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※スコットランド国立美術館を代表する「アメリカ側から見たナイアガラの滝」と「エディンバラの三美神」
先日、神戸と大阪にて東京からの巡回展となるスコットランド国立美術館展とドレスデン国立古典絵画館所蔵品展とリニューアルとなった藤田美術館に出かけてきましたので順次レビューしたいと思います。
今回の絵画レビューは神戸市立博物館で開催中の「スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち」です。
ヨーロッパ屈指の規模を誇るスコットランド国立美術館、西洋美術史の歴史を飾る巨匠たちや地元スコットランドやイギリスの画家たちを作品も広く所蔵しています。今回はルネサンス、バロック、グランドツアーの時代、19世紀の開拓者の四つのパートで展開されています。ルネサンスでは、何といってもエル・グレコのサルバトール・ムンディの図像、最近謎が深まるダ・ヴィンチのそれが思い浮かびますが、こちらは紛れもなくエル・グレコ作、タッチやキリスト像の容姿もまさに特徴を如実に表しています。
会場に入ると先ずフレデリック・エドウイン・チャーチの「ナイアガラの滝」の大作がお出迎え、この作品はアメリカで財をなしたスコットランド人による寄贈で当館を象徴する作品だそうです。流れ落ちる滝の豪快な水しぶきと光により作られた虹、美しさと壮大さを感じる作品です。
バロックでは、若きベラスケスの傑作「卵を料理する老婆」が初来日、宮廷画家で知られるベラスケスは若い頃には厨房画をよく描いているそうで、この作品はなんと18才の作品です。料理をする老婆の顔に当たる光と少年の背中こし差し込む光が印象的で18才にして天才の片鱗を表してます。
また、僕が印象に残ったのはレンブラントの「ベッドの中の女性」悪魔によって夫を次々と亡くした彼女の見つめる先には8人目の夫が。夫の姿は描かれていませんが彼女の瞳の奥に観る人は何を感じるでしょうか。また、フランス・ファン・三―リアスのリュートを弾く女性は、フェルメール作品と比べても劣らない美しさがありました。
グランドツアーの時代では、17世紀から19世紀初頭にかけて貴族の裕福な子弟が卒業旅行にフランスやイタリアを訪れたことに由来し、ヨーロッパの美しい自然と優美な世界を描かれたフランソワ・ブーシュの作品が並びます。
19世紀の開拓者たちでは、美術史の変化とは異なり、伝統的な絵画が根差し、そこから生まれたエジンバラやイングランド画家たちの肖像画や風景が展示されています。なかでもジョン・エヴァレット・ミレイの「古来比類なき甘美な瞳」であの名作「オフィーリア」とは異なる強い眼差しに惹かれました。