔となりまして、


須藤しげる


「私が一番悪いのよ。そのせいでおたた様が物凄く辛い思いをされたのだから・・・・あの頃の私は・・・・」


加藤まさを

「自分の願いは、ガンとして譲らなかったから」

レイア―スの主題歌デス

『ゆずれない願い』


止まらない未来を目指して

ゆずれない願いを抱きしめいて

海の色が紅く染まってゆく

無重力状態

このまま風にさわれたい

いつも跳べないハ―ドルを

負けない気持ちで

クリアしてきたきど

出し切れない実力は誰のせい?

止まらない未来を目指して

ゆずれない願いを抱きしめて

色褪せない心の地図光にかざそう

どれだけ泣けば朝に出逢えるの

孤独の夜初めて限界を感じた日

きっと恋に落ちるのは

まばたきみたいな一瞬の情熱だけど

愛に行く坂道で強さ覚えたい

止まらない未来を夢見て

口を閉ざし瞳を光らせてきたけど

もっと大きな優しさが見えた

跳べないハ―ドルを

負けない気持ちで

クリアしてきたけど

スタ―トライン立つたびに

怯えていた

止まらない未来を描いて

腕のばし心を開いて

止まらない未来を目指して

ゆずれない願いを抱きしめて

色褪せない心の地図

光にかざそう

白菊の姫宮は様々思いを巡らしながら・・・・

(女ほど、身の処し方も窮屈で哀れなものはない。物事の情趣も折々のに興趣あることも、見知らぬふりをして引きこもり、沈んでいたりしたら、何によってこの世に生きている喜びを味わったり、無常な世の寂しさを慰めたりすれば良いというのか)

by『源氏物語』の紫の上

・・・・と心の中で呟かれていたのでした。


池田蕉園 『宴の暇』



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