「二兎」を追うことのメリット（結論)

　「二兎」を追うことのメリット（結論）

　幸い、日本語教師養成講座は、留学生向けの日本語学校の設置や運営に不可欠な日本語教師を育てる講座であり、いわば、ビジネス的に考えても、川上に属する資源供給の役割を果たす日本語学校ビジネスにおける【根幹】なる事業部門と言えるでしょう。

　こうして川上に当たる日本語教師養成講座と川下に当たる留学生向けの日本語学校との顧客対象の違いと指導内容の違いとを明瞭に区別しながらも、しかし、お互いは相互依存関係にある不可分一体のビジネスであると考えます。

【二本足で立つことのメリット】
➀大は小を兼ねる・・・日本語教師養成講座の設置や運営で必要とされる多数の教師の半数は、理論編担当の大学院修了者で占め、残り半数は、実践編担当が可能な「日本語学校で常勤講師として3年以上の勤務経験の或る、いわゆる教務主任の有資格者」であることが必要です。

それら高学歴でかつ日本語指導経験の豊かな教師たちで構成されるため、留学生向けの日本語学校で求められる教師資格を当然包括しています。

②あたかも世界遺産・姫路城のように、東の大柱・西の大柱といった2本の足で立って、安定性と持久力（耐久力）を実現し活躍する素地を有しています。

③しかも、日本語教師養成講座と留学生向けの日本語学校においては、施設的には類似のものを用意すれば良いのであって、両者で重ねて使用できる面もあります。

更に良いことは、教師の兼任態勢で運営できる面もあると考えています。

というのは、留学生向けの日本語学校の場合、新設校では、開始当初の1~2年の間は、僅かに数名の生徒しか、入国管理局がビザを取得させてくれないことが常態の状況ですので、予め確保した日本語教師が、双方の講座や授業を兼任で行える人的余裕もあるわけで、人件費の大幅な節約・合理化も可能でしょう。

③ランチェスターの法則にも合致

　同法則によれば、エネルギーの投入量が2倍に増えれば、効果ないしはパワーが2倍どころか、二乗倍の4倍にもなるということが明らかにされています。

　そこで、私は、度々、この法則を利用させていただき、大きな効果を得させていただいています。

　この度の日本語教師養成講座の開講においても、留学生向けの日本語学校の開設を1年後に控えるという、一見すれば「無謀な荒業」も、大が小を兼ねるという事実やランチェスターが言う二乗倍の効果を得んがための作戦です。

★事業の将来性・有望性

(a)ところで、「留学生向けの日本語学校」は、現在、全国に750校とも800校ともいわれるほどに数多くあって、生徒数総数は30万人近いと言われています。

しかも、この種の日本語学校は、労働者不足を補うために、大都会においてのみならず、地方の企業でも自治体でもまたは(直接的に)留学生の資格外労働の形を利用し、又は(間接的に)技能実習生への職員研修等を効率的に行うために、年々増える兆候があります。

(b)他方、日本語教師養成講座の設置拠点数は、全国で110か所を漸く超えたところですが、設置団体数に至っては、まだ70弱です。

　そこで、留学生向けの国内の日本語学校数と日本語教師養成講座数のアンバランスから生じる、後者の講座の必要性や需要、重要性の方は、言葉では言い尽くせないほどに高まっています。

先ず、国内の日本語学校における教師不足は、留学生向けの日本語学校の設置に不可欠な教務主任を始め、全国的に常勤・非常勤を問わず危機的状況です。

しかも、海外現地での留学生や労働者を送り出す日本語学校での日本語教師の不足は、日本語能力がN5という、片言でも日本語が喋れば教師に採用されているほどに厳しい状況だといわれています。

【結論】
　以上のような訳で、日本語教師養成講座と留学生向けの日本語学校を、1年を置いて同時並行的に開設することには、自分なりに考え、体験してきたことに基づく、大きな理由・根拠があったのです。

　この理由や根拠は、大方は、皆さんの開業時にも当てはまると考えます。

　そこで、どうせ日本語学校ビジネスに乗り出されるならば、行く行くは、日本語教師養成講座の開設にも、勇気をもってチャレンジされては如何でしょうか？

　この場合に、相談相手となるコンサルタントがいるかどうかが極めて大事です。
　皆様のご幸運をお祈りいたしています。

平成31年2月26日 火曜日
CJA日本語学校・理事長　岡村寛三郎